第二新卒で大手に転職できるのか|空き枠が出にくい理由と、狙いをずらす3つの手

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第二新卒で大手に転職できるのか

※この記事に出てくる数字は、すべて厚生労働省の公式資料と、各サービスの公式サイトを筆者が実際に開いて確認したものだけを載せています(調査時点のもので、統計は更新されます)。筆者は新卒で入ったアパレルを8ヶ月で辞めた元販売員で、その後は買取査定員を経て、いまはブランド古着買取「オーラリアン」とG-SHOCK買取「ShockMania」を運営する古物商です。

CONCLUSION

第二新卒で大手に行けるかどうかは、あなたの経歴より席が空いているかで決まります。

大手は人が辞めません。1,000人以上の会社に入った大卒者の3年以内離職率は27.0%で、5人未満の会社の半分以下です。つまり空く席そのものが少ない。だから「受かる自分になる」より先に、どこの席を狙うかをずらすほうが早く決まります。この記事では、その狙いのずらし方を公式データだけで組み立てます。

なぜ大手の枠が小さいのかを見る

「第二新卒で大手は無理」は本当か

先に結論を出します。無理ではありません。ただし、「大手ぜんぶ」を等しく狙うのはやめたほうがいい、というのが正確な答えです。

VERDICT 狙う価値はある。ただし「大手」を絞り込んでからにする

門は開いています。国も「卒業後3年間は応募できるように」と会社側に求めています。ただし開いている門の数が少ないので、片っ端から出すと落ち続けて時間だけが減ります。

まず、法律の側から見ておきます。「第二新卒」という言葉に法律上の定義はありませんが、それに近い線引きを国が示しています。厚生労働省は「青少年の雇用の促進等に関する法律」にもとづく指針で、事業主に対してこう求めています。

補足:指針が事業主に求めていることは2つです。「既卒者が卒業後少なくとも3年間は応募できるように努めること」「できる限り上限年齢を設けないように努めること」。どちらも努力義務で、罰則はありません。「必ず受け付けなければならない」ではない点が大事です。

では、実際の会社はどう動いているのか。厚生労働省が同じリーフレットに載せている調査結果が、そのまま答えになります。

既卒者の応募を受け付けている事業所71%「採用に至った」32+「至らなかった」38
実際に既卒者を採用できた事業所32%受け付けても採用まで届くのは3割
そもそも応募不可の事業所29%新卒枠に既卒者を入れない会社

出典:厚生労働省リーフレット「卒業後3年以内の既卒者は、『新卒枠』での応募受付を!」(掲載データの出所は厚生労働省「労働経済動向調査」2020年8月。前年度に新規学卒者枠で正社員の募集を行った7,539事業所を100として集計。四捨五入のため合計は100になりません)

読み方はこうです。10社のうち7社は、既卒者の応募そのものは受け付けている。けれど、そのうち実際に採用まで至ったのは3社。残る3社は最初から応募すらできません。門は開いているが、通り抜けた人は多くない、という状態です。

もうひとつ、応募できる期間の実態も出ています。既卒者が応募可能だった事業所(5,254事業所)を100とすると、「上限はない」が43、「2年超〜3年以内」が29、「1年超〜2年以内」が8、「1年以内」が13、「3年超」が4、不明が1でした。つまり、期限を切っている会社のなかでは「卒業から3年」が事実上の壁になっています。3年ルールそのものの中身は別記事にまとめてあるので、そちらを読んでください。

大手は「辞めない」から、そもそも枠が小さい

ここがこの記事の本題です。第二新卒の求人が出るのは、誰かが抜けた席です。ところが大手は人が抜けません

大学を出て就職した人の3年以内離職率を事業所規模別に並べた図。5人未満57.5%に対し1,000人以上は27.0%
事業所の規模が大きいほど、3年以内に辞めた人の割合は下がる。厚生労働省の公表値をもとに筆者作成。
事業所の規模1年目まで2年目まで3年以内
5人未満30.2%46.5%57.5%
5〜29人24.0%40.2%52.0%
30〜99人16.0%30.2%41.9%
100〜499人11.8%23.7%33.9%
500〜999人10.2%21.7%31.5%
1,000人以上8.1%18.2%27.0%
規模計12.0%23.9%33.8%

