※この記事の給料の数字は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の統計表をe-Statから実際にダウンロードして読んだ値だけを載せています。求人サイトや他のまとめ記事の数字は使っていません。筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、現在はファッションバイヤー兼古物商として仕入れと買取の仕事をしています。
「平均」は、あなたより月1.8万円ぶん高く出ます。そして年齢で見ると、上がり方は45〜49歳で止まります。
平均額と自分の明細が合わないのは、あなたの給料が低いからとはかぎりません。平均という数え方が、上に引っぱられる作りになっているからです。平均・中央値・年齢別の3つを、公的統計の実数で並べます。
先に「何歳で止まるか」を見るアパレル販売の給料の平均は、384.8万円
先に数字を置きます。国の統計で、アパレルの売場に立つ仕事にいちばん近い区分は「販売店員」という職種です。ここの数字はこうなっています。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別(販売店員・男女計・一般労働者・企業規模計10人以上/産業計)。月額は2025年6月分。年収換算は月額×12+年間賞与その他特別給与額。
この384.8万円は男女を合わせた数字です。男女を分けると、同じ「販売店員」でもこれだけ動きます。
| 販売店員 | 人数 | 平均年齢 | 勤続 | 月額 | 年間賞与 | 年収換算 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 男 | 57.7万人 | 43.1歳 | 13.2年 | 32.6万 | 67.7万 | 459.3万 |
| 女 | 64.8万人 | 44.1歳 | 9.9年 | 24.3万 | 27.3万 | 318.4万 |
| 男女計 | 122.4万人 | 43.6歳 | 11.5年 | 28.2万 | 46.4万 | 384.8万 |
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ここまでは、よその記事にも似た数字が出ています。この記事で見てほしいのは、この先です。
平均と中央値は、月1.8万円ちがう
平均には、ひとつクセがあります。高いほうの人が少数いるだけで、全体の平均が持ち上がるという性質です。だから「平均より下だった」という結果は、思っているほど珍しくありません。
それを確かめるための数字が、同じ調査に載っています。中位数(中央値)です。全員を給料の低い順に並べて、ちょうど真ん中に立っている人の額を指します。
販売店員の所定内給与額の分布(男女計)
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)、所定内給与額階級別労働者数及び所定内給与額の分布特性値(販売店員・男女計・一般労働者・企業規模計10人以上/産業計)。帯の色が濃い部分は第1・四分位数(20.2万円)から第3・四分位数(30.7万円)まで=ちょうど真ん中の半分の人がいる範囲。
ピンの位置を見てください。平均は、真ん中より右にあります。つまり、平均額を自分の明細と見比べると、真ん中に立っている人でも「平均以下」になります。これは統計の作りであって、あなたの評価ではありません。
もう1つ、この帯から読めることがあります。下位10%が17.3万円、上位10%が37.9万円で、上と下で2.2倍ひらいています。同じ「販売店員」という職種の中でも、会社や役職でこれだけ幅があるということです。
販売員だった頃、求人票に出ていた「平均年収」と自分の明細を並べて、何度も計算し直した記憶があります。計算が間違っていたわけではありませんでした。見ていたのが平均だったというだけです。中央値を先に知っていれば、あんなに落ち込まずに済んだと思います。
年齢で見ると、45〜49歳で止まる
ここがこの記事の本題です。平均は「今の全員をまとめた1つの数字」なので、これから自分の給料がどう動くかは何も教えてくれません。年齢階級ごとに並べ直すと、動き方が見えます。

| 年齢階級 | 月額 | 年間賞与 | 年収換算 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 24.8万 | 27.0万 | 325.1万 |
| 25〜29歳 | 26.8万 | 45.2万 | 367.2万 |
| 30〜34歳 | 28.4万 | 46.1万 | 387.1万 |
| 35〜39歳 | 29.2万 | 51.3万 | 401.9万 |
| 40〜44歳 | 30.5万 | 61.1万 | 427.6万 |
| 45〜49歳 | 30.8万 | 59.4万 | 428.4万 |
| 50〜54歳 | 30.1万 | 55.6万 | 417.3万 |
| 55〜59歳 | 28.7万 | 48.1万 | 392.8万 |
