第二新卒の転職時期は「2〜3月が狙い目」ではなかった|厚労省の月別データで求人の山と谷を数えた

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転職時期は2〜3月ではない

この記事は、厚生労働省が公表している統計と告示を実際に開いて数え直したものです。筆者は新卒で入ったアパレルを1年以内に辞めた経験があり、いまは買取業を営みながら、同じ立場の人の相談を受けています。情報の時点は本文中に明記しています。

CONCLUSION

第二新卒の転職時期は「2〜3月が狙い目」ではありません。求人がいちばん多いのは10月・1月・7月・4月。ただし4月はライバルもいちばん多い月です。

よく見かける「2〜3月と8〜9月が狙い目」という説を確かめるために、厚生労働省の月別データを12か月ぶん書き写して並べました。結論だけ先に言うと、山は四半期の頭にあり、8月は12か月で下から2番目でした。そして月の話より先に、あなたには「卒業から3年」という公的な線が引かれています。

まず月別の数字を見る
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「2〜3月と8〜9月が狙い目」の根拠は、公式では見つかりませんでした

第二新卒の転職時期を調べると、ほぼ必ず「2〜3月」と「8〜9月」が狙い目だと書かれています。4月入社・10月入社に向けて企業が動くから、という説明が添えられていることが多いです。

この説の出どころを探しましたが、公的な統計でこれを裏づけるものは見つかりませんでした。そこで、誰でも同じものを見られる一次資料で数え直すことにしました。使ったのは厚生労働省の「一般職業紹介状況」です。全国のハローワークが受け付けた求人と求職の数を、毎月まとめて公表しているものです。

補足:ハローワークの数字は、転職サイトや人材紹介会社に出ている求人を含みません。ただし月ごとの増減の「かたち」は、求人全体の動きを見るうえでいちばん手に入りやすい公的な手がかりです。民間サービスの月別求人数は、各社が同じ基準で公表していないため比べられませんでした。

まず、いまの全体像

有効求人倍率1.18倍令和8年7月・季節調整値
新規求人倍率2.10倍同上・前月比0.06ポイント低下
正社員の有効求人倍率1.00倍同上・前月と同水準

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」(令和8年8月28日公表・2026年9月19日確認)

求職者1人あたり1.18件の求人がある状態です。正社員に限ると1.00倍、つまり1人に1件。どの月に動くかを考える前に、いまは「選び放題」でも「まったく無い」でもない、ちょうど1対1の水準だと頭に入れておいてください。

求人がいちばん多く出るのは、四半期の頭の月でした

ここからが本題です。直近で1年ぶんそろっている令和7年度(令和7年4月〜令和8年3月)について、その月に新しく出た求人の数=新規求人数を月ごとに並べました。第二新卒が見るのは正社員の求人なので、パートを除いた系列を使っています。

ハローワークの新規求人数を月ごとに並べた横棒グラフ。10月・1月・7月・4月が多い
新規求人数(除パート)新規求人数(含パート)多い順
10月527,183860,3621位
1月518,512865,7212位
7月517,523833,1133位
4月517,088839,7594位
5月487,372786,0185位
9月483,520780,8536位
3月478,727785,3517位
6月478,525771,8568位
12月476,131772,0979位
2月466,800775,12410位
8月466,165743,62811位
11月445,570719,09212位

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出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表の実数(原数値)より作成。順位は除パートの数字で付けました(2026年9月19日確認)

上位4つは10月・1月・7月・4月。どれも四半期のいちばん最初の月です。企業の予算や人員計画が四半期で動くことを考えれば、腑に落ちる並びだと思います。

そして通説のほうを見ると、こうなります。

×
VERDICT 「8〜9月が狙い目」は、数字では支持できません

8月は466,165件で12か月中11位。下から2番目です。9月は483,520件で6位と平均的。少なくとも「求人が増える時期」ではありませんでした。

VERDICT 「2〜3月が狙い目」も、そこまでではありません

2月は466,800件で10位、3月は478,727件で7位。真ん中から下です。ただし3月は次に見る「競争の厳しさ」の面で見え方が変わるので、×ではなく△にしました。

4月は求人も多い。でも、ライバルはもっと多い

求人の数だけで月を決めると、いちばん大事なことを見落とします。同じ月に何人が動き出しているかです。厚労省は求人の数と一緒に、その月に新しく職探しを申し込んだ人の数=新規求職申込件数も出しています。両者を割った新規求人倍率が、求人1件あたりの競争のゆるさを表します。数字が大きいほど、1人あたりに回ってくる求人が多いという意味です。

