※この記事の数字は、厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」の概況(統計表)と、e-Gov法令検索の条文を実際に開いて確認したものだけです。特定の転職サービスの条件・求人数・キャンペーンは、公式ページで確認できなかったため書いていません。筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、いまは現役のファッションバイヤー兼古物商です。
求人票で見るのは「週休2日制」の4文字ではなく、年間休日総数と会社の規模の2つです。「週休2日制」と書ける会社のうち約3割は、休みが月2〜3回の週だけの会社です。
国の調査は「完全週休2日制」と「それより実質的に少ない制度」を別々に数えています。この区別を知らないまま応募すると、転職しても休みが増えません。元アパレル販売員の筆者が、求人票のどこを見れば判定できるかを3か所に絞って説明します。
求人票のどこを見るか、先に見る「土日休み」は、法律が守ってくれる休みではありません
先に前提をそろえます。アパレルの店頭で働いていると「土日に休めないのは業界だから仕方ない」と言われますが、そもそも土日を休みにする義務は、どの業界の会社にもありません。
労働基準法が決めているのは、休みの曜日ではなく回数だけです。
1 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(第35条・調査時点で確認)
つまり法律の下限は週1日、または4週間で4日です。土曜も日曜も一言も出てきません。「土日休み」は法律ではなく、会社が自分で決めて求人票に書いた条件です。だから会社を選び直せば変えられますし、逆に言えば求人票の書き方を読み違えると、そのまま持ち越します。
後で見るとおり、休日の量は業界よりも「会社の規模」と「求人票の休日欄の書き方」で決まっています。同じアパレルでも土日休みの職種はありますし、別業界に移っても休日が増えない会社はあります。
求人票の「休日」欄は、国の区分では4つに分かれます
厚生労働省は毎年、企業に「いちばん多くの社員に当てはまる週休制はどれか」を聞いています。令和7年の調査(常用労働者30人以上の民営企業・有効回答3,820社)の結果がこれです。

大事なのは、「何らかの週休2日制」92.6%のなかが2つに割れているところです。
| 国の区分 | 企業割合 | 実際の休み方 |
|---|---|---|
| 週休1日制/週休1日半制 | 5.6% | 週1日、または週1日+半日 |
| 完全週休2日制より休日日数が実質的に少ない制度 | 27.1% | 月3回・隔週・月2回・月1回だけ週休2日 |
| 完全週休2日制 | 65.5% | 毎週かならず2日休める |
| 何らかの週休3日制 | 0.9% | 週3日休みの制度がある |
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出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」第2表(令和7年1月1日現在。合計が100にならないのは「不明」を含むため)
真ん中の27.1%を、国は「完全週休2日制より休日日数が実質的に少ない制度」と呼んでいます。中身は調査の注記に書いてあるとおり、月3回、隔週、月2回、月1回の週休2日制などです。
ここが求人票の落とし穴です。この27.1%の会社も、求人票には「週休2日制」と書けます。「完全」の2文字が入っているかどうかで、年間の休みが20日以上変わります。
27.1÷92.6で計算すると、週休2日制をうたえる会社の約3割が「毎週2日」ではない側です。この言葉だけでは判定できません。次の年間休日総数で確かめます。
いちばん嘘をつけない数字は「年間休日総数」です
週休制の表記は幅がありますが、年間休日総数は日数なので幅がありません。同じ調査の数字を見ます。
出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」第4表(令和6年1年間の年間休日総数)
なぜ120日が基準になるのかというと、足し算で出るからです。1年は約52週なので、土日だけで104日。国民の祝日は祝日法第2条に16日が定められているので、土日と祝日がそろうと120日前後になります。
出典:内閣府「国民の祝日について」(国民の祝日に関する法律 第2条に16日)
逆から読むと、年間休日が110日を切っている会社では、土日に休める週のほうが少ないということです。求人票に「完全週休2日制」と書いてあっても年間休日が105日なら、その2日は土日ではありません。
求人票を見て、2つ以上あてはまるなら土日休みは期待できません
- 休日欄が「週休2日制」で、「完全」の文字がない
- 年間休日総数が110日を下回っている
- 休日欄に曜日の指定がなく「シフト制」とだけ書いてある
- 「年間休日105日以上」のように、下限だけが書かれている
→ 1つでも当てはまるなら、面接で「直近3か月の実際の休日の入り方」を聞くところまで進めてください。
同じ言葉でも、会社の規模で年6.5日ちがいます
この調査は企業規模別の内訳も出しています。ここが、業界を変えるより先に見るべき軸です。
| 企業規模 | 完全週休2日制 | 年間休日総数 (1企業平均) | 有給の取得率 |
|---|---|---|---|
| 1,000人以上 | 77.9% | 117.7日 | 69.0% |
| 300〜999人 | 73.2% | 116.2日 | 66.8% |
| 100〜299人 | 70.7% | 114.5日 | 65.5% |
| 30〜99人 | 62.6% | 111.2日 | 64.9% |