| 60〜64歳 | 25.1万 | 27.7万 | 329.3万 |
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読み取れることは3つです。
- 20年かけて、月3.9万円しか上がらない
25〜29歳の月26.8万円から、天井の45〜49歳で月30.8万円。年収換算では367.2万円から428.4万円で、20年で61.2万円です。1年あたり3万円ほどの上がり方になります。
- 天井は45〜49歳。そのあとは下がる
50〜54歳で417.3万円、55〜59歳で392.8万円。60〜64歳の329.3万円は、25〜29歳の水準を下回ります。上がり続ける形にはなっていません。
- 30代の10年で動くのは40.5万円
30〜34歳の387.1万円から40〜44歳の427.6万円まで。月にならすと3.4万円です。「もう少し続ければ変わる」という感覚と、この数字は合いません。
同じ「販売」でも、30代で差が倍になる
この止まり方が販売という仕事そのものの限界なのか、それとも「販売店員」という区分の話なのか。それを見るために、同じ調査の中で近い職種と並べます。「その他の商品販売従事者」という区分で、営業や商品仕入に近い販売の仕事が入っています。
| 年齢階級 | 販売店員 | その他の商品販売従事者 | 差 |
|---|---|---|---|
| 25〜29歳 | 367.2万 | 454.8万 | 87.5万 |
| 30〜34歳 | 387.1万 | 547.4万 | 160.2万 |
| 35〜39歳 | 401.9万 | 584.7万 | 182.7万 |
| 40〜44歳 | 427.6万 | 591.3万 | 163.7万 |
| 45〜49歳 | 428.4万 | 620.9万 | 192.5万 |
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20代後半では87.5万円だった差が、30代前半で160.2万円になります。5年でおよそ倍です。どちらも「販売」と名の付く職種で、どちらも同じ調査の同じ条件で数えられています。
差が広がるのは、販売店員の上がり方が小さいからです。25〜29歳から30〜34歳にかけて、販売店員は年収換算で19.9万円ふえます。その他の商品販売従事者は92.6万円ふえます。同じ5年です。
差が小さいうちに動く場合
- 移った先で追いつける幅が大きい
- 販売の経験年数が実績として通じる
- 年収が下がる時期までに積める額が多い
そのまま売場を続ける場合
- 上がり方は年3万円ほどで止まる
- 45〜49歳が天井で、50代からは下がる
- 差が開いてから動くと相手の水準が上がっている
30代のうちに確認しておく3つ
統計は「どこが動くか」までしか教えてくれません。実際に判断するには、自分の側の数字が要ります。手元の給与明細から出せるものばかりです。
この3つが言えないうちは、求人票を見比べても判断できません
- 直近1年の「賞与込みの年収」が、いくらか
- その額が、同じ年齢階級の表のどこに当たるか(上の表と見比べる)
- いまの会社で、5年後にいくらになる見込みか(先輩の役職と年数から逆算する)
- 3つめが「+20万円くらい」なら、それは表の上がり方とほぼ同じです
→ 4つめに当てはまった人は、いまの場所で待っても表のカーブどおりにしか動きません。動かすなら職種の側です。
差が87.5万円から160.2万円に広がるのが、ちょうどこの5年です。販売の経験を持ったまま移れる先(商品仕入・EC・営業・本部)がどれかを、求人を見る前に決めておくと迷いません。
年間賞与は年齢階級によって27.0万円から61.1万円まで動きます。同じ販売の仕事でも、賞与の支給実績が違う会社に移れば年収は変わります。仕事の中身を変えずに条件だけを替える、という選び方は成立します。
よくある質問
アパレル販売の給料の平均はいくらですか?
平均と中央値はどのくらい違いますか?
販売店員の給料は何歳まで上がりますか?
なぜ30代のうちに動いたほうがいいのですか?
まとめ
「アパレルの給料の平均」を調べて自分の額と合わなかったとき、疑うべきは自分の明細ではなく、平均という数え方のほうです。
- 平均は中央値より1.8万円高い
販売店員の所定内給与額は、平均26.5万円に対して中央値24.8万円。真ん中の人でも「平均以下」になります。
- 上がり方は45〜49歳で止まる
年収換算の天井は428.4万円。25〜29歳からの20年で61.2万円、そのあとは下がります。
- 差が広がるのは30代前半
その他の商品販売従事者との差は、20代後半87.5万円から30代前半160.2万円へ。動くなら差が小さいうちです。
次にやることは1つだけです。直近1年の「賞与込みの年収」を1つの数字にして、上の年齢階級の表のどこに当たるかを見てください。そこが分かれば、求人票の想定年収が自分にとって上がる話なのか下がる話なのか、はじめて判断できます。
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