新規求職の申込新規求人倍率競争は
12月298,5202.59いちばんゆるい
11月293,4272.45ゆるい
7月359,4592.32ゆるい
8月321,7252.31ゆるい
10月373,4572.30ややゆるい
9月352,5132.22ふつう
6月349,2232.21ふつう
2月364,7142.13ふつう
1月407,9422.12やや厳しい
5月392,2192.00厳しい
3月395,2321.99厳しい
4月513,5641.64いちばん厳しい

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出典:同上(含パート・原数値)。新規求職の申込は令和7年度の各月、新規求人倍率は新規求人数を新規求職申込件数で割ったものです

新規求人倍率の1年の幅(求人1件あたりの競争のゆるさ)

1.64倍(4月)年の平均は2.2倍前後2.59倍(12月)

4月だけが突き抜けて厳しいのが分かります。新しく職探しを申し込んだ人が51万人と、他の月の1.4〜1.7倍。求人も多いけれど、それ以上に人が動いているということです。翌年の4月も同じで、新規求職は52万人、新規求人倍率は1.55倍まで下がっていました。

この表の見方で1つだけ注意があります。新規求人倍率は「ハローワークで職探しを申し込んだ人」に対する比率です。転職サイトだけを使っている人は数に入っていません。だから絶対値ではなく、月どうしの相対的な差として読んでください。

数と競争を重ねると、答えは2つに分かれます

求人の数を取りにいくなら:10月・7月

  • 求人数は年間1位と3位
  • 競争もゆるい側(2.30倍・2.32倍)
  • 数と競争の両取りができる2か月

競争の少なさを取りにいくなら:11月・12月

  • 新規求人倍率は年間1位と2位
  • ただし求人の数は年間で最少と9位
  • 数が少ないぶん、狙いを絞れる人向き
VERDICT 迷ったら10月。次点で7月です

求人数が年間1位で、しかも競争は平均よりゆるい。この2つが同時に成立しているのは10月と7月だけでした。逆に、4月入社を狙って3〜4月に応募が集中する動き方は、数字の上ではいちばん不利です。

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月より先に効く線があります。「卒業から3年」です

ここまで月の話をしてきましたが、第二新卒のあなたには、月よりもずっと効く期限が引かれています。厚生労働省の告示に、こう書かれています。

学校等の卒業者についても、学校等の新規卒業予定者の採用枠に応募できるような募集条件を設定すること。当該条件の設定に当たっては、学校等の卒業者が卒業後少なくとも三年間は応募できるものとすること。

青少年雇用機会確保指針 — 平成27年厚生労働省告示第406号「第二 三 (一) 学校等の卒業者の取扱い」

出典:厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」(2026年9月19日確認)

つまり、卒業から3年以内なら、新卒枠に応募できるよう企業に求められているということです。中途の枠で「経験3年以上」と書かれた求人と戦うのと、新卒枠で人物本位に見てもらうのとでは、勝ち目がまるで違います。

同じ告示には、採用の時期についてもこう書かれています。

学校等の新規卒業予定者の採用時期については、春季の一括採用が雇用慣行として定着しているところであるが、何らかの理由により当該時期を逸した青少年に対しても応募の機会を提供する観点から、通年採用や秋季採用の導入等の個々の事情に配慮した柔軟な対応を積極的に検討すること。

青少年雇用機会確保指針 — 同「第二 三 (二) イ 通年採用や秋季採用の積極的な導入」

秋の採用を検討するよう、国が名指しで書いています。求人数の山が10月にあることと、方向が一致しています。

注意:この指針の条文は「講ずるように努めること」という書き方です。義務ではなく努力義務なので、すべての企業が新卒枠を既卒に開いているわけではありません。応募の前に、その会社の募集要項で既卒の扱いを必ず確認してください。「卒業後3年以内は新卒枠で受け付けます」と明記している会社は、この指針に沿って運用している会社です。

「卒業から3年」の線が、いまのあなたにどう効くか

  • 卒業から3年を過ぎていない
  • いまの会社にいる年数が3年未満
  • 職務経歴書に書ける実績が、まだ1つか2つしかない
  • 応募したい会社の募集要項を、まだ読んでいない

→ 3つ以上あてはまるなら、あなたの持ち時間は「何月に動くか」より「3年の線をいつ越えるか」で決まります。残り期間を数えるところから始めてください。

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在職中に動くか、辞めてから動くか

時期の相談でいちばん多いのが、これです。先に辞めてから集中したい、という気持ちはよく分かります。ただ、辞めてから動く場合に手元に入るお金には上限があります。

雇用保険の被保険者期間1年以上10年未満
一般の離職者の所定給付日数120日
確認日2026-09-19

出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」(2026年9月19日確認)

