アパレル1年目の給料は年齢で変わらない|32歳の未経験は22歳より月3,400円低い

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アパレル1年目の給料

※この記事の給料の数字は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の統計表をe-Statから実際にダウンロードして読んだ値だけを載せています。求人サイトや他のまとめ記事の数字は使っていません。筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、現在はファッションバイヤー兼古物商として仕入れと買取の仕事をしています。

CONCLUSION

アパレル1年目の給料は、年齢でほとんど変わりません。32歳の未経験は、22歳より月3,400円ひくいくらいです。

1年目の額を決めているのは年齢ではなく、経験年数のほうです。そして本当に差がつくのは月給ではなく賞与でした。公的統計の「経験年数階級別」という表で、実数を並べます。

先に「賞与でいくら違うか」を見る
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アパレル1年目の給料は、月23.1万円

先に数字を置きます。国の統計で、アパレルの売場に立つ仕事にいちばん近い区分は「販売店員」という職種です。その中で「経験年数0年」、つまり1年目の人だけを取り出すとこうなります。

月額(所定内給与額)23.1万円
年間賞与8.5万円
年収換算285.3万円
この区分の人数9.1万人

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種)第14表 職種(小分類)、性、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(販売店員・男女計・一般労働者・企業規模計10人以上/産業計)。月額は2025年6月分。年収換算は所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額。

この表には残業代が入っていません。経験年数階級別の統計表は「所定内給与額」しか公表されていないためです。同じ調査で販売店員の平均を見ると、残業代などを含む「きまって支給する現金給与額」は所定内給与額より月1.68万円多く、超過実労働時間は月8時間でした。実際の手取りはこの額より上に振れます。

男女を分けると、同じ1年目でもこれだけ動きます。

販売店員・経験0年人数月額年間賞与年収換算
3.8万人24.6万14.6万309.2万
5.3万人22.0万4.2万268.2万
男女計9.1万人23.1万8.5万285.3万

← 横にスクロールできます(所定内給与額ベース・残業代を含まない)

補足:「販売店員」はアパレルに限らず、あらゆる業種の売場に立つ人が入った職種区分です。アパレルだけを取り出した職種の集計は公表されていません。またこの調査が数えているのは「一般労働者」で、パート・アルバイトなどの短時間労働者は別の集計になっています。

1年目は販売店員全体122.4万人のうち9.1万人、7.4%にあたります。20人の店なら1〜2人という割合です。

22歳の1年目と、32歳の1年目は、ほぼ同じ

ここがこの記事の本題です。求人票を見ていると「未経験でも年齢なりに出るのだろう」と思いがちですが、統計はそうなっていません。同じ経験0年どうしを年齢階級で並べると、線がほとんど寝ています。

販売店員の経験0年と経験年数計の所定内給与額を年齢階級別に比べた図。1年目は20〜24歳23.3万円、30〜34歳23.0万円でほぼ変わらない

年齢階級1年目の月額1年目の賞与1年目の年収換算参考:その年齢の全員の月額
20〜24歳23.3万3.6万283.6万23.4万
25〜29歳22.6万7.6万278.4万25.0万
30〜34歳23.0万10.5万286.5万26.4万
35〜39歳24.7万11.8万307.9万27.2万
40〜44歳23.8万22.3万308.4万28.5万
45〜49歳24.9万20.4万306.7万28.9万

← 横にスクロールできます

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(職種)第10表 職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(販売店員・男女計・一般労働者・企業規模計10人以上/産業計)。

左の列を上から下へたどってください。20代前半から40代後半まで、1年目の月額は22.6万円から24.9万円のあいだに収まっています。いちばん低いのは25〜29歳で、30〜34歳は20〜24歳より3,400円ひくい。年齢が上がっても、1年目の月給はほとんど動いていません。

