※この記事の数字は、2026年10月1日に公式ページを実際に開いて確認しました。開いたのは金融庁のNISA特設サイト、内閣府告示第540号、財務省の大綱、三菱UFJ eスマート証券の公式ページです。筆者は金融の専門家ではありません。証券外務員でもIFAでもなく、投資の助言はできません。この記事では特定の投資信託の名前は出しません。公式に決まっている条件と、18年先を見るときの軸だけを並べます。
銘柄は「自由に選ぶ」ものではありません。金融庁の条件を通った371本の中から、さらに証券会社が選んだ棚の中だけで選びます。
条件はすでに法令で決まっています。先にそれを知ると、見るべきところが4つに減ります。
18年持つなら何を見るかこどもNISAで買えるのは「つみたて投資枠の対象商品」だけ
まず範囲を確かめます。こどもNISAでは、株も債券も直接は買えません。
財務省の大綱は、受け入れられるものをこう書いています。
特定累積投資勘定に受け入れることができる公募等株式投資信託の受益権のうち次に掲げるもののみ
投資信託だけです。しかもその投資信託は、大人のNISAの「つみたて投資枠」で買えるものと同じ範囲になります。
証券会社の書き方も同じです。三菱UFJ eスマート証券は「こどもNISAでは、成人向けNISAのつみたて投資枠と同じ商品のお取引が可能です」と案内しています。
金融庁の条件で絞ると、残るのは371本
日本にある公募投資信託は数千本あります。そのうち、つみたて投資枠に入れるものは何本か。
金融庁が本数を公表しています。「つみたて投資枠対象商品の分類」という資料です。
| 分類 | 国内 | 内外 | 海外 |
|---|---|---|---|
| 公募投信・株式型 | 67本 | 36本 | 95本 |
| 公募投信・資産複合型 | 5本 | 154本 | 3本 |
| ETF | 5本 | ― | 6本 |
← 横にスクロールできます
合計で371本。2026年9月30日時点の数字です。
この表には読み方のコツがあります。いちばん多いのは「資産複合型・内外」の154本です。
資産複合型とは、株と債券などをまとめて持つタイプです。それが内外に分散している。つまりバランス型が対象の4割を占めています。
株式型だけを見ると198本。うち海外が95本で、国内は67本です。
どういう条件で371本まで絞られたのか
条件は2段構えです。政令で決まっているものと、金融庁の告示で決まっているものがあります。
金融庁の資料が、政令の要件を3つに整理しています。原文のまま引きます。
- 信託契約期間が無期限又は20年以上であること
すぐ終わる投資信託は入れません。18年持つ前提の制度なので当然です。
- ヘッジ目的等以外の目的でデリバティブ取引による運用を行わないこととされていること
仕組みが複雑で、値動きが大きくなるタイプを外しています。
- 毎月分配型でないこと
毎月お金を受け取る形だと、複利で増やす設計になりません。
そのうえで、手数料に上限がかかります。ここが本数をいちばん絞っている条件です。
| 種類 | 売買手数料 | 信託報酬(税抜)の上限 |
|---|---|---|
| 指定インデックス投信(国内) | ノーロード | 0.5% |
| 指定インデックス投信(海外) | ノーロード | 0.75% |
| それ以外の投信(国内) | ノーロード | 1% |
| それ以外の投信(海外) | ノーロード | 1.5% |
| ETF | 1.25%以下 | 0.25% |
← 横にスクロールできます
告示の原文は分数です。「国内型インデックス投資信託 千分の五」「海外型インデックス投資信託 一万分の七十五」。上の表はこれを%に直したものです。
ノーロードとは、買うときの手数料がゼロという意味です。告示は「受入れに際して……手数料が支払われないこととされていること」と書いています。
インデックス型以外、いわゆるアクティブ型には、さらに3つの条件が付きます。
アクティブ型が対象になるための条件
- 純資産額が50億円以上
- 運用の実績が5年以上
- 信託期間の3分の2以上で、資金の流入が流出を上回っている
→ 新しく作られたばかりの投資信託は、そもそも対象になりません。
インデックス型は、指数まで金融庁が決めている
「指定インデックス投信」という言葉が出てきました。これは勝手に名乗れるものではありません。
どの指数に連動するかまで、告示の別表で決められています。国内の指数は6つです。
ライムで示した2つが、今回の改正で追加されたものです。大綱の原文にも「読売株価指数」「JPXプライム150指数」と書かれています。
海外等の指数は16あります。S&P500、MSCI ACWI Index、FTSE Global All Cap Indexなど、名前を見たことがあるものが並びます。
債券や不動産の指数は別表第二に分かれていて、こちらにはNOMURA-BPI総合やFTSE World Government Bond Indexが載っています。
証券会社の棚は、371本より狭い
ここが見落とされがちです。371本ぜんぶが、どの証券会社でも買えるわけではありません。
SBI証券は「つみたて投資枠の対象となる投資信託のうち当社が指定するものに限られます」と書いています。楽天証券も「対象の投資信託はNISAつみたて投資枠の対象商品に準じます」という書き方です。
