※この記事で引用しているブランドの説明文は、すべて各社の公式サイトのブランド紹介ページを実際に開いて、そこに書かれている文章をそのまま写したものです(確認日:2026年9月10日)。採用選考のきまりは厚生労働省のページで確認しました。転職まとめサイトの「面接マナー」は使っていません。筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、現在はファッションバイヤー兼古物商です。
アパレル転職の面接の服装に、業界共通の正解はありません。正解は、受ける会社の公式サイトに文章で書いてあります。
「スーツか私服か」で迷っている時間は、ほぼそのまま無駄になります。決めているのは業界でも国でもなく、応募先のブランドだからです。公式のブランド紹介文を読めば、その会社が何を「感じがいい」と思うかは、たいてい1〜2行で書いてあります。
公式に何が書いてあるか、実例を見る面接の服装について、国は何も決めていない
まず前提を1つ片づけます。「面接の服装にはこういう決まりがある」と書いてある記事をよく見かけますが、採用面接の服装を定めた国のきまりは存在しません。
国が採用選考について文章にしているのは、「聞いてはいけないこと」の側だけです。厚生労働省の「公正な採用選考の基本」に、応募用紙に書かせたり面接で尋ねたりすると就職差別につながるおそれがある事項が、はっきり列挙されています。
| 区分 | 挙げられている事項 |
|---|---|
| a.本人に責任のない事項 | 本籍・出生地/家族(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)/住宅状況(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)/生活環境・家庭環境 |
| b.本来自由であるべき事項 (思想・信条にかかわること) | 宗教/支持政党/人生観、生活信条など/尊敬する人物/思想/労働組合や学生運動などの社会運動/購読新聞・雑誌・愛読書など |
| c.採用選考の方法 | 身元調査などの実施/本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用/合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断 |
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出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」(3)採用選考時に配慮すべき事項(2026年9月10日に確認)
この一覧を上から下まで読んでも、服装は一度も出てきません。つまり服装は、国が「触れてはいけない」と線を引いた領域の外側にあります。面接官が見て、評価に含めてかまわない部分として残されているということです。
同じページには、面接をする側への注文も書かれています。「あらかじめ質問項目や評価基準を決めておき、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう留意しましょう」。評価基準は、会社があらかじめ決めておくものだと国は言っています。その基準は会社ごとに違い、外からは見えません。

面接で聞かれる質問のほうの線引き――答える義務がない質問がどれかは、アパレル転職の面接にまとめてあります。この記事は服装だけを扱います。
線を引いているのは、受けるブランドのほう
では会社の基準はどこにあるのか。公式サイトのブランド紹介ページです。ここには、その会社が自分たちの服をどう説明しているかが、そのまま文章で載っています。
実際に開いて写してみます。アーバンリサーチグループの公式ブランドページから、メンズも扱う4つを並べました。同じ会社です。
| ブランド | 公式ページに書かれている説明(原文) |
|---|---|
| URBAN RESEARCH | 都会的で洗練されたセンスを持ち「譲れない自分」のある大人のためのワードローブを提案。 |
| URBAN RESEARCH DOORS | 「環境」と「ここちよい暮らし」をテーマに、デザインはもちろん、環境にも良いロングライフ商品を提案。カフェやライブラリーも併設。 |
| URBAN RESEARCH Sonny Label | ゆったりと流れる時間の中で過ごすあたり前の日常。リラックスムードをプラスしたカジュアルスタイルをベースに日々の暮らしをより楽しめる心地よいウェアと雑貨を提案します。 |
| FREEMANS SPORTING CLUB | クラシカルでありながら、現代のニーズを反映した 真のアメリカントラッドを追求し、ニューヨークで 欠くことのできない存在となった「FREEMANS SPORTING CLUB」の日本初のフラッグシップショップ。 |
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出典:株式会社アーバンリサーチ 公式サイト BRAND(2026年9月10日に確認・説明文は原文のまま)
「都会的で洗練された」と「ゆったり/リラックスムード」と「真のアメリカントラッド」。この3つに同じ服で行くのは、無理があります。ところが求人票の上ではどれも「アーバンリサーチグループ」です。
シップスでも同じことが起きます。
| レーベル | 公式ページに書かれている説明(原文) |
|---|---|
| SHIPS | “STYLISH STANDARD”をコンセプトに、スタンダードの本質を見極めたこだわりのスタイルを提案。 |
| SHIPS Primary Navy Label | トラディショナルなスタイルをベースにしながら、現在進行形のベーシックを提案します。 |
| SHIPS any | “どんな人にも、どんな場所にも、どんな時にも似合う服”。 |