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出典:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」新規大卒就職者の事業所規模別離職状況(令和4年3月卒の新規大卒就職者 448,485人。3年以内の数値が出そろっている最新の卒業年です)

5人未満の会社では、入った人の6割近くが3年以内にいなくなります。1,000人以上では4人に1人強。同じ「新卒で入った人」でも、辞める率が2倍以上ちがうということです。

会社としては、辞めない前提で新卒を採り、育てています。だから第二新卒を採るのは「予定より抜けた分の穴埋め」か「新卒採用で予定数に届かなかった分の補充」がほとんどで、常時開いている入口ではありません。ここを分かっていないと、求人サイトを毎日眺めて「大手の求人が全然ない」と感じることになります。ありません、が正解です。

この数字は「大手に入っても3割近くは3年で辞めている」とも読めます。大手=安泰ではありません。この記事では大手を勧めているのではなく、大手を狙うならどこに力を使うべきかを書いています。

その「大手」で、あなたが本当に欲しいものはどれか

枠が小さいと分かったら、次にやるのは絞り込みです。「大手」という言葉を分解して、自分が欲しいものだけを取りに行きます。ほとんどの人は、次の3つのうちどれか1つが欲しいだけで、3つ全部が要るわけではありません。

  1. お金がほしい(年収)

    いまの給料が生活に対して足りない、というタイプ。これは会社の大きさではなく業界と職種でほぼ決まります。同じ大手でも部署で数百万円ちがうので、社名で選ぶと外します。

  2. 潰れないでほしい(安定)

    会社がなくなる不安、休みが読めない不安。これは規模と相関しますが、500〜999人規模でも3年以内離職率は31.5%と1,000人以上に近い水準です。「1,000人以上でなければ不安」というほどの差ではありません。

  3. 説明できる会社にいたい(ネームバリュー)

    親や友人に言いやすい、次の転職で通りやすい。これだけは規模と知名度そのものが価値なので、代わりが利きません。ただし、いちばん枠が小さいのもここです。

2つ以上あてはまる人は、社名から先に選ぶのをやめたほうがいい

  • 志望動機を書こうとすると、その会社ならではの理由が出てこない
  • 「大手」と言われて思い浮かぶ社名が5つ以内で止まる
  • いまの会社の不満を、給料・時間・人間関係のどれか1つに言い換えられない
  • 受ける会社を、求人サイトの検索結果の並び順で決めている

→ 2つ以上なら、まだ応募の段階ではありません。次のセクションの「狙いをずらす3つの手」から先に読んでください。

NAME

大手の「看板」を取りに行く

枠:小
  • 誰に話しても伝わる
  • 次の転職でも効く
  • 倍率が高く、決まるまで長い
  • 入れる部署は選べないことが多い
CONTENT

大手の「中身」を取りに行く

枠:中
  • 年収・休日・教育制度で選ぶ
  • グループ会社や準大手が候補に入る
  • 社名では自慢しにくい
  • 決まるまでが早い

狙いをずらす3つの手

枠が小さいところに正面から並ぶのではなく、同じものが手に入る別の入口を使います。順番に意味があるので、上から検討してください。

  1. グループ会社・子会社から入る

    大手の看板・給与テーブル・福利厚生を共有していることが多く、それでいて中途採用の枠は本体より開いています。転職サイトで社名を検索するのではなく、本体のコーポレートサイトにある「グループ会社一覧」を開いて、そこから会社名を拾うのがいちばん確実です。求人サイトの検索窓では出てきません。

  2. 100〜499人の「準大手」を候補に入れる

    この規模の3年以内離職率は33.9%で、規模計の33.8%とほぼ同じ。1,000人以上(27.0%)ほどではありませんが、30〜99人(41.9%)とは明確に差があります。安定が欲しいだけなら、ここで足りている可能性が高いです。

  3. 職種をずらして、あとから中に入る

    大手は職種によって入りやすさがまったく違います。営業・販売・カスタマーサポート・施工管理のように人が動く職種は枠が出ますが、企画・管理部門は動きません。先に動く職種で入り、社内公募や異動で移るのが、遠回りに見えていちばん通る道です。

