※この記事で扱う「面接で尋ねないよう求められている項目」は、厚生労働省「公正な採用選考の基本」のページを筆者が実際に開いて確認したものです。転職サイトのまとめや他人のブログは使っていません。筆者は新卒で入ったアパレル会社を8ヶ月で辞めた元販売員で、その後は買取査定員を経て、いまはブランド古着買取「オーラリアン」とG-SHOCK買取「ShockMania」を運営する古物商です。人事の専門家ではないため、公的な基準で言えるところと、筆者の受け答えの経験にすぎないところは本文で分けて書きます。情報の時点は2026年9月です。
第二新卒の面接で聞かれることは、答えを用意する質問と答える必要のない質問に分かれます。
質問リストを30個ながめても準備が終わらないのは、この2つが混ざったまま並んでいるからです。国は採用選考で尋ねないよう配慮すべき事項を14項目示しています。先にこの14項目を線の外に出すと、用意するのは4つだけになります。
2つの箱の分け方を見る「聞かれること」を数えても、準備は終わらない
面接まで1週間、という状態で「第二新卒 面接で聞かれること」を検索すると、だいたい20〜30個の質問リストが出てきます。全部に答えを作ろうとして、途中で手が止まった人は多いと思います。
止まるのは準備不足ではありません。並んでいる質問の性質が違うのに、同じ一列に並べられているからです。
実際の面接で飛んでくる質問は、次の2つに分かれます。
答えを用意する質問
- なぜ前の会社を辞めたのか
- なぜこの会社なのか
- 入社後に何をしたいのか
- いつから来られるのか
答える必要のない質問
- ご家族はどんなお仕事を
- 実家はどのあたり
- ひとり暮らし? 間取りは
- 尊敬する人は/愛読書は
右側は、雑談のように差し込まれるので身構えていないと答えてしまいます。しかしこれは国が「尋ねないよう留意しましょう」と事業主に求めている側の質問です。準備の対象ではありません。
国が示している「尋ねない」14項目
厚生労働省は「公正な採用選考の基本」というページで、採用選考時に配慮すべき事項を示しています。文言はこうです。
その事項を数えると、a・b・cの3グループで合計14項目あります。
出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」(2026年9月26日に取得して確認)
中身を全部並べます。面接の前に一度読んでおくと、当日その場で気づけます。
| グループ | 項目 | 雑談として飛んでくる形 |
|---|---|---|
| a 本人に責任のない事項 | 本籍・出生地に関すること | 「ご出身はどちら?」 |
| a | 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など) | 「お父さんは何をされてる方?」 |
| a | 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など) | 「いま何DK? 持ち家?」 |
| a | 生活環境・家庭環境などに関すること | 「どんなご家庭で育った?」 |
| b 本来自由であるべき事項 | 宗教に関すること | 「信仰は何か持ってる?」 |
| b | 支持政党に関すること | 「選挙はどこに入れた?」 |
| b | 人生観、生活信条などに関すること | 「座右の銘は?」 |
| b | 尊敬する人物に関すること | 「尊敬する人は誰?」 |
| b | 思想に関すること | 「社会問題についてどう思う?」 |
| b | 労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること | 「前の会社に組合あった?」 |
| b | 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること | 「最近読んだ本は?」 |
| c 採用選考の方法 | 身元調査などの実施 | 現住所の略図の提出を求められる |
| c | 本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用 | 独自のエントリーシートに家族欄がある |
| c | 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施 | 内定前に健康診断書を出せと言われる |
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項目名は厚生労働省「公正な採用選考の基本」の記載どおり。右列の「飛んでくる形」は公的な記載ではなく、筆者が受けた面接と、販売員時代に同席した採用面接での言い方です。
なぜ「聞かない」とされているのか
同じページに、理由がはっきり書かれています。
つまり「差別する意図があったか」ではなく、知ってしまうと判断が動くことを問題にしています。だから面接官に悪意がなくても、聞くこと自体が避けるべき行為になります。
厚労省のページには、個人情報の側からの根拠も書かれています。職業安定法第5条の5および平成11年告示第141号により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集は原則として認められないという記載です。ここは条文の解釈まで踏み込むと正確さを失うので、同ページにその旨が明記されている、という形で押さえておいてください。
