※この記事の割合と人数は、厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」の公表ページと、そこで配布されている表のPDFを筆者が実際に開いて読み取ったものです。制度の条件は、ハローワークインターネットサービスとe-Gov法令検索の条文、厚生労働省のリーフレットで確認しました。転職サイトのまとめや他人のブログは使っていません。筆者は新卒で入ったアパレル会社を8ヶ月で辞めた元販売員で、その後は買取査定員を経て、いまはブランド古着買取「オーラリアン」とG-SHOCK買取「ShockMania」を運営する古物商です。社会保険労務士ではないため、公式ページで確認できるところまでを書き、個別の判断が要る部分は「ハローワークで確認してください」と明記します。情報の時点は2026年9月です。
2年目に辞める人は、1年目とほぼ同じ数だけいます。違うのは使える入口が2つになることです。
厚生労働省の集計を年ごとに割ると、大卒で1年目に辞めた人は12.1%、2年目に辞めた人は11.9%。差は0.2ポイントしかありません。「1年目を乗り切ったのにまだ辞めたい自分は中途半端だ」という前提が、そもそも数字と合っていません。そのうえで2年目には、新卒枠と第二新卒枠のどちらでも応募できるという、1年目にも3年目以降にもない条件が付きます。
自分がどちらの入口で出すか見る「1年目を乗り切った人は残る」は、数字では起きていません
2年目で転職を考えるとき、いちばん重く感じるのはたぶん割合の話ではありません。「1年目で辞めた人たちと違って、自分はもう新卒でもない」という感覚のほうです。だから先に、その感覚の土台になっている思い込みを崩しておきます。
厚生労働省は毎年、新規学卒就職者が就職後3年以内にどれだけ辞めたかを公表しています。よく引用されるのは「大卒の3年以内離職率は3割」という合計のほうですが、この集計には辞めた年ごとの内訳も付いています。そこを見ると、話が変わります。

令和4年3月に大学を出て就職したのは449,012人。そのうち3年以内に辞めたのが151,911人で、合計すると33.8%です。その内訳が、1年目54,237人(12.1%)、2年目53,245人(11.9%)、3年目44,429人(9.9%)。
1年目と2年目の差は、人数にして約1,000人、割合にして0.2ポイントです。母数が45万人であることを考えると、ほぼ同じと言っていい水準になります。
ひとつ前の代も同じ形です。令和5年3月卒は1年目11.0%、2年目10.8%。令和6年3月卒は1年目が10.1%で、2年目はまだ集計中です。どの代でも、2年目は1年目からわずかに下がるだけで、崖のようには落ちません。
つまり2年目で辞める人は「出遅れた少数派」ではありません。1年目と同じ規模の集団です。面接官も採用担当も、この数字が動いている世界で仕事をしています。
辞めるかどうかの判断材料に、勤続年数そのものを入れる必要はありません。判断は理由と行き先の中身でしてください。
2年目に入ると、効く制度が入れ替わります
ただし、1年目と2年目で何も変わらないわけではありません。変わるのは気持ちの側ではなく、条文が引いた日数の線のほうです。1年目のうちは届かなかった線を、2年目に入るとまたぎます。

失業手当は、2年目で初めて射程に入ります
ハローワークインターネットサービスの「基本手当について」に、受給要件がこう書かれています。
新卒で入った1社目を1年目のうちに辞めると、自己都合ではこの12か月に届きません。ところが2年目に入っていれば、同じ自己都合でも要件を満たす可能性が出てきます。これは1年目との一番大きな違いです。
ただし数え方に条件があります。同じページの注記に、被保険者期間の1か月は「賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月」と書かれています。在籍した月数がそのまま12か月になるわけではないので、実際に足りるかは離職票を持ってハローワークで確認してください。
有給休暇は、2年目の途中で2回目の付与があります
労働基準法39条1項は、雇入れの日から6か月間続けて働き、全労働日の8割以上出勤した人に10労働日の有給休暇を与えなければならないと定めています。ここまでは1年目の話です。
続く2項に、その先の表があります。6か月経過日から1年ごとに日数を加算するというもので、表の「一年」の行には「一労働日」とあります。つまり入社1年6か月の時点で、10日に1日足されて11日になります。さらに2年6か月で12日です。
2年目の途中で残日数が増えるということは、面接や手続きのために取れる休みが増えるということでもあります。辞める前にやることが多い人ほど、ここは効きます。
2年目は、入口が2つあります
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。2年目には、新卒枠と第二新卒枠の両方に応募できるという条件が付きます。
根拠は、若者雇用促進法にもとづいて厚生労働大臣が定めている「青少年雇用機会確保指針」です。厚生労働省が事業主向けに配っているリーフレットに、指針の内容がこう整理されています。
注意したいのは、ここが義務ではなく努力義務だという点です。「卒業後3年以内なら必ず新卒枠で応募できる」ではありません。実際に受け付けているかどうかは、会社ごとに募集要項を見るしかありません。
