アパレルの副店長の給料|店長と逆転することがある。分かれ目は残業代が出るかどうか

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アパレル副店長の給料

筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、いまはブランド古着の買取業を営んでいます。売場の役職の付き方は自分と同期の実感、金額と制度の話は厚生労働省の公表資料で確認したものだけを書きました。個別の会社の給与規程は会社ごとに違うので、最後は自社の規程で確かめてください。

CONCLUSION

「副店長の給料の相場」が調べても出てこないのは、国の統計に副店長という欄が無いからです。

国の役職区分は部長級・課長級・係長級(+一部産業の職長級)と「その他の役職」だけ。店長も副店長もこの中にありません。だから副店長の金額は非役職者の月31.0万円を出発点に、役職手当がいくら乗るかで決まります。そしてもう1つ、店長との差を作る大きな要素があります。残業代が出るかどうかです。

残業代の分かれ目を見る

国の統計に「副店長」という欄は無い

賃金の相場を調べるときの大元は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査です。この調査では、役職を次のように区分しています。

ROLE 1部長級
ROLE 2課長級
ROLE 3係長級
ROLE 4非役職

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 用語の解説」。このほかに「職長級」(鉱業,採石業,砂利採取業、建設業、製造業のみ)と「その他の役職」があり、役職者以外を「非役職」としています。2026年9月5日に公式ページで確認。

「店長」も「副店長」も、この区分のどこにも出てきません。売場で使っている呼び名と、統計の区分がそもそも別物だということです。だから「アパレル 副店長 給料 平均」で検索しても、平均額そのものは出てきません。

出発点になるのは、非役職者の金額

副店長の多くは、給与規程上まだ役職者に上がっていません。その場合、統計で見るべきなのは非役職者の欄です。

区分月額(男女計)平均年齢平均勤続
非役職31.0万円33.2万円41.8歳10.8年
係長級39.9万円41.1万円45.4歳17.5年
課長級52.9万円54.1万円49.5歳20.9年
部長級63.5万円64.2万円53.1歳22.6年

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」第8表。一般労働者のうち雇用期間の定めのない者。所定内給与額(2025年6月分)で、残業代・賞与は含みません。産業計の数値です。

補足:ここでいう「所定内給与額」は、きまって支給する現金給与額から残業代などの超過労働給与額を引いた額です。手取りではなく、税金や社会保険料を引く前の金額です。

非役職から係長級までの差は月8.9万円。副店長にどれだけ役職手当が付いても、等級が上がっていなければ、この段は越えていません。ここは店長の給料が上がらない理由で詳しく分けているので、等級の話を先に知りたい人はそちらへ。

副店長と店長で、逆転することがある

ここからがこの記事の本題です。副店長から店長に上がって額面は増えたのに、手元に残る額が減ったという話が、アパレルの売場ではよく出てきます。理由は待遇の善し悪しではなく、労働基準法の作りにあります。

VERDICT 店長が「管理監督者」にされると、残業代が出なくなります

労働基準法上の管理監督者は、法律で定めた労働時間・休憩・休日の制限を受けません。つまり時間外や休日の割増賃金が出ません。一方で副店長は、そう扱われることがまずありません。だから残業が多い店ほど、副店長のほうが受け取る額が大きくなることが起こります。

出典:厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」(都道府県労働局・労働基準監督署)。2026年9月5日に公式ページで確認。

ここが一番の誤解:会社が「店長は管理職だから残業代は出ない」と説明していても、それだけで管理監督者になるわけではありません。厚生労働省の同じ資料は、会社が管理職と位置づけていても、十分な権限も相応の待遇も与えられていないと判断される場合は管理監督者に当たらず、残業手当を支払わないでよいことにはならない、と明記しています。

管理監督者かどうかは、役職名では決まらない

資料に書かれている判断のしかたは、次の2つです。

  1. 労働時間などの規制の枠を超えて活動せざるを得ない、重要な職務内容と責任・権限があること

    肩書があっても、自分の裁量で使える権限が少なく、多くのことを上司に決裁してもらう必要があるなら当てはまりません。

  2. 賃金などについて、その地位にふさわしい待遇がなされていること

    定期給与・賞与その他の待遇が、一般の労働者と比べて相応でなければなりません。

そして役職名ではなく、職務内容・責任と権限・勤務態様などの実態で判断すると書かれています。副店長という名前だから出る、店長という名前だから出ない、ではないということです。

