※この記事の離職率は厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」、IT人材の需給は経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」の原典を実際に開いて読んだ値だけを載せています。まとめサイトの数字は使っていません。各サービスの内容は公式サイトを開いて確認した範囲で書いています。筆者はエンジニアではなく、元アパレル販売員・元買取査定員で、現在は古物商としてブランド古着の買取業を営んでいます。新卒で入った会社を8ヶ月で辞めた第二新卒の当事者でもあります。技術の話ではなく、求人と契約の構造の話に絞って書きました。
「第二新卒 × エンジニア」には入口が2本あります。自分がどちらかを先に決めないと、使うサービスから間違えます。
未経験からIT業界に入るのか、すでにエンジニアで職場を替えるのか。この2つは通る道も、見るべき求人も、相談先もまったく別です。まずここを分けます。
自分がどちらか判定するまず、自分がAとBのどちらか決めてください
「第二新卒 転職 エンジニア」で調べると、未経験向けの話と経験者向けの話が同じページに混ざって出てきます。読んでいるほうは、どこが自分の話なのか分からないまま画面を閉じることになります。
混ざる理由ははっきりしていて、この検索語には状態のまったく違う2人が来ているからです。
Aの人にBの記事を読ませても動けませんし、逆も同じです。以下、共通の前提を2つ確認してから、AとBに分けて書きます。
前提1:3年以内に辞めているのは、3人に1人
先に、いちばん多い思い込みを外しておきます。「新卒で入った会社を数年で辞める自分は、市場で相当まずい部類だ」という感覚です。
国が毎年出している数字を見ると、そうではありません。
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」(令和7年10月24日公表・原典を取得して確認/情報時点 2026年8月)
大学卒で3人に1人です。しかも前年より下がっている。同じ年に入社した同期を思い浮かべて、そのうち3分の1が3年以内にいなくなる、という規模の話です。採用する側もこの数字を知っていて、その前提で第二新卒の枠を用意しています。
前提2:IT人材は足りない。ただし「79万人不足」は出典を確認できません
未経験からエンジニアを勧める記事の多くが、根拠として「2030年にIT人材が最大79万人不足する」という数字を挙げます。出どころは経済産業省の調査だとされています。
そこで経産省の概要資料そのものを開いて読みました。結論から書くと、79万人という数字はその資料に載っていません。載っているのは次の数字です。
| 年 | 2018年 | 2020年 | 2025年 | 2030年 |
|---|---|---|---|---|
| IT人材の需給ギャップ(不足数) | 22万人 | 30万人 | 36万人 | 45万人 |
| IT人材の供給の見通し | 103万人 | 106万人 | 111万人 | 113万人 |
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出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」(平成31年4月・PDFを取得して確認)。不足数は需要の伸びを年平均2.7%程度、労働生産性が年0.7%上昇するという前提(中位シナリオ)の試算値です。/情報時点 2026年8月
この資料には高位・中位・低位の3つのシナリオがあり、表に出ているのは中位の45万人です。79万人が別のシナリオの数字なのかどうかは、この概要資料からは確認できませんでした。確認できないので、この記事では45万人のほうを使います。
そして、この表でもっと大事なのは下の行です。IT人材の供給は2018年の103万人から2030年に113万人へ増える見通しなのに、それでも足りない。つまり「人が集まっていないから誰でも入れる」のではなく、人は増えているのに需要がそれ以上に伸びているという構造です。
求人票が言わないこと:エンジニアには3つのタイプがある
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
「エンジニア」という同じ求人名でも、給料の元になるお金がどこから来るかと自分の机がどこにあるかで3つに分かれます。これを知らずに求人票を見ると、「未経験歓迎」の意味を読み違えます。