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出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」第2表・第4表・第5表(有給の取得率は令和6年1年間)
いちばん小さい区分といちばん大きい区分の差は、完全週休2日制で15.3ポイント、年間休日で6.5日です。6.5日は、土日が3週ぶん増えるのとほぼ同じ量です。
アパレルで店舗を運営している会社には、30〜99人の規模の会社がたくさんあります。「アパレルだから休めない」のではなく、応募先がこの表のどこにいるかで決まっている部分が大きい、というのがこの表の読み方です。会社の規模は求人票の「従業員数」欄で分かります。
販売にいたころ、休みの希望は月2日までと決まっていました。友人の結婚式が土曜に入ると、その月はもう土日の希望を出せません。休みの日数そのものより、いつ休むかを自分で決められないことが効いてくる、というのが実感です。求人票で年間休日だけを見ていると、ここは見えません。
アパレルで本当に削られているのは、休日ではなく有給です
ここは意外なところなので、数字で見てください。同じ調査は産業別の内訳も出しています。まず1週間の所定労働時間から。
| 産業 | 週所定労働時間 (1企業平均) | 有給の付与日数 | 有給の取得日数 | 有給の取得率 |
|---|---|---|---|---|
| 調査計(16大産業) | 39時間24分 | 18.1日 | 12.1日 | 66.9% |
| 卸売業,小売業 | 39時間26分 | 17.5日 | 10.5日 | 59.9% |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 40時間2分 | 15.9日 | 8.0日 | 50.7% |
| 製造業 | 39時間21分 | 18.8日 | 13.7日 | 72.8% |
| 情報通信業 | 39時間2分 | 18.9日 | 12.7日 | 66.9% |
| 金融業,保険業 | 38時間12分 | 19.6日 | 14.3日 | 72.8% |
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出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」第1表・第5表(アパレルの店舗・小売は日本標準産業分類の「卸売業,小売業」に入ります)
週の所定労働時間を見ると、卸売業,小売業は39時間26分。調査計の39時間24分と、たった2分しか違いません。契約上の労働時間の長さでは、アパレルは平均的な業界です。
差がついているのは有給のほうです。取得率59.9%は、16の産業のなかで宿泊業,飲食サービス業(50.7%)に次いで低い水準でした。取得日数で見ると調査計より年1.6日少ないことになります。
この数字から言えること
- 「アパレルは拘束時間が長い」は、契約上の所定労働時間では説明できない
- 体感のきつさは、休日の少なさより「休みを自分で選べないこと」に寄っている
- だから移る先は「時間が短い会社」より「休みが固定の会社」で探すほうが合う
この数字から言えないこと
- 実際の残業時間(この調査は所定労働時間の調査で、残業の実績は含みません)
- アパレルだけの数字(卸売業,小売業の全体で、スーパーや卸も同じ箱に入っています)
- 個別の会社の実態(30人未満の会社は調査の対象外です)
求人票で見るのは、この3か所だけです
- 休日欄に「完全」が付いているか
「完全週休2日制」なら毎週2日。「週休2日制」だけなら、月3回・隔週・月2回のどれかである可能性が残ります。ここで約3割がふるいにかかります。
- 年間休日総数が何日か
120日以上なら土日と祝日がそろう水準。110日を切ると、土日に休めない週のほうが多くなります。「105日以上」のように下限だけ書いてある求人は、下限で計算してください。
- 従業員数が何人か
30〜99人と1,000人以上では、完全週休2日制の割合が15.3ポイント、年間休日が6.5日違います。同じ「完全週休2日制」の表記でも、実際に回る確率が違います。
在職中に、この順番で進めます
- いまの会社の年間休日を数える
就業規則か雇用契約書に書いてあります。書いていなければ、去年1年の自分の休日を数えます。この数字がないと、移った先が本当に増えているのか判定できません。
- 年間休日120日以上だけで求人を絞る
職種や業界を先に決めないほうが数が集まります。休みを最優先にするなら、まず条件で切ってから中身を見ます。
- 従業員数100人以上の会社に印を付ける
同じ条件が書いてある求人が並んだときの優先順位です。規模は求人票の会社概要欄で分かります。
- 面接で「直近3か月の休日の入り方」を聞く
制度ではなく実績を聞きます。「土日はどのくらい休めていますか」ではなく「直近3か月、土日に休めた回数」を聞くと、答えが具体的になります。
まとめ
- 土日休みは法律の話ではない
労働基準法第35条が決めているのは週1日(または4週4日)だけ。曜日は会社が決めています。
- 「週休2日制」の約3割は毎週2日ではない
国の調査は「完全週休2日制」65.5%と「それより実質的に少ない制度」27.1%を分けて数えています。
- 年間休日120日が土日祝の水準
土日104日+祝日16日。いちばん多い塊が120〜129日の37.3%です。
- 規模で年6.5日、15.3ポイント変わる
30〜99人と1,000人以上の差。業界を変える前に、規模を見てください。
- アパレルで少ないのは労働時間ではなく有給
週所定労働時間は調査計と2分差。取得率は59.9%で、産業のなかでは低いほうです。