| City Ambient Products | Urban / Revival / Culture を軸に、ファッションを愛するすべての人たちに向けたニュースタンダード。 |
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出典:株式会社シップス 公式サイト レーベル一覧(2026年9月10日に確認・説明文は原文のまま)
「スタンダードの本質」と「Urban / Revival / Culture」では、面接の場に置いたときの見え方が変わります。前者はきれいめのジャケットで浮きませんが、後者で同じ格好をすると、そのブランドを知らないまま来た人に見えます。
面接前に開く、公式サイトの3か所
やることは検索ではなく、閲覧です。応募先の公式サイトを、この順番で3か所だけ開いてください。合わせて10分ほどで終わります。
- ブランド紹介ページ(いちばん重要)
会社のトップから「BRAND」「ブランド一覧」「レーベル」へ進みます。配属される可能性のあるブランドの説明文を、そのまま声に出して読んでください。「都会的」「トラッド」「リラックス」「ベーシック」のどれに寄っているか。これが服の方向を決めます。
- 会社概要・事業内容
そのブランドが会社全体の中でどういう位置にあるかを見ます。複数ブランドを持つ会社ほど、面接官が見ているのは「1つのブランドに似合う人」ではなく「グループの中で動ける人」です。この場合は、いちばん基準の厳しいブランドに合わせておくと外しません。
- オンラインストアの、メンズの新着
説明文が抽象的で読み取れないときの答え合わせです。いま店頭に並んでいる服の丈と色数を見ます。言葉より速く、その会社の「ふつう」が分かります。買う必要はありません。
「私服でお越しください」は、3つのうちどれか
アパレルの面接でいちばん多い迷いがこれです。書かれ方は同じでも、送り手の意図は分かれます。公式に説明を出している会社は見つかりませんでしたので、ここからは筆者が販売員として、そして採用側の席で見てきた範囲の話として書きます。
販売員のころ、面接に来た人の服を店長と見ていました。落ちた理由でいちばん多かったのは「ダサい」ではなく、「うちの服を一度も見たことがなさそう」でした。高い服を着てきた人が受かるわけでもなく、値段の話は一度も出ませんでした。
セレクトショップや、ブランドの世界観がはっきりしている会社に多い読み方です。この場合、スーツで行くほうが不利になります。私服=ふだん着ではなく、そのブランドの隣に置いても浮かない私服を選びます。手持ちの中から、1で読んだ説明文にいちばん近い1着を出してください。
本社勤務や、EC・生産管理など店頭以外の職種で多い読み方です。服そのものは評価対象になりにくく、清潔感と手入れのほうを見られます。迷ったら、襟のあるシャツにジャケット、足元は革靴。ここで攻める必要はありません。
いちばん危ない読み違いです。アパレルの会社が服装に言及した以上、そこには何かしらの意図があります。「私服」と書かれていたら、それは指示ではなく質問だと考えてください。答えは1で読んだ説明文の中にあります。
なお派遣で働く場合は、そもそも前提が違います。派遣先が面接をして人を選ぶことは法律で禁止されていますので、服の選び方も変わります。詳しくはアパレル派遣の面接の服装にまとめました。
服を決める前に、5つだけ確かめる
買い足す前にここを通してください。足りないのは服ではなく情報だった、というほうが多いです。
当てはまるものを数えてください
- 応募先のブランド紹介ページを、まだ開いていない
- 配属される可能性のあるブランドが、いくつあるか知らない
- 求人票に書かれた職種が、店頭か本社かを確認していない
- 面接の案内文に服装の指定があったか、読み返していない
- 手持ちの服を、実際に並べて見ていない
→ 2つ以上当てはまるなら、まだ服を選ぶ段階ではありません。上の3か所を開くところからです。0〜1個なら、あとは着るだけです。
当日までにやること、やらなくていいこと
30代の転職では、面接の前にかけられる時間が限られます。効くところにだけ時間を使ってください。
やる(効きます)
- 応募先ブランドの説明文を読み、方向を1語で決める
- 手持ちから候補を2着出して、前日に着てみる
- 靴を磨く。裾と袖の丈を確かめる
- 服を選んだ理由を、ひとことで言えるようにしておく
やらない(効きません)
- 面接のために新品を一式そろえる
- 応募先のブランドの服を、面接用に買う
- 「アパレル 面接 服装」の一般論を読み込む
- 値段の高い服で格を上げようとする
最後の1つを補足します。服の値段は、面接では見られていません。見られているのは、選び方が説明できるかどうかです。「なぜその服で来たのか」に答えられる状態が、いちばん強い準備になります。
アパレルの転職面接は、スーツと私服のどちらが正解ですか?
面接に、応募先のブランドの服を着て行ったほうがいいですか?
面接の服装で、落とされることはありますか?
本社勤務(EC・生産管理・企画)の面接でも同じですか?
派遣で働く場合の面接も、同じ考え方でいいですか?
まとめ
アパレル転職の面接の服装には、探しても見つからないものがあります。業界共通の正解です。国は服装について何も決めておらず、決めているのは受ける会社のほう。しかも同じ会社の中でさえ、ブランドごとに書いてある言葉が違います。
やることは1つだけです。応募先の公式サイトのブランド紹介ページを開いて、そこに書かれている言葉を読む。「都会的で洗練された」なのか「ゆったり/リラックスムード」なのか。それが読めたら、あとは手持ちの服からいちばん近い1着を選ぶだけで足ります。
買い足す前に、10分の閲覧を。面接で見られているのは服の値段ではなく、選び方が説明できるかどうかです。
出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」/株式会社アーバンリサーチ 公式サイト BRAND/株式会社シップス 公式サイト レーベル一覧(いずれも2026年9月10日に確認)
