※この記事の数字は、すべて厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」を実際に開いて、表から書き写したものです(確認日:2026年9月11日)。転職サービスの独自調査や、まとめサイトの数字は使っていません。筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、現在はファッションバイヤー兼古物商です。
26歳は「若いうちに」が効かなくなった直後の年齢です。そして、そこから20年ほとんど落ちません。
転職で賃金が1割以上上がった人の割合は、20〜24歳の44.2%から25〜29歳で34.2%に落ちます。ところがそのあとは、45〜49歳になっても30.0%。20年かけて4.2ポイントしか動きません。26歳は、急ぐ理由も、諦める理由も持っていない年齢です。決め手は年齢ではなく、次に何をやるかです。
数字がどこで落ちるのか見る「若いうちに」が数字で効くのは、24歳まで
26歳で転職を考えると、必ず言われる言葉があります。「若いうちに動いたほうがいい」。この言葉が本当かどうかは、実は国の統計で確かめられます。
厚生労働省の雇用動向調査は、1年間に転職した人に対して「前の職場と比べて賃金がどう変わったか」を毎年聞いています。しかも年齢階級ごとに出ています。これを開けば、何歳で何が起きるのかがそのまま読めます。
令和7年(2025年)の1年間に転職した人の数字です。アパレルだけではなく、全産業をまとめた数字である点は先に断っておきます。
| 年齢階級 | 賃金が増加 | うち1割以上の増加 | 変わらない | 賃金が減少 |
|---|---|---|---|---|
| 19歳以下 | 63.6 | 39.1 | 18.2 | 15.4 |
| 20〜24歳 | 55.2 | 44.2 | 19.9 | 17.5 |
| 25〜29歳 26歳はここ | 49.8 | 34.2 | 25.0 | 23.9 |
| 30〜34歳 | 48.6 | 32.8 | 20.8 | 29.0 |
| 35〜39歳 | 43.5 | 32.8 | 28.1 | 23.9 |
| 40〜44歳 | 44.9 | 29.9 | 24.6 | 27.4 |
| 45〜49歳 | 41.1 | 30.0 | 28.0 | 30.1 |
| 50〜54歳 | 29.4 | 18.4 | 26.7 | 42.0 |
| 55〜59歳 | 25.5 | 16.8 | 33.0 | 38.9 |
← 横にスクロールできます
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」表6 転職入職者の賃金変動状況別割合(単位:%・令和7年・全産業/2026年9月11日に確認)
見るべき列は3つ目の「1割以上の増加」です。「増加」だけを見ると数百円上がった人まで入ってしまい、転職した意味があったかどうかが分かりません。生活が変わる規模で上がった人の割合は、この列に出ます。
その列を上から下へ追うと、落ちる場所が2か所しかないことが分かります。
出典:同上の表6から筆者が引き算したもの(引いた数字はすべて上の表に載っています)
「若いうちに」という言葉が数字として効いているのは、24歳までです。25歳を越えた時点で10ポイント分はもう落ちています。26歳のあなたは、その言葉が効く側にはもういません。
落ちたあと、数字は20年ほとんど動かない
ここからが、この記事でいちばん伝えたいところです。26歳が落ちたあとの側にいるのは事実ですが、落ちたあとの平らな区間が、異様に長い。
「1割以上の増加」を、5歳きざみのメーターで並べます。
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」表6「1割以上の増加」の列(令和7年・全産業)
25〜29歳から45〜49歳まで、四段ぶんの幅がほとんど動きません。26歳と46歳で、大きく上がる確率は4.2ポイントしか違わない。これが表が言っていることです。
つまり26歳の転職には、次の2つが同時に成り立ちます。
アパレルで働く人にとって、この「次に何をやるか」は店を替えることではなく、職種を替えることを指します。同じ販売職で会社だけ替えても、賃金の段は変わりにくいからです。この構造はアパレルの給料が安い理由で統計から確かめています。
自分がどの職種に移れるか、3分で出す アパレル経験から移れる職種と、その賃金の段を表示します26歳で増えるのは、下がった人のほうです
上がる側ばかり見てきましたが、同じ表には下がった人も載っています。こちらの動き方は、上がる側と違います。
| 年齢階級 | 賃金が減少した割合 | 20〜24歳との差 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 17.5 | — |
| 25〜29歳 | 23.9 | +6.4 |
| 30〜34歳 | 29.0 | +11.5 |
| 35〜39歳 | 23.9 | +6.4 |
← 横にスクロールできます