いっぽう右端の「その年齢の全員」を見ると、23.4万円から28.9万円へきれいに上がっています。年齢による差は、経験がついたあとに出るものだということです。

20〜24歳の1年目23.3万月額・所定内
30〜34歳の1年目23.0万月額・所定内
-3,400円30代前半のほうが低い

30代で未経験から売場に入る人は、統計の上でも実在します。30〜34歳の販売店員12.7万人のうち、経験0年は9,700人。この年齢階級の7.6%です。少数ですが、珍しい進み方ではありません。

1年目と2年目以降で本当に差がつくのは、賞与

年齢で見ても動かないなら、何が動かしているのか。同じ30〜34歳の中を、経験年数で割ってみます。

30〜34歳・経験年数月額年間賞与年収換算
0年(1年目)23.0万10.5万286.5万
1〜4年24.8万33.9万331.3万
5〜9年27.2万53.6万380.2万
10〜14年27.5万57.1万386.6万
15年以上26.5万41.6万359.3万

← 横にスクロールできます(同じ年齢階級の中を経験年数で分けたもの)

1年目と2年目以降(1〜4年)の差は、年収換算で44.9万円です。この44.9万円の内訳を分けると、こうなります。

月給ぶんの差21.5万月1.8万円×12か月
賞与ぶんの差23.4万10.5万→33.9万
賞与の倍率3.2倍1年目と2年目以降

月給の差より、賞与の差のほうが大きいのです。1年目の賞与10.5万円は、同じ年齢の全員の平均46.1万円と比べると4分の1以下になります。1年目の年収が低く出る主因は、月給ではなく賞与のほうだと読めます。

販売員として入った年の冬の賞与は、封を開けたときに桁を見間違えたかと思う額でした。人事に聞いたら、賞与は前の半年の在籍月数で割られる仕組みで、入社した年は最初から満額の対象にならない、という説明でした。翌年の同じ月には普通の額になっていたので、給料が低い会社だったわけではなかったんです。1年目の数字だけで会社を判断しなくてよかったと、あとから思いました。

REAL EXPERIENCE — 元アパレル販売員/元買取査定員/現ファッションバイヤー
補足:賞与がどう計算されるかは会社ごとの規定なので、統計からは分かりません。上の体験談は筆者が勤めた会社での説明です。自分の会社がどうなっているかは、就業規則か賃金規程の賞与の条項を見てください。

何年目で上がるのか、経験年数で並べる

年齢階級をいったん外して、販売店員ぜんたいを経験年数だけで並べ直します。

経験年数人数月額年間賞与年収換算
0年9.1万人23.1万8.5万285.3万
1〜4年28.7万人24.4万37.0万329.9万
5〜9年26.2万人24.9万40.0万338.4万
10〜14年18.7万人25.9万42.5万352.8万
15年以上39.8万人30.2万67.7万430.2万

← 横にスクロールできます(販売店員・男女計)

形が読み取れます。0年から1〜4年で44.6万円上がり、そこから10〜14年までの10年余りで上がるのは22.9万円だけ。いちばん大きく動くのは、1年目から2年目にかけてです。そのあとは15年以上でもう一段上がるまで、なだらかになります。

男だけで見ると水準が上がり、1年目309.2万円、経験年数計430.9万円で、その差は121.7万円でした。

この統計から言えること

  • 1年目の月給は、どの年齢でもほぼ同じ幅に入る
  • 2年目にかけての伸びがいちばん大きい
  • 賞与は在籍が1年に満たないぶん小さく出る

この統計では分からないこと

  • アパレルだけの数字(産業計の職種区分のため)
  • 賞与が小さくなる仕組み(会社ごとの規定のため)
  • 個別の会社の初年度年収(求人票で確認するもの)

1年目の求人票は、どこを見ればいいか

ここまでの数字から、求人票の見かたが変わります。初年度の月給で会社を比べても、ほとんど差がつきません。統計上、1年目の月額は22.6万〜24.9万円という狭い幅に全員が入っているからです。

