※この記事で紹介する転職シミュレーターは、当メディアが運営する無料のツールです。筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、自身も20代で一度転職しています。数字は厚生労働省の公表資料を実際に開いて確認しました(情報時点 2026年9月)。
4月入社の山は本当にあります。ただしそれは求人が増えた山ではなく、人が動いた山です。
就職が決まる件数がいちばん多いのは3月、次が4月。ところが同じ時期の新規求人倍率は1年でいちばん低くなります。つまり4月入社は「決まりやすい時期」ではなく「いちばん混む時期」です。4月まで待つ理由が制度の上である人は、1種類しかいません。
4月入社の山の正体を見る4月入社の山は実在する。でも中身は「求人の山」ではない
まず事実から確認します。厚生労働省は毎月「一般職業紹介状況」で、ハローワークの求人・求職・就職の件数を公表しています。そのうち正社員に近い数字が見える「除パート」の列を、令和7年度の12か月ぶん並べ直しました。

就職が決まった件数は、3月が56,862件で年間の最多。次が4月の51,701件です。3〜4月に人が動いているのは、データの上でもそのとおりでした。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表2(常用・除パート/令和7年度/原数値)・2026年9月27日に確認
問題はここからです。同じ12か月を新規求人倍率で見ると、順番がほとんど裏返ります。新規求人倍率は「求職者1人あたり何件の求人があるか」を表す数字で、高いほど選びやすく、低いほど混んでいます。
| 月 | 就職件数 | 新規求人 | 新規求職 | 新規求人倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 4月 | 51,701 | 517,088 | 294,320 | 1.76 |
| 5月 | 47,266 | 487,372 | 231,576 | 2.10 |
| 6月 | 46,440 | 478,525 | 215,637 | 2.22 |
| 7月 | 46,106 | 517,523 | 227,154 | 2.28 |
| 8月 | 38,881 | 466,165 | 203,466 | 2.29 |
| 9月 | 45,835 | 483,520 | 217,456 | 2.22 |
| 10月 | 48,248 | 527,183 | 231,147 | 2.28 |
| 11月 | 39,665 | 445,570 | 183,657 | 2.43 |
| 12月 | 40,150 | 476,131 | 193,056 | 2.47 |
| 1月 | 37,815 | 518,512 | 254,131 | 2.04 |
| 2月 | 44,212 | 466,800 | 223,607 | 2.09 |
| 3月 | 56,862 | 478,727 | 243,135 | 1.97 |
← 横にスクロールできます
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表2(常用・除パート/令和7年度/原数値)。色を付けた行が、新規求人倍率の高い2か月です
倍率がいちばん低いのは4月の1.76倍、次が3月の1.97倍、1月の2.04倍、2月の2.09倍。4月入社に向けて動く1月から4月は、1年でいちばん倍率が低い区間でした。いちばん高いのは12月の2.47倍と11月の2.43倍で、就職件数の山とはきれいに別の月です。
決まった件数が多いのは事実ですが、それは応募する人も同じだけ増えているからです。1人あたりの選択肢はむしろ1年でいちばん狭くなります。
「4月入社だと得をする」と言われるものを、制度で数え直す
4月入社に有利さがあるとすれば、求人の数ではなく制度の側にあるはずです。ひとつずつ確かめました。
有給休暇:付与される月はずれるが、日数は変わらない
年次有給休暇は労働基準法の第39条で決まっています。条文はこうです。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
数え始めるのは入社日です。4月1日入社なら10月1日に10日。7月1日入社なら翌年1月1日に10日。付与される月はずれますが、もらえる日数は同じです。第2項でその後1年ごとに1日、2日……と加算されていく仕組みも、入社月に関係なく同じように動きます。
賞与・昇給・新卒研修:公式に一般則がないので、書けません
「4月入社なら賞与の査定期間をまるまる取れる」「新卒と同じ研修に入れる」という話はよく見かけます。ただしこれらはすべて会社ごとの規定で、国が定めた一般的なルールはありません。確認できないものを一般論として書くことはしません。
そのかわり、確かめる方法ははっきりしています。求人票と就業規則に書いてあります。気になるなら面接で「賞与の査定期間はいつからいつまでですか」と聞けば済む話で、そのために入社を3か月遅らせる必要はありません。
制度として全国一律に決まっているのは有給の数え方だけです。それも入社月で日数は変わりません。残りは応募先に直接聞いてください。
4月入社にこだわる意味がある人は、1種類だけです