チェーン店の店長向けに、国が判断要素を出している

アパレルのように多店舗を展開する小売業では、少数の正社員と多数のアルバイト・パートで店を回します。この形の店舗について、厚生労働省は平成20年9月9日基発第0909001号で、店長等が管理監督者と言えるかどうかの判断要素を具体的に示しました。副店長にとっては、自分の立ち位置を測るものさしになります。

見る場所管理監督者性を否定する要素重み
職務内容・責任と権限アルバイト・パート等の採用に関与しない重要
アルバイト・パート等の解雇に関与しない重要
部下の人事考課に関与しない重要
勤務割表の作成や時間外労働の命令の権限が実質的にない重要
勤務態様遅刻・早退で減給や人事考課での負の評価など不利益な取扱いを受ける重要
勤務態様営業時間中は店舗に常駐、人手が足りなければ自分が入る=時間の裁量がない補強
勤務態様マニュアルどおりの業務など、部下と同じ働き方が労働時間の大半を占める補強
賃金等の待遇時間単価が店舗のアルバイト・パート等の賃金額に満たない重要
賃金等の待遇時間単価が最低賃金額に満たない極めて重要
賃金等の待遇基本給・役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間から見て十分でない補強
賃金等の待遇年間の賃金総額が、他店舗を含めた一般労働者と同程度以下補強

出典:厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」に掲載された、平成20年9月9日基発第0909001号の判断要素。表の「重み」は同資料の【管理監督者性を否定する重要な要素】【同 補強要素】の記載をそのまま短くしたものです。

読んで気づいた人も多いはずです。売場の副店長は、この表のほぼ全部に当てはまります。採用も解雇も人事考課も本部か店長の仕事で、遅刻すれば当然評価に響き、人が足りなければ自分がレジに入る。つまり副店長は、そもそも管理監督者ではない側にいます。だから残業代は出るのが原則です。

自分の時間単価を出してみる

いちばん手早く自分の位置が分かるのが、表の下のほうにあった時間単価です。給与明細と勤怠表があれば計算できます。

時間単価の出し方と、管理監督者性を否定する2本の線(アルバイトの賃金額・最低賃金額)を示した図
時間単価の出し方と、比べる2本の線

きまって支給する現金給与額を、所定内の労働時間と残業時間を足した時間で割ります。役職手当が月2万円付いていても、残業が月40時間あれば、割ったあとの単価は下がります。

LINE 1店舗のアルバイトの時給
LINE 21,226円
WHERE東京都の最低賃金
EFFECTIVE令和7年10月3日

出典:厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金全国一覧」。東京1,226円のほか、神奈川1,225円、大阪1,177円、愛知1,140円など。都道府県ごとに額も発効日も違うので、自分の勤務地の額で見てください。

注意:ここで出した単価は、あくまで自分の状況を疑うための目安です。管理監督者に当たるかどうかは複数の要素を総合して判断されるもので、単価ひとつで決まるものではありません。実際に未払いがあるかどうかの判断は、勤務先の所在地を管轄する労働基準監督署に相談してください。

副店長の給料を上げる余地が、社内にあるか

ここまでで「自分は残業代が出る側だ」と分かったとして、次の問いはこのまま社内で上がるのかです。あてはまる数で見てください。

4つ以上あてはまる人は、社内だけで待つと止まります

  • 給与規程に副店長・サブチーフの等級が無い(役職手当が付くだけ)
  • 店長になっても等級が変わらないと聞いている
  • 店長の上(エリアマネージャー・本部)の枠が実質空かない
  • 役職手当は付くが、賞与は基本給連動で増えない
  • 店長が「管理職だから」と残業代なしで長時間働いている
  • 自分の時間単価が、店舗のアルバイトの時給に近い
  • 採用・シフト作成・評価のどれも、自分の権限になっていない

→ 4つ以上なら、次に動くべきは「店長になること」ではなく「職種と等級の設計が違う場所を見ること」です。

アパレルで金額が大きく動くのは、役職が上がったときよりも職種が変わったときです。売場から本社の職種、あるいは同じ販売でも扱う商材が変わったとき。そこはアパレル転職はメンズこそ職種で決まるに整理しています。