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」表6「減少」の列(単位:%・令和7年・全産業)。右の列は左の数字どうしの引き算です
20代前半では、転職して賃金が下がった人は6人に1人ほどでした。25〜29歳では4人に1人に増えます。上がる確率が落ちるのと、下がる確率が増えるのが、同じ場所で起きています。
ここから読めることは1つです。26歳の転職は、20代前半のように「とりあえず動けば良くなる」ではなくなっている。上がる人と下がる人に割れる年齢に入っています。
下がる側に入らないために26歳ができることは、動く速さを上げることではありません。行き先を先に決めることです。
いま立っている産業が、どういう場所か
もう1つ、同じ調査から確かめておきたい数字があります。アパレルの販売や小売が属する「卸売業,小売業」という産業が、いま人の出入りでどこに位置しているかです。
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」表4-1・表4-2 産業、就業形態別入職率・離職率・入職超過率(令和7年/2026年9月11日に確認)
比べる相手は産業計です。産業計の入職率は14.7%、離職率は13.7%、入職超過率は+1.0ポイント。卸売業,小売業はどちらの率も産業計を下回っています。人が減っているわけではありませんが、他の産業ほど動いてはいません。
いっぽうで、離職者数1,120.8千人は全産業で2番目に多い数です(1位は医療,福祉の1,200.2千人)。率では平均より低く、人数では上位。母数が大きい産業だからです。
この2つを並べると、26歳のアパレル販売員が置かれている場所が見えます。周りは動いている(人数は多い)のに、産業としての動き方は平均より鈍い。だから「みんな辞めている」という肌感覚と、「思ったより求人が動かない」という実感が、同時に起きます。
26歳が決めるのは、動くかどうかではありません
ここまでの数字をまとめると、26歳が使える判断材料から「年齢」が消えます。年齢はもう効いていないからです。残るのは中身だけです。
まず、いまの自分がどちら側にいるかを確かめてください。
→ 3つ以上に当てはまるなら、動くかどうかより先に「移れる職種を並べる」段階です。5つ目だけに当てはまる場合は、まだ動く時期ではありません。
次に、行き先の決め方です。26歳の場合、順番を間違えると下がる側に入りやすくなります。
- 職種を先に決める会社名から探すと、いまと同じ販売職の求人ばかりが出てきます。先に決めるのは職種です。販売から動ける先は、店舗運営・EC・生産管理・企画・バイイング・人材と、思っているより広く分かれています。
- その職種の賃金の段を見る職種が決まったら、その職種の水準を統計で確かめます。求人票の想定年収ではなく、公的統計の水準です。段が上がらない職種に移ると、下がる側に入ります。
- いまの経験のどこが使えるかを1行にする「接客が得意」は26歳では通りません。数字・仕組み・改善のどれかで書けるものを1つ選びます。
- そのうえで会社を並べる会社を見るのは最後です。ここまでを決めずに求人を見ると、目に入った条件で決めてしまいます。
筆者は販売員から買取査定員に移り、いまはバイヤーをしています。移ったときに効いたのは年齢ではなく、「何をどれだけ扱ったか」を数で言えたことでした。26歳で悩んでいたときに知りたかったのは、上がる確率が20年平らだという、この表だけだったと思います。
年齢の話をもう少し広く見たい場合は、同じ表を製造業の側から読んだ30代で製造業に転職するに、上がる側でいられるのは何歳までかをまとめています。アパレルの中で職種を替えたときに賃金がどう動くかは、アパレルバイヤーの給料が具体的です。
よくある質問
26歳でアパレルから転職するのは早いですか、遅いですか?
26歳で転職すると、給料は上がりますか?
同じアパレルで店を替えるのと、職種を替えるのはどちらがいいですか?
アパレルが属する「卸売業,小売業」は、人が減っている産業ですか?
まとめ
26歳のアパレル転職で、いちばん時間を取られるのは「いま動くべきかどうか」です。ところが国の統計を開くと、その問いには答えが出ています。年齢はもう効いていません。
転職で賃金が1割以上上がった人の割合は、24歳までの44.2%から、25歳を越えて34.2%へ。ここで10.0ポイント落ちます。しかしそこから20年、45〜49歳の30.0%までほとんど動きません。26歳は落ちたあとの平地の入口に立っています。急いでも戻らず、待っても減りません。
同時に、賃金が下がった人の割合は20〜24歳の17.5%から25〜29歳で23.9%に増えます。上がる人と下がる人に割れはじめる年齢です。この割れ方を決めるのは、動く速さではなく行き先です。
やることは1つだけ。会社名を探す前に、移れる職種を並べて、その段を統計で確かめること。26歳に残された変数は、そこだけです。
移れる職種と、その賃金の段を見る アパレルの経験年数と担当を選ぶだけ・無料出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」3 転職入職者の状況/同「2 産業別の入職と離職」(いずれも2026年9月11日に確認)