ここまで否定が続きましたが、4月入社を狙う理由が制度の上ではっきりある人がいます。卒業して3年以内で、「新卒枠」にも応募できる人です。
厚生労働省は「青少年の雇用の促進等に関する法律」にもとづく指針で、学校卒業見込者の採用枠について事業主にこう求めています。
・できる限り上限年齢を設けないように努めること
出典:厚生労働省リーフレット「卒業後3年以内の既卒者は、『新卒枠』での応募受付を!」(LL021102開若01)・2026年9月27日に確認
新卒枠は4月の一括入社が前提です。だからこの枠に乗るなら、4月入社は「選ぶもの」ではなく「そういうもの」になります。ここだけは、4月に合わせる意味があります。
ただし全社が受け付けているわけではありません。同じリーフレットに載っている厚生労働省「労働経済動向調査」の数字を見てください。
| 新卒枠での既卒者の応募受付状況 | 割合 |
|---|---|
| 応募を受け付け、採用に至った | 32 |
| 応募を受け付けたが、採用に至らなかった | 38 |
| 応募不可 | 29 |
| 不明 | 1 |
出典:厚生労働省「労働経済動向調査(2020年8月)」。前年度に新規学卒者枠で正社員の募集を行った7,539事業所を100として集計。四捨五入のため計は100になりません
受け付けている会社は7割。3割は最初から応募できません。さらに、受け付けていた5,254事業所のうち「卒業後の経過期間に上限はない」が43、「2年超〜3年以内」が29、「1年以内」が13です。3年以内なら必ず出せるわけではない、という前提で動いてください。
ただし応募可否は会社ごとに違います。募集要項の「既卒可」「卒業後◯年以内」の表記を先に確認してから、スケジュールを組んでください。
自分が「卒業後3年」の内側にいるかどうかは、年齢ではなく最終学歴から数えます。そこだけを扱った記事を別に用意しています。
4月に合わせないと決めた人が、次に見る月
卒業して3年を超えている、あるいは新卒枠を狙わないと決めたなら、4月入社に合わせる理由は残りません。そうなると次の問いは「では何月に動くか」です。
4月は「求人はそこそこあるが、応募する人がそれ以上に多い月」です。そして見落とされがちなのがいちばん下の行。いま動けるのに4月入社に合わせると、そのぶん何か月かを待ちに使うことになります。第二新卒は在籍期間が短いほど選択肢が広い側面があるので、待つこと自体にコストがあります。
4月入社に合わせていい人
- 卒業後3年以内で、新卒枠にも出すつもりがある
- いまの会社の繁忙期が3月で、円満に抜けたい
- 資格試験や引っ越しの都合で、どのみち春まで動けない
合わせる必要がない人
- 卒業して3年を超えている
- いまの職場を続けるのがつらい
- 「4月のほうが求人が多そう」以外に理由が言えない
2つ以上あてはまる人は、4月を待たずに動いていい人です
- 卒業してから3年を超えている
- 新卒枠ではなく、中途枠で応募するつもりでいる
- 「4月入社が有利」と聞いた理由を、自分の言葉で説明できない
- いまの職場にあと半年いることを想像すると気が重い
→ 2つ以上なら、決めるべきは「何月に入社するか」ではなく「今月なにを始めるか」です。
4月1日入社から逆算すると、動き出しは去年の秋になる
それでも4月入社を選ぶ人のために、逆算の形にしておきます。4月1日入社を実際に成立させる段取りです。
- 10〜11月:持ち駒を数える
職務経歴の棚卸しと、応募先の条件の洗い出し。この時期は新規求人倍率が2.43〜2.47倍で1年の最高です。求人を見るだけでも、いちばん選択肢が広い時期にあたります。
- 12〜1月:応募する
1月の新規求人数は518,512件で年間2位。求人は出ています。ただし新規求職も254,131件と多く、倍率は2.04倍まで下がります。応募先を絞りすぎないでください。
- 1〜2月:選考を受ける
面接の日程が固まる時期。在職中なら有給の残りを確認しておきます。
- 2月:内定を取り、退職を伝える
就業規則の退職申し出期限を先に確認します。引き継ぎの期間を逆算すると、ここが最終ラインになります。
- 3月:引き継いで辞める
就職が決まった件数が年間最多の56,862件になるのがこの月です。同じことを考えている人がいちばん多い月でもあります。
令和8年度(4〜7月)の数字も同じ形だったのかを見る
同じ「除パート」で令和8年4月からの4か月を並べると、就職件数は4月47,626件・5月40,983件・6月45,036件・7月43,514件、新規求人倍率は4月1.69倍・5月2.06倍・6月2.22倍・7月2.27倍でした。4月に就職件数が跳ね、同じ月に倍率がいちばん低くなる形は前年度と変わっていません。令和8年4月の1.69倍は、前年同月の1.76倍よりさらに低い水準です。
自分の持ち駒がどこまで通るかを、先に見ておく
ここまで読んで「4月を待つ必要はなさそうだ」と思った人ほど、次にぶつかるのはいまの自分で何が狙えるのかという問いだと思います。月を選ぶより先に、そこを見たほうが早いです。
当メディアで、在籍年数・職種・希望条件を入れると選択肢の広がり方が見える転職シミュレーターを用意しています。登録も個人情報の入力も不要です。
入社月は応募先が決まってから調整できます。順番を逆にすると、待っている間に選択肢だけが減っていきます。
