この記事で扱う様式と制度の話は、厚生労働省が公開している履歴書様式例(PDF版・EXCEL版)、都道府県労働局のリーフレット2種、労働政策審議会の配布資料を、それぞれ実際にダウンロードして開いた内容だけを使っています。服装や身だしなみの話は公的な資料に定めがないため、筆者の経験として区別して書きました。筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、現在はファッションバイヤー兼古物商です。確認日は本文の出典に書きました。
履歴書の写真サイズに、いま公的な決まりはありません。厚生労働省の様式例を開くと、写真欄の「縦・横」は数字が入っていない空欄です。
「縦4cm×横3cm」を探しても、その根拠にたどり着けないのは当然です。拠りどころだった様式例が、2020年7月にまるごと削除されているからです。だから決め方が変わります。ネットで正解を探すのではなく、応募先の指定を見る。指定がなければ、様式例の枠に収まる大きさで撮る。順番はこれだけです。
様式例に何が書いてあるか見る履歴書の写真に、公的なサイズの決まりはない
アパレルの求人に応募しようとして、証明写真機の前で止まる人がいます。画面に「履歴書用」「運転免許用」「マイナンバー用」と並んでいて、どれを選べばいいのか分からない。調べると「縦4cm×横3cm」という数字がいくらでも出てきます。ところが、その数字がどの公的資料に書いてあるのかまでたどり着ける人はほとんどいません。
たどり着けないのには理由があります。実際に厚生労働省が公開している履歴書の様式例を開いてみると、こうなっています。
「1. 縦 / 横 」という項目はあるのに、そのあとに数字が入っていません。PDF版とEXCEL版の両方を開いて突き合わせても、どちらも空欄のままでした。

写真欄に書かれている文字は、これで全部です。
決まっているのは「本人が一人で写っていること」と「胸から上であること」、そして貼るときは裏面をのりづけすることの3点だけです。大きさについては、欄だけ用意されていて中身がありません。
もうひとつ見落とされやすいのが、見出しの書き方です。「写真をはる位置」の下に、「写真をはる必要がある場合」と条件が付いています。様式例は、履歴書に写真を貼ることを無条件には求めていない、という書き方になっています。
出典:厚生労働省履歴書様式例 PDF版/EXCEL版(埼玉労働局「厚生労働省履歴書様式について」より)。2026年9月8日に両方をダウンロードし、写真欄の記載を突き合わせて確認
なぜ、寸法の拠りどころが消えたのか
厚生労働省は以前、公正な採用選考を確保する観点から、日本規格協会がJIS規格の解説の様式例で示していた履歴書の様式例を使うよう勧めていました。長いあいだ「履歴書といえばこの形」の基準になっていたのが、この様式例です。それが次の順番でなくなりました。
- 令和2年7月:性別欄の見直しを求める要請が出る
LGBT当事者を支援する団体が、厚生労働省や日本規格協会などに対して、履歴書様式の検討(性別欄の削除等)を求める要請を行いました。
- その要請を契機に、様式例が全体ごと削除される
日本規格協会は、JIS規格の解説の様式例から履歴書の様式例を削除しました。性別欄だけを直したのではなく、履歴書の様式例そのものが無くなりました。
- 令和3年:厚生労働省が新しい様式例を公表する
公正な採用選考の観点から参考にできる様式が必要になり、厚生労働省が独自に様式例を作成しました。これがいまの「厚生労働省履歴書様式例」です。
ここで大事なのは因果関係です。写真欄に問題があって消えたのではありません。きっかけは性別欄で、その巻き添えで様式例が丸ごと無くなり、寸法の拠りどころも一緒に消えた、という順番です。そして厚生労働省が作り直したとき、写真の寸法は書き込まれませんでした。
もうひとつ、読者にとって効いてくる事実があります。厚生労働省の資料には、この様式例について法的拘束力はなく、当該様式を使用するか否かは企業が判断できると明記されています。国が「この大きさで撮りなさい」と決めている、という構図ではないのです。
出典:厚生労働省「履歴書の様式例の作成について」(令和3年4月16日 労働政策審議会職業安定分科会資料)PDF/同「~新たな履歴書の様式例の作成について~」事業主の皆様(リーフレット)・求職者の皆様(リーフレット)/2026年9月8日確認