自分の経験がどの職種に振り替えられるかは、8問の転職シミュレーターで確かめられます(登録不要)。副店長として持っている売場の管理経験は、書き方によって評価される職種が変わります。

副店長のうちに、やっておくと効くこと

いま社内でできること

  • 給与規程で副店長の等級の有無を確かめる
  • 役職手当が賞与の計算に入るか確かめる
  • 勤怠表を月ごとに保存しておく
  • 採用・シフト・評価のどれか1つを任せてもらう

外を見たほうが早い状態

  • 副店長にも店長にも等級が無い
  • 店長が残業代なしで月60時間働いている
  • 店長の上のポストが5年動いていない
  • 時間単価がアルバイトと変わらない

自分が売場にいた頃、副店長だった同期が店長に上がって、翌月に「手取りが減った」と言ってきたことがあります。役職手当は付いたのに、それまで付いていた残業代が丸ごと消えた。額面は上がって、手取りは下がる。本人の働きぶりは何ひとつ変わっていません。制度がそうなっていただけです。上がる前に、店長の給与明細の内訳を先輩に聞いておくと、こういう事故は防げます。

REAL EXPERIENCE — 元アパレル販売員・元買取査定員/現ブランド古着買取業

手取りの内訳そのものを分解したい人はアパレルの給料の手取りはいくら?を、業界全体の上がり方を先に見たい人は平均を見ると読み違えるを見てください。

社内で動かないと分かったら、まず自分の持ち札を確かめるところから始めるのが早いです。

8問の転職シミュレーターで持ち札を確かめる

登録不要・所要2分。売場の管理経験がどの職種に振り替えられるかが出ます。

よくある質問

アパレルの副店長の給料はいくらですか?
国の賃金統計に「副店長」という区分は無いため、平均額は公表されていません。副店長の多くは給与規程上まだ役職者ではないので、目安になるのは非役職の金額です。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、非役職の所定内給与額は男女計で月31.0万円、男性で月33.2万円です(産業計)。ここに会社ごとの役職手当が乗る形になります。
副店長と店長で、給料はどれくらい違いますか?
会社によります。等級が上がるなら統計上の非役職31.0万円と係長級39.9万円の差、月8.9万円が目安になりますが、等級は変えずに役職手当だけが付く会社も少なくありません。さらに店長が管理監督者として扱われると時間外・休日の割増賃金が出なくなるため、残業が多い店では副店長のほうが受け取る額が大きくなることもあります。
副店長に残業代は出ますか?
原則として出ます。労働基準法で労働時間・休憩・休日の制限を受けないのは管理監督者だけで、これに当たるかは役職名ではなく職務内容・責任と権限・勤務態様などの実態で判断されます。厚生労働省が示した判断要素では、アルバイト・パートの採用や解雇、部下の人事考課、勤務割表の作成や時間外労働の命令の権限が実質的にない場合は、管理監督者性を否定する重要な要素とされています。売場の副店長がこれらの権限を持っていることはまれです。
店長になったら残業代は出なくなりますか?
会社が管理職と位置づけているだけでは、残業代を支払わなくてよいことにはなりません。厚生労働省の資料は、十分な権限も相応の待遇も与えられていないと判断される場合は労働基準法上の管理監督者に当たらず、時間外割増賃金や休日割増賃金の支払が必要になると明記しています。なお管理監督者であっても、深夜業(22時から翌5時まで)の割増賃金と年次有給休暇は一般の労働者と同じように必要です。
自分が管理監督者に当たるかどうかを、どう確かめればいいですか?
まず時間単価を出してみてください。きまって支給する現金給与額を、所定内の労働時間と残業時間の合計で割ります。これが店舗のアルバイト・パートの賃金額に満たなければ管理監督者性を否定する重要な要素、最低賃金額(東京は1,226円)に満たなければ極めて重要な要素とされています。ただし最終的な判断は複数の要素を総合して行われるため、実際の未払いの有無は勤務先を管轄する労働基準監督署に相談してください。
副店長の経験は、転職で評価されますか?
評価される職種と、されにくい職種に分かれます。売場の管理経験そのものより、シフト作成・在庫や売上の管理・新人教育のうち、どれをどの規模で任されていたかが問われます。逆に権限が無いまま名前だけ副店長だった場合は、職務経歴書で書けることが少なくなります。だからこそ、いま社内で権限を1つでも受け取っておく意味があります。

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