言葉でも一度整理しておきます。
- SES・客先常駐
所属するのはIT企業ですが、実際に働くのは客先のオフィスです。お金は客先からあなたの会社へ支払われ、そこからあなたに給料が出ます。未経験歓迎の求人はここに集中します。
- 受託開発
客先から仕事を受けますが、作るのは自社のオフィスです。同じ会社の先輩と机を並べるので、教わりながら覚えやすい側です。
- 自社開発・社内SE
自社のサービスや自社の社内システムを作ります。発注元も雇い主も同じ会社。作ったものがそのまま自分の実績になります。その代わり、未経験からいきなり入るのは狭き門です。
「社内SE」という言葉の定義は、サービス側もはっきり言い切っています。社内SE転職ナビは公式の案内で、エンジニアにとっての社内SEの定義を「客先常駐がないこと」だと説明しています。裏を返せば、そこが移りたい理由になるほど、客先常駐との差は大きいということです。
いま働いているなら、2つ以上あてはまる時点でTYPE 1です
- 出社しているオフィスの受付に、自分の会社の名前がない
- 名刺の会社名と、日報を出す相手の会社名が違う
- 「案件」という言葉で仕事の単位を数えている
- 契約の切れ目で、来月の仕事内容が変わる可能性がある
→ 悪いことではありません。ただし転職の設計は、ここを起点に考える必要があります。
ROUTE A:IT未経験から、エンジニアになりたい人
正直に書きます。未経験から入れるのは、ほとんどがTYPE 1(SES・客先常駐)です。
これは業界の悪意ではなく、単純な構造の話です。まだ何も作れない人に給料を払って育てられるのは、その人の時間を客先に売れる会社だけだからです。自社開発の会社が未経験を採るなら、その人の給料は当面まるごと自社の持ち出しになります。だから枠が小さい。
入口として使い、2〜3年で作った経験を持ってTYPE 2・3へ移る。この順番を最初に決めておけば、SESは有効な一手です。決めないまま入ると、案件が変わるたびに経歴が細切れになります。
応募する前に、この順番でやってください
- いまの職種で「作った・直した」と言えるものを書き出す
エンジニアの経験でなくて構いません。Excelの集計を自動化した、店舗の在庫表を作り替えた、そういう話が「業務を仕組みで解決した経験」として効きます。前職の話を捨てないでください。
- 求人票の「勤務地」と「就業場所」を必ず読む
「プロジェクトによる」「client先」「東京23区内(案件による)」と書いてあれば、TYPE 1です。良し悪しではなく、事実として先に把握しておきます。
- 公的な無料窓口を1つ挟む
厚生労働省の新卒応援ハローワークは、就職活動中の学生だけでなく卒業後おおむね3年以内の人も対象です。費用はかかりません。エージェントに登録する前に、外部の人に経歴を一度見てもらう場として使えます。
- そのうえで、20代向けのエージェントに相談する
職務経歴書が白紙のままでも相談はできます。むしろ書けない段階で行くほうが、書き方から一緒に作ってもらえるぶん早いです。
出典:厚生労働省「若年者雇用対策」(新卒応援ハローワークの対象について記載・情報時点 2026年8月)
第二新卒エージェントneo
20代に特化した就職・転職サポートです。公式サイトでは対象を「第二新卒・高卒・中卒・既卒・フリーター」と明記しています。面談は来社(東京・新宿/大阪・西梅田/名古屋/福岡・博多)とWEB面談のどちらかを選べるので、地方在住でも相談できます。年齢の対象は20代です。30歳以上の方はこの下のROUTE Bを見てください。
第二新卒エージェントneoに無料で相談する 相談は無料 / 対象は20代 / WEB面談あり 先に公式サイトで対象条件を見るこのサービスをどう選んだか、登録から内定までの流れはどうなるかは、別の記事で詳しく書いています。第二新卒の転職サイトは1社でいいのほうを先に読んでもらうと、この記事に戻ってくる必要がなくなります。
ROUTE B:すでにエンジニア。客先常駐から抜けたい人
こちらは話が変わります。あなたはもう経験者です。未経験向けの記事を読む必要はありません。
第二新卒でSESにいる人の転職理由は、給料そのものよりも「このまま案件を渡り歩いて、5年後に何が残るのか分からない」という不安であることが多いです。ここは構造の問題なので、頑張りでは解決しません。移るしかない。
SES・客先常駐のまま続ける
案件次第- いろいろな現場を見られる
- 未経験でも入りやすかった