×
VERDICT 初年度の月給だけで会社を選ぶのは、効きません

その額はどこもほぼ同じ水準です。差が出るのは2年目以降の上がり方と、賞与の出かたのほうです。

代わりに、面接や求人票で確かめておくと効くのは次の3つです。いずれも1年目のうちにしか聞けない話ではなく、入る前に確認できます。

  1. 賞与の査定期間と、初年度の扱い

    いつからいつまでの在籍で計算するのか。入社年度が満額の対象になるのかどうか。ここで年20万円前後が動きます。

  2. 2年目に上がる幅が、何で決まるか

    等級が上がるのか、勤続で自動的に上がるのか。統計でいちばん大きく動くのがこの区間です。

  3. 提示額に何が含まれているか

    固定残業代や役職手当が月給に組み込まれていると、額面が同じでも中身が違います。所定内給与額に当たる部分がいくらかを見てください。

2つ以上あてはまる人は、いま条件を見直す段階です

  • 1年目の月給が22.6万円を下回っている
  • 2年目の賞与が、1年目とほとんど変わらなかった
  • 提示額に固定残業代が何時間ぶん入っているか知らない
  • 2年目以降どう上がるのか、説明を受けていない

→ 2つ以上なら、辞めるかどうかより先に「2年目の上がり方を数字で確かめる」段階です。

よくある質問

アパレル1年目の給料はいくらですか?
令和7年賃金構造基本統計調査の職種区分「販売店員」で経験年数0年の人を見ると、所定内給与額が月23.1万円、年間賞与が8.5万円、年収換算で285.3万円です(男女計・一般労働者・企業規模計10人以上/産業計)。男は309.2万円、女は268.2万円。この統計表は所定内給与額のみで、残業代は含まれていません。
30代で未経験からアパレルに入ると、給料は下がりますか?
1年目の水準は年齢でほとんど変わりません。経験0年の月額は20〜24歳が23.3万円、30〜34歳が23.0万円で、30代前半のほうが3,400円ひくいくらいです。ただし同じ30〜34歳でも経験10〜14年の人は年収換算386.6万円なので、同年代の中では100.1万円ひらきます。
1年目と2年目で、給料はどのくらい変わりますか?
30〜34歳で見ると、経験0年の年収換算286.5万円に対し、経験1〜4年は331.3万円で44.9万円の差があります。内訳は月給ぶんが21.5万円、賞与ぶんが23.4万円で、賞与のほうが大きく動きます。賞与は10.5万円から33.9万円へ3.2倍になります。
1年目の賞与が少ないのはなぜですか?
統計からは理由が分かりません。賞与の計算方法は会社ごとの賃金規程で決まっているためです。筆者が勤めた会社では、賞与は前の半年の在籍月数で割る仕組みで、入社した年は満額の対象になりませんでした。自分の会社の扱いは就業規則か賃金規程の賞与の条項で確認してください。
アパレル1年目の人は、どのくらいいますか?
販売店員122.4万人のうち、経験年数0年は9.1万人で7.4%です。30〜34歳にかぎると、その年齢階級12.7万人のうち経験0年は9,700人で7.6%にあたります。

まとめ

「アパレル1年目の給料」を調べて出てくる額と自分の明細を見比べるとき、年齢を基準にしても意味がありません。1年目の給料は、年齢ではなく経験年数で決まっているからです。

  1. 1年目の月給は、どの年齢でもほぼ同じ

    経験0年の月額は22.6万〜24.9万円の幅に収まります。30〜34歳は23.0万円で、20〜24歳より3,400円ひくい水準です。

  2. 差がつくのは賞与

    30〜34歳の1年目と2年目以降の差44.9万円のうち、23.4万円が賞与ぶんです。賞与は10.5万円から33.9万円へ3.2倍になります。

  3. いちばん動くのは1年目から2年目

    経験年数で並べると0年から1〜4年で44.6万円。そのあと10〜14年までの10年余りで上がるのは22.9万円だけです。

次にやることは1つだけです。手元の求人票か給与明細を出して、賞与の査定期間がいつからいつまでかを確認してください。そこが分かれば、いまの額が「1年目だから低い」のか「この会社だから低い」のかを、はじめて切り分けられます。

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