では、何ミリで撮ればいいのか
公的な定めが無いと分かったところで、写真は撮らなければいけません。決め方には順番があります。上から順に見て、当てはまった時点で止めてください。
- 応募先が指定していないか確認する
企業は様式例以外の履歴書を使うことができ、自社指定の用紙を配る会社もあります。指定用紙があるなら、そこに書かれた寸法が唯一の正解です。求人ページの応募方法欄と、送られてきたメールの添付ファイルを先に見てください。
- 指定が無ければ、使う履歴書の枠に収まる大きさで撮る
寸法の定めが無い以上、基準になるのは「あなたがこれから使う用紙の写真枠」です。枠より大きい写真は貼れませんし、枠より極端に小さいと余白が目立ちます。証明写真機で撮るなら「履歴書用」を選んでおけば、市販の履歴書用紙の枠にはたいてい収まります。
- 迷ったら、大きめに撮って切る
写真は小さくはできても大きくはできません。サイズ違いが2枚ほしいときは、大きいほうで撮っておくと後から合わせられます。
アパレルの写真は、スーツか私服か
サイズよりも人を悩ませるのが服装です。アパレルの面接は私服で来てくださいと言われることが多いので、写真もスーツでないほうがいいのかと迷います。ここから先は公的な資料に定めがありません。筆者が売場と採用の現場で見てきた範囲の話として読んでください。
販売員だったころ、店長が持ってきた応募書類の束を一緒に見たことがあります。写真で話題になったのは、スーツか私服かではありませんでした。「この人、うちの客層と合うかな」でもない。実際に出たのは「顔が暗い」「襟がよれてる」の2つだけでした。証明写真は小さくて、判断材料としてはその程度しか映りません。
そのうえで、業態によって見られ方が変わるのも事実です。下は筆者の見立てで、公的な調査ではありません。
| 業態 | 写真の服装で無難な線 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 百貨店・ラグジュアリー | ジャケット+襟付きシャツ | 制服勤務が多く、清潔感の基準が高い |
| セレクトショップ | 襟付きシャツ、ジャケットは任意 | 作り込みすぎると逆に浮くことがある |
| SC・ファストファッション | 襟付きシャツかきれいめのニット | 採用人数が多く、書類は流し見されやすい |
| 本社・EC・MD職 | ジャケット+襟付きシャツ | 売場ではなくオフィスの基準で見られる |
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いちばん時間をかけて悩まれるサイズと服装が、いちばん下に来ます。証明写真で差がつくのは、襟と表情です。撮り直しの判断も、そこを基準にしてください。
なお、服装以前に「どの業態に応募するか」で答えが変わります。売場に戻るのか、本社側に回るのかが決まっていないなら、写真の前にそちらを決めたほうが早いです。
どの業態が向いているか診断するそもそも、写真は必ず要るのか
様式例の見出しが「写真をはる必要がある場合」となっていることは先に書きました。ここから、写真は無条件に必須というわけではない、と読めます。ただし現実の判断は次のようになります。
企業は様式例以外の履歴書を使うことができます。写真欄のある用紙を指定されたなら貼る、写真欄が無い用紙やWeb応募フォームなら要らない。判断の起点は様式例ではなく、応募先の指定です。
迷ったときは貼っておくほうが安全です。貼っていないことで手が止まる可能性はありますが、貼ってあることで不利になる場面は、少なくとも筆者は見たことがありません。
撮りに行く前の、5つの確認
3つ以上あてはまる人は、撮る前に手を止めてください
- 応募先から履歴書の様式や写真サイズの指定が来ていないか、まだ見ていない
- 使う履歴書用紙をまだ決めていない(写真枠の大きさが分からない)
- 手持ちの証明写真が半年以上前のもの
- 撮る予定の服の襟が、洗ったまま畳んで放置してある
- 眉と髭を、直近1週間整えていない
→ 3つ以上なら、撮影より先に「指定の確認」と「襟・眉の手入れ」です。サイズを調べ直すより、こちらのほうが写りに効きます。
