※この記事は、厚生労働省の通知・5学会共同の「美容医療診療指針」・国民生活センターの公表資料と、Panasonic/貝印の公式商品ページを実際に開いて確認した内容だけで構成しています。筆者は医師でも理容師でも美容師でもありません。元アパレル販売員・買取査定員で、現在はファッションバイヤーとして人の第一印象を見てきた立場から、公的資料の読み方と道具の選び方を書いています。施術の可否や適応の判断は、必ず医療機関で受けてください。記事内のリンクの一部は広告リンクです。
眉毛のレーザー脱毛は医療機関でしか受けられません。そして当てるなら、眉の本体ではなく眉間と眉尻の外側までです。
レーザー脱毛は毛包を壊す施術なので、当てた場所は元に戻りません。30代の眉には「白髪が混じり始める」「あとから形を変えたくなる」という、20代にはなかった事情があります。公的資料に何が書かれているかを先に並べます。
眉のどこまでなら当てていいか見る「眉毛の脱毛」は、まず3つのどれの話かで分かれる
検索して出てくる「眉毛 脱毛」は、中身がまったく違う3つが同じ言葉で呼ばれています。ここを分けないまま比べると、料金も効果も噛み合いません。
| 呼ばれ方 | やっていること | どこでできるか | 毛は戻るか |
|---|---|---|---|
| 医療レーザー脱毛 | レーザーを毛根に当て、毛乳頭などを破壊する | 医師のいる医療機関だけ | 戻らない |
| エステの光脱毛 | IPL(強い光)を当てて毛を減らす | エステサロン | 戻ることがある |
| 剃る・切る | 刃で毛を落とす、長さを切る | 自宅・理容室 | 戻る |
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レーザーを当てられるのは、医師のいる場所だけと決まっている
これは慣習ではなく、国が文書で示している線引きです。厚生労働省の通知は、次の行為が医師法第17条の医業に当たる、としています。
機器が医療用かどうかは関係ない、と書かれているのがこの通知の要点です。だから「レーザー脱毛」を掲げているエステサロンがあれば、その時点でおかしい、という判断ができます。
出典:厚生労働省「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」(平成13年11月8日 医政医発第105号)
なお、エステやセルフ脱毛器で使われている機器については、5学会共同の診療指針が「エステティックサロンやホームユースの美容機器として販売されている商品はほとんどがこの IPL である」と書いています。光の種類が違うので、同じ土俵の比較にはなりません。エステ側の料金の話はメンズの眉毛エステはいくら?にまとめてあります。
眉のどこまでなら、レーザーを検討していいか
「眉の脱毛」とひとことで言っても、当てる場所によって失敗したときの取り返しがまったく違います。境界はここです。

毛包を壊す施術なので、当てた毛は生えてきません。30代のうちに決めた形を、40代の顔で維持できるかどうかは誰にも分かりません。「あとで太くしたい」と思ったときに戻す手段がなくなります。
ここは眉の輪郭の外側です。減っても眉の形そのものは動かないので、仕上がりが読めなくても顔に出ません。毎日剃る手間がいちばん減るのもこの範囲です。
なお、面でごっそり抜くワックスはレーザーとは別の施術で、注意すべき点も別にあります。そちらはメンズの眉毛にワックスはアリかに分けて書いています。
当てる前に、指針に書かれている3つを読んでおく
ここでいう指針とは、令和3年度の厚生労働科学研究費補助金でつくられた「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」です。日本皮膚科学会・日本形成外科学会・日本美容皮膚科学会・日本美容外科学会(JSAPS)・日本美容外科学会(JSAS)の5学会共同で、第5章が脱毛治療にあてられています。広告ではない文書なので、都合の悪いことも書いてあります。
- 白髪には、ほとんど効かない
指針は「レーザー脱毛のターゲットは毛の中に含まれるメラニン」であり、「このため、白髪や金髪に対するレーザー脱毛の効果はほとんどない」と書いています。30代で眉に白髪が混じり始めている人は、費用に見合う結果になりにくい可能性があります。
- 硬毛化は、原因も対処法も確立していない
脱毛したはずの部位の毛が濃くなる「硬毛化(paradoxical hypertrichosis)」について、指針は「発生原因が明確ではなく対処方法も確立されておらず、好発部位を把握したうえで必要に応じインフォームド・コンセントに追加すべきである」としています。顔の真ん中で起きたときに戻す方法がない、ということです。
- 眉のまわりは、そもそも施術が難しい部位
近年主流の蓄熱式について、指針は「上口唇や、眉周囲など狭い照射部位ではハンドピースを動かすことが十分にできないこともあり、高フルエンス、単射式脱毛と併用することもある」と書いています。眉まわりが「狭くて扱いにくい部位」として名指しされている、という事実は知っておいて損がありません。