実際に聞かれたら、どうするか
ここが一番知りたいところだと思います。ただし正直に書くと、「こう答えれば正解」という公的な指針は見つかりませんでした。以下は筆者が実際にやってきた順番です。公的な裏づけのある内容ではないので、そのつもりで読んでください。
- その場では波風を立てない
面接中に「それは厚労省が」と切り返しても、得るものはありません。ぼかして流すのが実務的です。「出身は関東です」「家族はみな元気です」で会話は進みます。言いたくないことを言わずに済ませるのが目的で、相手を正すのが目的ではありません。
- 答えなかったことを気にしない
ここを流したせいで落ちたのでは、と後から考えてしまいがちです。適性・能力に関係のない事項なので、選考の判断材料にならない前提の項目です。用意していなかった自分を責める必要はありません。
- 「会社を見る材料」として持ち帰る
面接は会社から評価される場ですが、こちらが会社を見る場でもあります。14項目をいくつも踏んでくる面接だった、というのは入社後の働き方を推し測る材料になります。筆者はここで一社辞退しました。
- 気になるときは公的な窓口に相談する
就職差別につながるおそれのある取り扱いについては、ハローワーク(公共職業安定所)や都道府県の労働局が相談先になります。相談するかどうかは自由ですが、選択肢があることは知っておいてください。
面接中は流す。終わってから、その会社を選ぶかどうかの判断に入れる。この二段構えが現実的です。面接は落とされる場でもあり、選ぶ場でもあります。
用意するのは、この4つだけ
14項目を外に出すと、第二新卒の面接で本当に用意しておく質問は4つに絞れます。どれも「適性・能力に関係する」質問なので、答えられないと素直に不利になります。
質問1 なぜ前の会社を辞めたのか
第二新卒の面接は、ここで半分決まります。面接官が知りたいのは辞めた事情そのものではなく、「同じ理由でまた辞めるかどうか」です。在籍が短いほど、この確認は濃くなります。
会社への不満をそのまま述べると、次も不満が出たら辞める人に見えます。かといって嘘の理由を作ると、深掘りされたときに崩れます。本音を持ったまま、言える形に整えるのが答えです。
質問2 なぜこの会社なのか
志望動機です。第二新卒がここで詰まるのは、たいてい「経験が浅いので書くことがない」という理由です。ところが企業が中途採用でいちばん重視している項目は、経験ではありません。国の事業所調査で確認できます。
質問3 入社後に何をしたいか
将来のことを聞かれていると思って壮大に答えると、外します。この質問は質問1の裏返しです。「辞めた理由が、うちでは起きないと言える根拠はあるか」を確かめています。
だから質問1と質問3は、セットで作ります。前職で足りなかったものと、この会社でやりたいことが、同じ線の上に乗っているか。乗っていれば、在籍が短いことの説明は自然に終わります。
2つ以上あてはまる人は、質問1と質問3が別々になっています
- 辞めた理由と、やりたいことに共通の言葉が1つもない
- 「成長したい」「貢献したい」で締めている
- 応募先を替えても、同じ文章がそのまま使える
- 3年後の話しかしていない(入社直後の話がない)
→ 2つ以上なら、質問3を書き直す前に質問1を書き直すほうが早く直ります。
質問4 いつから来られるか
在職中に受けている人は、必ず聞かれます。「調整します」ではなく日付か週数で答えるだけで通ります。就業規則の退職申し出の期限と、有給の残日数を先に数えておけば、その場で計算しなくて済みます。
なお、応募の時期そのものを迷っている人は、求人が増える月と減る月が公的な統計で見えます。→ 第二新卒の転職時期は「2〜3月が狙い目」ではなかった|厚労省の月別データで求人の山と谷を数えた
短期離職が2回以上ある人は、質問1の作り方が変わります
1回目と2回目を別々に説明すると、面接官の中で「辞める人」の像が固まります。2社を1本の線として説明する形に切り替えると、回数そのものは論点から外れます。詳しくは第二新卒で二回目の転職は不利か|面接官が見ているのは回数ではなく「線」にまとめています。
まとめ
- 質問リストを全部つぶそうとしない
30個の中には、そもそも答えを用意する必要がない質問が混ざっています。先に分けるのが準備の一手目です。
- 14項目を面接前に一度読む
読んでおくと、当日その場で「これは外側の質問だ」と分かります。分かれば、うまく答えられなくても動じません。
- 用意するのは4つ。うち2つはセットで作る
辞めた理由(質問1)と入社後にやりたいこと(質問3)が同じ線に乗っていれば、在籍の短さの説明は終わります。
- 面接は、こちらが会社を見る場でもある
14項目を踏んでくる面接だったという事実は、入社後の働き方を測る材料になります。持ち帰って判断に使ってください。
筆者は新卒で入ったアパレル会社を8ヶ月で辞めています。当時の面接で「ご実家は自営業?」と聞かれ、なぜそこを聞くのか分からないまま答えました。この14項目を知ったのは、それよりずっと後です。知っていれば、答えられなかったことを気にせず次に進めたと思います。