補足:3の「あとから移る」を狙うなら、応募の前にその会社に社内公募制度があるかを確認してください。制度がない会社で「いずれ異動できる」と期待するのは、ただの願望になります。

応募する前に、この順番でやる

ここからは手順です。第二新卒の転職でいちばん多い失敗は、準備が終わる前に応募を始めて、持ち駒を使い切ってしまうことです。大手は受け直しがしにくい(同じ会社に1年以内の再応募を受け付けない運用が珍しくない)ので、順番を守る価値がふつうの転職より高くなります。

1.志望先の「中の人」が何と言っているかを先に読む

大手ほど、外から見た印象と中の実態がずれます。年収も、部署ごとの働き方も、選考で何を聞かれるかも、外側の会社紹介ページには載っていません。ここを埋めないまま志望動機を書くと、面接でいちばん最初に見抜かれます。

無料で読めるものとしては、ワンキャリア転職(ワンキャリアプラス)が使いやすいところです。運営はONE CAREER Inc.で、無料の会員登録をすると企業ごとの年収情報・クチコミ・選考対策・転職体験談が読めます。読むだけなら誰にも連絡は行かないので、応募を決める前の下調べに向いています。

ワンキャリア転職で企業の年収・体験談を見る 公式サイトを見る

2.辞めた理由を、事実の順番で書き出す

紙に、いつ・何があって・自分が何をしたか、だけを時系列で書きます。感情や評価は書きません。これをやっておくと、職務経歴書の材料になり、面接で言い方がぶれなくなります。逆にここを飛ばすと、毎回ちがう話をしてしまいます。

3.職務経歴書を、1社目に出す前に他人に見せる

在籍1〜3年の職務経歴書は、書くことが少なくて当たり前です。少ないから通らないのではなく、少ない中身をどう並べるかで通り方が変わります。ここだけは自分では判断できないので、人に見てもらってください。

4.そのうえで、応募をまとめて出す

1社ずつ出して結果を待つと、1周に1ヶ月かかります。在職中ならなおさら時間がありません。書類が固まってから、まとめて出してください。

書類が書けない、何から始めるか分からないなら

上の3をひとりでやるのが難しいなら、20代に特化したエージェントに無料で見てもらうのが早いです。大手の総合型エージェントは求人数が多いぶん、経歴が短い人には時間を割きにくい構造があります。20代しか扱っていないところのほうが、書類の作り方から一緒にやってくれます。

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第二新卒エージェントneo

株式会社ネオキャリアが運営する、20代に特化した就職・転職サポートです。第二新卒・既卒・フリーターを対象にしていて、キャリアカウンセリングのほか、履歴書・職務経歴書の書き方指導と添削、自己PRや志望動機づくり、模擬面接まで見てもらえます。面接後のフィードバック、条件の交渉代行、内定後の研修まで用意されています。拠点は東京本社(新宿区)・大阪支社・福岡支社で、対応エリアは全国です。

第二新卒エージェントneoに相談する 20代(第二新卒・既卒・フリーター)向け/東京・大阪・福岡+全国対応

出典:第二新卒エージェントneo 公式サイト(サポート内容・拠点・対象は公式サイトの記載を確認したもの。調査時点)

向いている人

  • 職務経歴書に書くことが思いつかない
  • いまの会社を辞める理由をうまく言えない
  • 大手の総合型エージェントで話が続かなかった
  • 相談できる相手が周りにいない

向いていない人

  • すでに志望企業と職種が固まっている
  • 30歳以上(20代向けのサービスです)
  • 専門職で、業界特化型のほうが求人が合う
  • 自分のペースだけで進めたい

30歳を過ぎている人が、この記事を読んでいるなら

ここは正直に書きます。30歳を過ぎると「第二新卒」の枠では戦えません。卒業から3年という線を超えているので、応募先は中途採用の枠だけになります。上で紹介したサービスも20代向けです。

ただし、転職そのものが難しくなるわけではありません。厚生労働省の調査では、男性の転職入職率は25〜29歳で15.1%、30〜34歳で10.3%、35〜39歳で7.9%です。30代前半でも10人に1人が動いています。落ちるのは30代後半からで、30〜34歳は「まだ動ける最後の広い層」と読むのが正しい見方です。

出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」3 転職入職者の状況(男性・年齢階級別転職入職率)

