筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、現在はファッションバイヤーとブランド古着の買取業を営んでいます。この記事で挙げた制度・サービスの数字は、すべて厚生労働省と各社の公式ページを2026年9月16日に実際に開いて確認したものです。紹介する転職サービスには広告リンクを含みます。数字が確認できなかった項目は、書かずに「確認できなかった」と記しています。
「30代・未経験」で調べている人の多くは、完全な未経験ではありません。分かれ目は、仕事でITに触ったことがあるかないかの一点です。
ここを分けないまま転職サイトに登録すると、経験者向けの求人ばかり届いて「30代だから無理なんだ」と勘違いします。実際に違うのは年齢ではなく入口です。まず自分がA・B・Cのどれなのかを決めてください。そこから先は、使う窓口も、次にやることも変わります。
自分がどれか確かめるまず、自分がA・B・Cのどれか決める
「未経験」という言葉は、求人票の側と応募者の側で意味がずれています。応募者は「エンジニアとして働いた経験がない」という意味で使いますが、求人票の「未経験歓迎」は多くの場合「エンジニアの職種経験がない」だけを指していて、業務でITに触った経験そのものは前提になっていることがあります。この差が、書類が通らない理由になります。
次のうち、いくつ当てはまるか数えてください。
仕事で、こういうことをしたことがありますか
- 店舗や事務所のPCが壊れたとき、自分が呼ばれる
- 新しく入った人のPC・アカウント・端末の設定をしたことがある
- POSや在庫管理、勤怠、予約などのシステムの使い方を人に教えている
- 業者やベンダーとのやり取り(見積り・設定依頼)を自分が窓口でやっている
- ExcelやスプレッドシートでマクロやGASを書いて、誰かの作業を減らしたことがある
→ 1つでも当てはまるなら、あなたは完全未経験ではありません。ROUTE B です。0個なら ROUTE A、エンジニアとして給料をもらっているなら ROUTE C です。
ROUTE A:仕事でITに触ったことがない人
先に正直なことを書きます。この記事の下のほうで紹介している転職エージェント2社は、どちらもすでにITの経験がある人のためのサービスです。公式ページを読んでも、未経験者を対象にした記述はありません。ROUTE A の人がここに登録しても、紹介できる求人がないと言われて終わる可能性が高いので、この記事では案内しません。
順番が逆です。30代・完全未経験でまずやるべきなのは、職を探すことではなく、無料で訓練を受けられる公的制度が自分に使えるかを確かめることです。
厚生労働省が案内している求職者支援制度は、再就職・転職・スキルアップを目指す人が、生活支援の給付金を受け取りながら無料の職業訓練を受けられる制度です。公式ページの説明は次のとおりです。
出典:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」(2026年9月16日に確認)
対象は、公式の説明では「離職して雇用保険を受給できない方、収入が一定額以下の在職者の方など」とされています。注意したいのは給付金と訓練が別だという点で、公式には給付金の支給要件を満たさない場合であっても、無料の職業訓練は受講できると書かれています。つまり「自分は給付金の条件に当てはまらないから関係ない」と判断して読むのをやめるのは早い、ということです。
ROUTE A の人が、この順番でやること
- 最寄りのハローワークで、求職者支援制度が自分に使えるか聞く
先に制度を確認します。ITの訓練コースが常にあるとは限らないので、いま募集しているコースに何があるかも同時に聞きます。
- いまの職場で「ITに触る側」に回れないか探す
これがいちばん見落とされます。辞めてから未経験で入るより、在職のまま社内のシステム担当に回るほうが、職務経歴書に書ける実務になります。ROUTE B に移動できれば、選べる求人の数が変わります。
- 作ったものを、他人が触れる形で残す
資格より、動くものを見せられるかどうかです。訓練で作った課題でも構いません。URLを渡せる状態にしておきます。
- ここまで終わってから、転職サービスに登録する
順番を守ると、同じ人でも紹介される求人が変わります。1と2を飛ばして登録するのが、いちばんもったいないパターンです。
ROUTE B:本業の片手間に、PCやシステムを任されている人
ここがこの記事の本題です。ROUTE B の人は、自分では未経験だと思っているのに、求人票の側から見ると経験者に分類されることがあります。社内のPC管理、アカウント発行、業者とのやり取り、社内システムの運用——これらは「情報システム(情シス)」の仕事そのものだからです。
そして、この領域には専門の転職サービスがあります。社内SE・情シス職に特化した社内SE転職ナビです。公式ページで確認できた数字を並べます。
出典:社内SE転職ナビ 公式サイト(2026年9月16日に確認)