それでも、この線の引き方には意味があります。線は卒業からの年数で引かれていて、勤続年数でも年齢でもありません。大学院に進んでから就職した人も、卒業後しばらくしてから働き始めた人も、卒業から3年以内であれば同じ扱いの対象になります。30代で第二新卒枠を使う人が実在するのは、このためです。
年齢で線が引かれていないことは、指針の2つめの文からも読めます。「できる限り上限年齢を設けないように努めること」。応募できるかどうかを、年齢だけで切るなという要請です。
新卒枠で出したほうがいい人
- いまの仕事で語れる実績がまだ薄い
- 業界も職種も変えたい
- 研修から入り直したい
- 同期がいる環境のほうが続く自覚がある
第二新卒枠で出したほうがいい人
- 1年分の数字を持っている
- 同じ職種で条件だけ上げたい
- すぐに戦力として入りたい
- もう一度就活の型に戻りたくない
どちらで出すかは、この3つで決まります
2つの入口は、片方を選ぶともう片方が閉じるわけではありません。ただし応募書類の作り方が変わるので、主軸は先に決めたほうがいい。決め方は3つだけです。
- いまの仕事の数字を、1行で言えるか
「売上を月◯◯万円、前年比◯%」「担当した件数は年◯件」のように、通年の数字が出せるなら第二新卒枠が向きます。出せないなら、実績ではなく意欲で評価される新卒枠のほうが戦いやすくなります。
- 変えたいのが「会社」か「仕事そのもの」か
会社だけを変えたいなら同じ職種の中途で通ります。仕事そのものを変えたいなら、未経験を前提に採る枠のほうが確率が上がります。新卒枠はその典型です。
- 卒業から何年経っているか
指針の線は卒業から3年です。2年目でまだ余裕があるうちは両方を試せますが、3年目に入ると新卒枠を受け付けている会社は減ります。両方を使うなら、いまが最後の年になります。
次のうち、当てはまるものがいくつありますか
- いまの会社で、通年の数字を1つも持っていない
- 辞めたい理由を聞かれて、真っ先に人の名前が浮かぶ
- 次にやりたい仕事が、いまの職種と地続きではない
- 卒業してから、まだ3年経っていない
→ 3つ以上あてはまるなら、第二新卒枠より新卒枠を主軸にしたほうが通りやすい状態です。1つ以下なら、同じ職種の中途で条件を上げにいくほうが早く決まります。
2年目のうちにやる順番
やることの中身より、順番のほうが結果を分けます。辞めてから考えると選択肢が減るのは、1年目と同じです。
- 通年の数字を、辞める前に控える
売上、件数、担当数、前年比。社内システムでしか見られない数字は、退職した日から二度と見られません。職務経歴書に書ける形で手元に写しておきます。持ち出し禁止の情報に当たらない範囲で、自分の実績だけを控えてください。
- いまの会社の募集要項を、他社の目で読む
自分の会社がいま何と書いて人を集めているかを見ると、自分の職種が市場でどう説明されているかが分かります。職務経歴書の言葉はここから借りられます。
- 新卒枠を受け付けているか、募集要項で1社ずつ確かめる
指針は努力義務なので、会社によって扱いが違います。「卒業後3年以内の既卒者も応募可」と明記している会社だけを拾って、先にリストにします。
- 有給の残日数と、2回目の付与日を確認する
入社1年6か月で11日に増えます。面接をどの時期に組めるかが変わるので、付与日の前か後かで動き方を決めます。
- 在職のまま応募する
失業手当の要件を満たしていても、給付が始まるまでには時間がかかります。2年目は「辞めてから探す」を選べる立場ではあっても、選ばなければならない理由はありません。
新卒で入ったアパレルを8ヶ月で辞めたとき、いちばん困ったのは「自分が何をやったか」を数字で言えなかったことでした。店の売上は覚えていても、自分の個人売上は毎月の締めの紙でしか見ていない。辞めたあとに思い出そうとしても無理でした。控えておけばよかった、と今でも思います。
まとめ
2年目で転職を考えるのは、統計の上では1年目とほぼ同じ規模で起きていることです。「乗り切ったのにまだ辞めたい」という自己評価は、数字の裏づけを持っていません。
一方で、1年目との違いははっきりあります。失業手当の受給要件に届きうること、有給が2回目の付与で11日に増えること。そして卒業から3年以内という指針の線の内側にいるので、新卒枠と第二新卒枠の両方を試せることです。3年目に入ると、この2つめの入口は細くなります。
どちらを主軸にするかは、通年の数字を持っているかどうかで決めてください。持っているなら中途、持っていないなら新卒枠。そして、どちらを選ぶにしても、数字を控えるのは辞める前です。
2年目で辞めると、面接で不利になりますか?
2年目でも新卒枠に応募できますか?
2年目で辞めたら失業手当は出ますか?
有給は2年目でどれくらい増えますか?
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(令和7年10月24日公表)/表「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」/ハローワークインターネットサービス「基本手当について」/e-Gov法令検索 労働基準法39条/厚生労働省リーフレット「卒業後3年以内の既卒者は、『新卒枠』での応募受付を!」(情報時点 2026年9月)
