筆者は元アパレル販売員で、いまはブランド古着の買取業を営んでいます。統計の数字は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で確認したものです。年齢・勤続年数以外の条件(学歴、企業規模、役職、地域など)はそろえていない平均どうしの比較です。
未経験で不利になるのは業界ではなく職種です。同じ「未経験」でも、売る相手が変わるだけの職種なら通ります。
販売店員(男)の年収換算は459.3万円、その他の営業職業従事者(男)は689.0万円。年齢も勤続年数もほぼ同じで229.7万円ひらきます。未経験を恐れて同じ職種に留まるほうが、金額の差は大きくなります。
どこが「未経験」になるのかを見る「未経験」には2種類あります
求人票の「未経験OK」は、何が未経験でいいのかを書いていないことがほとんどです。実際には2つに分かれます。
| 種類 | 何が未経験か | 販売経験の効き方 |
|---|---|---|
| 業界が未経験 | 扱う商品が変わる | よく効く |
| 職種が未経験 | 仕事の中身そのものが変わる | 半分しか効かない |
販売から別業界の営業に移るのは「業界が未経験」です。売る相手と商品が変わるだけで、売るという行為は同じ。だから経験がそのまま効きます。
一方で販売からデザイナーや経理に移るのは「職種が未経験」。ここは経験がほとんど効きません。
数字で見ると、どちらが不利か
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別(男・一般労働者・企業規模計10人以上/産業計)。年収換算は月額×12+年間賞与その他特別給与額。
年齢も勤続年数もほぼ同じなのに229.7万円ひらいています。この差は「経験が足りない」では説明がつきません。職種そのものの差です。
30代の未経験は、どこまで通るか
年齢による採否の基準は公表されていないので、この記事では「30代なら大丈夫」といった断定はしません。確かなのは、販売経験がそのまま効く職種と、ほとんど効かない職種があるということだけです。
私は新卒で入ったアパレルを8ヶ月で辞めて、そのあと買取の査定をしていました。査定は未経験でしたが、お客さんと値段の話をするという点は販売と同じでした。逆に、事務作業の比重が高い仕事に移った同期は、そこで苦労していました。効くかどうかは「毎日やることが似ているか」で決まります。
- 接客の相手が個人から法人に変わるだけ
営業職。売る行為が同じなので、販売の数字がそのまま説明材料になります。
- 売る場所が店からネットに変わるだけ
EC。ただし求人票の「未経験OK」はEC未経験OKであって、アパレル未経験OKとは限りません。
- 売る側から仕入れる側に回る
バイヤー・MD。数字の読み方が求められるので、実績を数字で説明できるかが分かれ目になります。
未経験の求人で、何を確かめるか
求人票で必ず見るところ
- 「未経験OK」が何の未経験を指しているか(業界か職種か)
- 入社後にやることが、いまの仕事とどこが同じか
- 研修の期間と中身が書いてあるか
- 賃金の下限(未経験スタートの実額)
→ いまと同じ部分が1つも見つからない求人は、職種が未経験の側です。年収が下がる前提で見てください。
賃金の下限は必ず見てください。「未経験OK」の求人ほど、下限が低く設定されています。上限だけ見て応募すると、提示額で驚くことになります。
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