このサービスが名指しで扱っているのは「社内SE・情シス職」です。客先に常駐して他社の仕事をするのではなく、自社のシステムを自社の中で見る仕事を指します。ROUTE B の人がいま実際にやっているのは、まさにこれの縮小版です。職種名が付いていないだけで、やっていることは近い。だから話が通じます。
ROUTE B に向いている理由
- いまやっている「雑用」が職務経歴になる
- 社内SE・情シスに絞って求人を見られる
- 登録は無料で、まず相談から始められる
向いていない人
- 仕事でITに一切触ったことがない(ROUTE A へ)
- 自社ではなく客先常駐でバリバリ開発したい
- いますぐ年収を大きく上げたい(ROUTE C へ)
社内SE転職ナビ
社内SE・情報システム部門に特化した転職支援サービス。運営はアイムファクトリー株式会社です。公式サイトでは登録者50,000人・定着率98.9%・求人10,000件以上と案内されています。「PC担当をなし崩しに任されている」段階の人が、職種として名前の付いた仕事に移るときの窓口になります。
社内SE転職ナビに無料で相談する 登録・相談は無料 / 社内SE・情シス職に特化 先に公式サイトを見るROUTE C:すでにエンジニアとして給料をもらっている人
ROUTE C の人は、この記事で検索する必要がそもそもありません。ただ「30代未経験」で調べている人の中に、職種を変えたいだけの経験者が一定数混ざっています。インフラの運用をしているがアプリを書きたい、受託から自社開発に移りたい、といった人です。この場合は未経験の問題ではなく、条件交渉の問題になります。
経験者が年収を上げる方向で見るなら、ITエンジニア特化のTechGo(テックゴー)があります。公式ページで確認できた内容です。
出典:TechGo 公式サイト(2026年9月16日に確認)
公式サイトは対象を「スキルや実績には自信があるが、転職活動には自信がない」層と書いています。裏を返すと、見せられるスキルと実績が前提ということです。ROUTE A・B の人が背伸びして登録する先ではありません。
TechGo(テックゴー)
ITエンジニアに特化した転職エージェント。運営は株式会社MyVisionです。公式サイトでは年収交渉の実績として、30代エンジニアで平均160万円の年収アップを挙げています。すでに実務経験があり、次は条件を上げたい人向けです。
TechGoに無料で相談する 相談は無料 / ITエンジニア特化 先に公式サイトを見る3つのルートで、窓口がどう変わるか
ここまでを1枚にまとめます。年齢で線を引いていない点に注意して見てください。分けているのは、仕事でITに触った経験があるかどうかだけです。
| ルート | いまの状態 | 最初にやること | 費用 |
|---|---|---|---|
| ROUTE A | 仕事でITに触ったことがない | ハローワークで求職者支援制度を確認する | 無料 |
| ROUTE B | 片手間でPC・システムを任されている | 社内SE・情シスに特化した窓口に相談する | 無料 |
| ROUTE C | エンジニアとして給料をもらっている | 年収交渉に強いエージェントに相談する | 無料 |
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30代で、やらないほうがいいこと
- 「未経験可」だけで求人を絞る
未経験可の意味は会社によって違います。職種未経験を指すのか、業界未経験を指すのか、本当にITに触ったことがない人を指すのか。求人票だけでは読み取れないので、応募前に聞くのが早いです。
- いまの仕事のIT要素を、職務経歴書から落とす
ROUTE B の人がいちばん損をしているのがこれです。「店舗のPC管理」「POSの運用」「ベンダー対応」は、書けば情シスの実務として読まれます。雑用だと思って省略すると、完全未経験として扱われます。
- 辞めてから探し始める
在職中のほうが条件交渉で不利になりにくく、ROUTE A の人は在職のまま社内でITに触る側へ回れる可能性も残ります。先に辞める理由は、体調を除けばあまりありません。
- 資格を取ってから動こうとする
資格が無駄という意味ではありません。取るまで動かない期間が長いことが問題です。相談は無料なので、勉強しながら並行して話を聞くほうが、30代では時間の使い方として合理的です。
まとめ
「30代・未経験・エンジニア」で検索した結果、なれる・なれないの精神論を読まされることが多いと思います。実際に効くのは、自分がA・B・Cのどれかを決めることです。
ROUTE A なら、まず厚生労働省の求職者支援制度が使えるか確認する。ROUTE B なら、いまやっている「雑用」を職務経歴として書き直し、社内SE・情シスの窓口で相談する。ROUTE C なら、条件を上げる交渉の話になります。年齢で詰まっているのではなく、入口を間違えているだけのことが、かなりの割合であります。