- 契約が変わると仕事内容も変わる
- 作ったものを実績として語りにくい
自社開発・社内SEへ移る
腰を据える- 発注元も雇い主も同じ会社
- 作ったものが自分の実績になる
- 同じシステムを長く見続けられる
- そのぶん採用のハードルは上がる
経験者が使うべきは「職種特化」のサービスです
総合型の転職サイトで「社内SE」と検索すると、SESの求人が大量に混ざって出てきます。求人票の職種名だけでは区別がつかないからです。ここを最初からふるいにかけてくれるのが、職種特化型のサービスです。
ROUTE Bに向いている人
- すでにIT企業で働いている
- 客先常駐から抜けたい
- 同じシステムを長く担当したい
- 20代後半〜40代
ROUTE Bには早い人
- まだIT業界に入っていない
- 実務でコードや運用に触れていない
- まず入口を作る段階(→ROUTE A)
社内SE転職ナビ
社内SE・情シス職に特化した転職サービスです。公式サイトには「登録者50,000人・定着率98.9%・10,000件以上の求人・完全無料」と記載があります(数値は変わることがあるので、最新の条件は公式ページでご確認ください)。アドバイザーに相談するエージェント型と、企業から直接オファーが届くスカウト型のどちらも使えます。年齢の対象は20代〜40代なので、30代の方はこちらが軸になります。
社内SE転職ナビに無料で登録する 登録・相談は無料 / 社内SE・情シス特化 / 20代〜40代 先に公式サイトで求人を見る30歳を過ぎている人が、この記事を読んでいるなら
ここははっきり書いておきます。20代限定と書いてあるサービスは、30歳になった時点で使えません。「第二新卒」という言葉に法律上の定義はありませんが、年齢で線を引いているサービスは実際に線を引きます。
年齢で絞るサービス(20代向けエージェント)ではなく、職種で絞るサービス(社内SE転職ナビのような特化型)に軸を移します。30代は「若さ」ではなく「何をやってきたか」で評価される側に回るので、そのほうが噛み合います。
もう一つ、費用のかからない手として新卒応援ハローワークがあります。対象は卒業後おおむね3年以内なので、年齢というより卒業からの年数で決まります。該当するなら、エージェントと併用して損はありません。
やらないほうがいいこと、3つ
- 「未経験歓迎」の文字だけで応募先を決める
その求人がTYPE 1・2・3のどれかを先に見てください。判断材料は勤務地の書き方です。「案件による」ならTYPE 1です。
- 辞めてから探し始める
離職期間があると、面接で必ずその期間の説明を求められます。在職中でもWEB面談は組めます。決めてから辞めるほうが、条件の交渉でも有利です。
- 複数のエージェントに同時に登録する
第二新卒は職務経歴が短いぶん、書類を作り込む工程が本体です。窓口が増えると同じ説明を何度もすることになり、肝心の書類が仕上がりません。まず1社、合わなければ2社目に移る、で足ります。
新卒で入った会社を8ヶ月で辞めたとき、いちばん困ったのは「職務経歴書に書くことがない」ことでした。8ヶ月では何も完成していない。ただ、あとから分かったのは、面接で聞かれていたのは実績ではなく「なぜ辞めたか」と「次で同じことが起きないと言える理由」だけだった、ということです。書けるものが少ないのは、思っているほど不利ではありません。
「第二新卒」に法律上の定義はあるのか(詳細)
ありません。法律で定義された言葉ではなく、採用の現場で使われている呼び方です。ただし国の制度では「卒業後おおむね3年以内」という線が使われていて、厚生労働省の新卒応援ハローワークも、就職活動中の学生・生徒に加えて卒業後おおむね3年以内の人を支援対象にしています。企業が「第二新卒歓迎」と書くときも、だいたいこの範囲を指しています。年齢そのものではなく、卒業からの年数で見るのが実態に近いです。
まとめ
やることは、この順番です。
- AかBかを決める
IT未経験ならA、すでにエンジニアならB。ここを混ぜたまま調べると、いつまでも自分の話が見つかりません。
- 求人をTYPE 1・2・3で見る癖をつける
お金の出どころと机の場所。この2つで、同じ「エンジニア」がまったく違う仕事に分かれます。
- 相談先を1つに決めて、書類を作る
Aなら20代向けのエージェント、Bなら職種特化型。30代ならBのほうです。書けない状態のまま行って構いません。
3年以内に辞める人は大学卒で3人に1人。あなただけの話ではありません。あとは、どの入口から入るかを自分で決めるだけです。