補足:自己都合で辞めた場合に給付が始まるまでの制限期間については、上のページに記載がなく、公式で確認できませんでした。そのためこの記事では日数を書きません。あなたのケースがどうなるかは、居住地のハローワークで確認してください。

所定給付日数が120日ということは、受け取れる期間はおよそ4か月だということです。その中で、応募して、面接を重ねて、内定を取って、入社日を決めるところまで進める必要があります。前の章で見たとおり、競争のゆるい月と厳しい月では倍率が1.64倍から2.59倍まで開きます。4か月という持ち時間を、いちばん不利な4月に重ねてしまうと、もったいないということです。

  1. いまが何月かを確認する

    次に来る「10月・1月・7月・4月」のうち、いちばん近いものが応募の山です。ただし4月は競争が最も厳しいので、4月しか近くにないなら1月に前倒しするほうが有利です。

  2. そこから逆算して2か月前に準備を始める

    職務経歴書と、辞めたい理由を「次でやりたいこと」に言い換える作業。ここに2か月見ておくと、山の月に応募を出せます。

  3. 在職のまま応募する

    面接は有給や休日で組めます。辞めるのは内定が出てからで間に合います。所定給付日数120日を使わずに済むなら、それがいちばん強い選択です。

  4. 卒業から3年の残りを数える

    3年を越えると新卒枠が閉じます。残りが1年を切っているなら、月の有利不利より先に動くことを優先してください。

あなたが動き出す月は、この順で決まります

  1. 卒業から3年の残りが1年未満なら、月は選ばない

    新卒枠に応募できる期間が閉じるほうが、月の有利不利より大きな損です。いますぐ動いてください。

  2. 残りに余裕があるなら、次に来る10月か7月に合わせる

    求人の数が年間1位・3位で、競争は平均よりゆるい。この2つだけが両取りできる月です。

  3. 求人の数より競争の少なさを取りたいなら11〜12月

    新規求人倍率は年間1位・2位。ただし求人の総数は少ないので、業界も職種も決まっている人向きです。

  4. 3〜4月の一斉応募に合流しない

    4月は新規求職が51万人。求人が多いことと、受かりやすいことは別です。

ここまでの数字は、あくまで全国・全産業をならしたものです。業種によって山の位置は動きます。自分の職種で何が起きているかは、実際に求人を見て確かめるのがいちばん早い方法です。
第二新卒の転職に、いちばんおすすめの時期はいつですか?
厚生労働省の月別データでは、新規求人数が年間1位の10月と3位の7月が、競争のゆるさでも平均を上回っていて有利でした。ただし卒業から3年以内であれば新卒枠に応募できるため、その期限が近い人は月を選ばずに動くほうが得です。
「2〜3月と8〜9月が狙い目」と聞きましたが本当ですか?
公的な統計では裏づけが取れませんでした。令和7年度の新規求人数(除パート)で見ると、8月は12か月中11位、2月は10位、3月は7位、9月は6位です。とくに8月は下から2番目でした。
4月入社を狙って動くのは不利ですか?
数字の上では不利です。4月は新規求職の申込が513,564件と他の月の1.4〜1.7倍あり、新規求人倍率は1.64倍まで下がって年間で最も厳しくなります。求人は多いのですが、それ以上に応募する人が多い月です。
辞めてから転職活動をしても大丈夫ですか?
雇用保険の所定給付日数は、一般の離職者で被保険者期間1年以上10年未満の場合120日です。およそ4か月で応募から入社日決定まで終える必要があります。在職のまま応募して、内定が出てから辞めるほうが安全です。

まとめ

第二新卒の転職時期について、公式の数字から言えることは3つです。

1つめ。求人がいちばん多く出るのは10月・1月・7月・4月で、どれも四半期の頭でした。よく言われる「2〜3月と8〜9月」は、数字で見ると平均より下です。2つめ。4月は求人が多いぶん、応募する人はもっと多い月で、新規求人倍率は年間で最も低くなります。3つめ。月の有利不利より先に、卒業から3年という線が効きます。この期間なら新卒枠に応募できるよう国が企業に求めています。

数字で月を選ぶところまでは、この記事で終わりです。そのうえで、あなたの経歴だとどの職種に、どのくらいの条件で動けるのか。それは実際に条件を入れて確かめたほうが早いので、下の診断を使ってみてください。

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