お金の面も見ておきます。同じ調査で、転職した人の賃金は前職と比べて「増加」が40.5%、「減少」が29.4%、「変わらない」が28.4%。1割以上増えた人が29.4%、1割以上減った人が21.7%です。増えるほうが多いものの、3割は下がっている——これが実態です。「転職すれば上がる」でも「転職すると下がる」でもありません。

注意:在職中に動く場合、就業規則で副業・競業や退職の申し出時期が定められていることがあります。応募より先に自社の規定を確認してください。退職日を先に決めてしまうと、選考が長引いたときに無収入の期間ができます。

8ヶ月で辞めた自分が、いま思うこと

入社4ヶ月目、店長から「今月あと3万円買ってくれない?」と言われました。社販は自腹です。給料の3分の1が服代に消えていることに気づいて、そこで辞める決心がつきました。辞めたあと、大手のアパレルを片っ端から受けて全部落ちました。理由は単純で、8ヶ月で辞めた人間が「御社の理念に共感した」としか言えなかったからです。

REAL EXPERIENCE — 新卒で入ったアパレルを8ヶ月で退職

あのとき足りなかったのは根性でも学歴でもなく、受ける会社を絞ることと、辞めた理由を事実の順番で説明する準備だけでした。落ちた10社ぶんの時間を、1社の下調べに使っていれば結果は違ったはずです。

いまは自分で買取業をやっていて、人を採る側にも立ちます。短い在籍期間そのものを理由に落とすことは、正直ほとんどありません。見ているのは「同じことがうちでも起きるのか」だけです。そこに答えられる用意があるかどうかで、通り方は変わります。

面接で「なぜ3年もたずに辞めたのか」と聞かれたときの考え方

会社の悪口にすると、うちでも同じことを言うと思われます。かといって自分のせいにしすぎると、また同じ選び方をすると思われます。事実(何が起きたか)→ 自分がやったこと(改善しようとしたこと)→ それでも変わらなかった構造的な理由、の順で話すと、どちらにも寄りません。答え方の具体例は、3年ルールを扱った記事のほうにまとめてあります。

まとめ

  1. 大手の枠が小さいのは、あなたの経歴のせいではない

    1,000人以上の会社の3年以内離職率は27.0%。人が抜けないので、そもそも席が空きません。

  2. 「大手」を年収・安定・ネームバリューに分解する

    欲しいのが安定だけなら、100〜499人(33.9%)や500〜999人(31.5%)で足りている可能性があります。

  3. グループ会社・準大手・動く職種の3つに狙いをずらす

    同じものが手に入る入口は、正面以外にもあります。

  4. 応募より先に、中の人の声と職務経歴書を用意する

    大手は受け直しがしにくいので、準備が終わってからまとめて出します。

第二新卒でも大手の新卒採用枠に応募できますか?
会社によります。厚生労働省の指針は事業主に「既卒者が卒業後少なくとも3年間は応募できるように努めること」を求めていますが、努力義務なので強制ではありません。労働経済動向調査(2020年8月)では、新規学卒者枠で募集した事業所のうち29%が既卒者は応募不可でした。募集要項に既卒可と書かれているかを1社ずつ確認してください。
大手のほうが辞めにくいというのは本当ですか?
統計上はそうです。令和4年3月に大学を卒業して就職した人の3年以内離職率は、1,000人以上の事業所で27.0%、5人未満で57.5%でした。ただし1,000人以上でも4人に1人強は3年以内に辞めています。大手=辞めなくて済む、ではありません。
在職中と退職後、どちらで動くべきですか?
在職中をおすすめします。選考が長引いたときに無収入の期間ができないためです。とくに大手は選考の回数が多く、書類から内定まで数ヶ月かかることがあります。退職日を先に決めるのは、内定が出てからで間に合います。
30歳を過ぎたら、もう大手は諦めるべきですか?
第二新卒の枠は使えませんが、中途採用の枠は残ります。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、男性の転職入職率は30〜34歳で10.3%、35〜39歳で7.9%でした。30代前半までは動いている人が一定数います。ただし新卒枠のような「経歴が短くても可」という前提はなくなるので、実績で説明できる職種に絞るほうが現実的です。
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