合併症についても、指針は隠さず並べています。レーザー脱毛後の一般的な合併症として挙がっているのは「毛囊炎、熱傷(水疱・痂皮)、炎症後色素沈着、色素脱失、瘢痕」です。なお指針は、脱毛そのものを否定しているわけではありません。ロングパルスアレキサンドライトレーザーによる脱毛は推奨度1(強く推奨する)としたうえで、「多様化した脱毛希望部位すべてに万能とは言えず注意を要する」と付け加えています。
出典:美容医療診療指針(令和3年度改訂版)第5章 脱毛治療(令和3年度厚生労働科学研究費補助金/日本皮膚科学会・日本形成外科学会・日本美容皮膚科学会・日本美容外科学会〈JSAPS〉・日本美容外科学会〈JSAS〉共同)
実際に何が起きているか、相談件数で見る
「トラブルもある」と書くだけでは判断材料になりません。国民生活センターが公表している実数を置きます。
964件の内訳は、エステで受けた脱毛によるものが680件、医療機関で受けた脱毛によるものが284件です。そして危害を受けた人のうち、エステで57.3%、医療機関で67.0%が医療機関で治療を受けています。医療機関のほうが割合が高いのは、その場で医師の診察につながるからでもありますが、いずれにせよ「軽く済む話ばかりではない」ということです。
この記事でいちばん重いと思うのは、3つめの数字です。症状が出た人の7割以上が、事前にリスクの説明を受けていませんでした。説明されないなら、自分で読んでから行くしかありません。
出典:国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」(2017年5月11日公表)
厚生労働省も、美容医療の受診について「美容目的の施術は、多くの場合緊急性がありません」と書き、その場で決めないよう呼びかけています。カウンセリング当日に契約しない、というだけで避けられる失敗があります。
だから、順番は「形を決める」が先になる
ここまでの3つを並べると、やることの順番が決まります。照射は最後です。
- まず自分の眉の形を確定させる
剃る・切るは何度でもやり直せます。3か月ほど整え続けると、自分の顔に合う太さと長さが分かってきます。ここを飛ばして照射すると、決まっていない形のまま固定されます。
- 維持が面倒かどうかを、実際にやって確かめる
「毎日剃るのが面倒だから」が理由なら、その面倒さが本当に続くのかを試してから決めます。週2回・1回5分で済むなら、照射する理由は薄くなります。
- それでも余る毛だけを、医療機関で相談する
相談するのは眉間と眉尻の外側のウブ毛です。眉の本体は残す、と決めてから行くと、話が早く済みます。
形を決める段階に必要な道具は2つだけ
ここで使う道具は、電動の眉用シェーバーと、クシ付きのハサミの2つで足ります。どちらも公式ページで仕様を確認できたものを挙げます。
1つめ。輪郭の外側を落とす電動シェーバーです。Panasonicの「マユ&フェイスシェーバー ER-GM30」は、公式の仕様ページでマユ用刃とウブ毛用刃の2種類が付属することを確認できました。マユコームはA(約8mm/約6mm)とB(約4mm/約2mm)の2本で、合わせて4段階の長さに対応します。電源は単4形アルカリ乾電池または単4形充電式電池が1本、本体は高さ14.0×幅1.6×奥行1.4cm・20g(乾電池・マユコーム・ウブ毛用刃を含まず)です。
メーカー自身が案内している手順も、この記事の結論と同じ向きを向いています。公式の使い方ページは、輪郭からはみ出た毛を剃るときに「マユの上」は「マユの手前2〜3mm上までにとどめる」と書き、ポイント欄で「形を変えすぎると顔の印象が大きく変わってしまうので、少しずつ整えてください」と念を押しています。コームを当てるときは「マユ尻からマユ頭に向けてゆっくり動かす」のが公式の指示です。
出典:Panasonic「ER-GM30 仕様・詳細情報」/同「マユ&フェイスシェーバー(ER-GM30)の使い方」
2つめ。長さを切るクシ付きハサミです。貝印の「クシ付きマユハサミDX」(品番 000KQ3157)は、公式ストアの記載で希望小売価格1,210円(税込)、サイズ123×50×17mm・12g。刃部はステンレス刃物鋼、クシは抗菌剤入りのポリアセタールです。シェーバーが「輪郭の外を落とす」道具なのに対し、こちらは「長い毛だけを短くする」道具で、役割が重なりません。
剃る範囲そのものの手順はメンズの眉毛の剃り方|触っていい範囲と、失敗しない電動シェーバー1本の選び方に分けてあります。この記事は「レーザーを当てるかどうか」の判断に絞っています。
検討していい人と、いま決めないほうがいい人
相談に行っていい状態
- 眉の形はもう決まっていて、1年以上変えていない
- 減らしたいのが眉間と眉尻の外側だけ
- 眉に白髪がまだ混じっていない
- その日に契約せず、持ち帰って考えられる
いま決めないほうがいい状態
- まだ自分の眉の形が定まっていない
- 眉を細くしたい/形を変えたいのが動機
- 眉に白髪が混じり始めている
- カウンセリング当日に割引で契約を迫られている
2つ以上あてはまるなら、照射より先にやることがあります
- 眉を整えた自分の顔を、写真で確認したことがない
- 「濃いのが嫌」なのか「毎日剃るのが面倒」なのか、自分でも切り分けられていない
- 眉毛用のシェーバーを持っていない
- 眉のどこを触っていいのか、決めていない
→ 2つ以上なら、まず3か月、道具で整えてみてください。それで足りるなら、戻せない施術を選ぶ理由がなくなります。