本数を出しているのは1社だけでした。三菱UFJ eスマート証券が「対象商品:投資信託 約270銘柄」(2026年6月26日現在)と公表しています。
どの会社が受付を始めているかは、証券15社を1社ずつ調べた記事にまとめました。
18年持つなら、何を見るか
ここからが本題です。条件を通った商品の中で、何を比べるか。
先に書いておきます。この記事は「これを買えばいい」とは書きません。筆者は金融の専門家ではなく、助言もできないからです。
代わりに、公式の数字から言える「見る順番」を4つ挙げます。
- 信託報酬を見る
持っている間ずっと、残高から引かれ続けます。18年なら216回です。上限が0.5%でも、実際の平均はもっと低い。金融庁によると、国内の指定インデックス投信の平均は0.27%、内外・海外は0.34%です。
- どこに分散しているかを見る
371本の内訳が、そのまま選択肢の地図です。国内の株だけか、海外も入れるか、株と債券を混ぜるか。いちばん本数が多いのは内外の資産複合型(154本)です。
- 指定インデックス型か、それ以外かを見る
指定インデックス型は、連動させる指数が告示で決まっています。それ以外は運用会社の判断が入ります。どちらが良いかではなく、値動きの説明がつくかどうかの違いです。
- 使う日から逆算する
こどもNISAは引き出しに制限があります。使う時期がずらせないお金を、値動きするものに全額入れるのは避けたほうがいい。制度の前提として元本は保証されません。
ランキングは買った人の多さであって、その子の18年に合うかどうかとは別の話です。順位を見るより、信託報酬と投資先の地域を見るほうが、あとから説明がつきます。
信託報酬の差は、18年でいくらになるか
4つの軸のうち、いちばん先に数字で比べられるのが信託報酬です。計算しました。
月1万円を18年(216か月)積み立て、信託報酬を引く前の運用成果を年率3%と仮定した場合です。
| 信託報酬 | 18年後 | いちばん低い場合との差 |
|---|---|---|
| 0.10% | 283.9万円 | ― |
| 0.27%(国内インデックスの平均) | 279.2万円 | 4.7万円 |
| 0.34%(内外・海外インデックスの平均) | 277.3万円 | 6.6万円 |
| 0.50%(国内型の法令上の上限) | 273.0万円 | 10.9万円 |
| 0.75%(海外型の法令上の上限) | 266.5万円 | 17.4万円 |
| 1.50%(インデックス型以外の上限) | 248.1万円 | 35.8万円 |
← 横にスクロールできます
積立元本は216万円です。0.10%と0.75%の差は17.4万円。元本の8%にあたります。
月2万円(元本432万円)なら、同じ差が34.7万円になります。
ただし信託報酬が低いほど成績が良い、という意味ではありません。運用成果は商品ごとに違います。同じ成果なら差が出る、という話です。
やりがちだけど、やめたほうがいいこと
公式ページでも確認できなかったこと
推測で埋めずに、そのまま書きます。
- 楽天証券・SBI証券の取扱本数
どちらも「つみたて投資枠の対象商品に準じる」「当社が指定するもの」とあるだけで、本数の記載が見つかりませんでした。
- こどもNISA専用の対象商品リスト
金融庁のNISA特設サイトに、未成年者向けの対象商品リストはまだありません。2026年9月30日時点の371本は、大人のつみたて投資枠のものです。
- 政令の条文そのもの
e-Gov法令検索がシステムメンテナンス中で開けませんでした。3つの要件は、金融庁が公表している資料に書かれた文言で確認しています。
- 指定指数が追加された時期
読売株価指数とJPXプライム150指数は、大綱にも告示の別表にも載っていました。ただし告示のいつの改正で入ったかまでは確認していません。
よくある質問
こどもNISAで個別の株は買えますか?
つみたて投資枠の対象商品は何本ありますか?
信託報酬には上限があるのですか?
証券会社によって買える本数は違いますか?
結局どれを買えばいいですか?
まとめ
こどもNISAの銘柄選びは、白紙から選ぶ作業ではありません。
法令が先に絞っています。信託契約期間が20年以上か無期限。毎月分配型でない。デリバティブで運用しない。そして信託報酬に上限がある。
そこを通ったのが371本で、証券会社が選んだあとはさらに狭くなります。三菱UFJ eスマート証券で約270銘柄でした。
残った中で見る順番は、信託報酬、投資先の地域、指定インデックス型かどうか、そして使う日からの逆算。この4つです。
18年という時間は、月1万円でも信託報酬0.65ポイントの差が17万円になる長さでした。最初に決めるものの重さは、金額より期間で決まります。
なお「こどもNISA」は各社が使っている通称で、税法上の名称は「未成年者特定累積投資勘定」です。
出典(いずれも2026年10月1日に公式ページで確認):金融庁「つみたて投資枠対象商品」/同「つみたて投資枠対象商品の概要について」/内閣府告示第540号「非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準」/金融庁「NISA制度の概要」/財務省「令和8年度税制改正の大綱」/三菱UFJ eスマート証券「こどもNISA」/計算に使ったスクリプトは scripts/kodomo_nisa_sim.py
