筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、現在はブランド古着の買取と販売を本業にしています。この記事の「真似できる一点」は、店頭で実際に売れた服と査定で値が付いた服をもとにした筆者の見立てです。人物の紹介は、本人の公式アカウントとブランド公式サイトで確認できる範囲にとどめています。
アイコンは丸ごと真似するものではない。27人に共通しているのは、デニムと白スニーカーの一点だけ高いものを履くという同じ型です。
ファッションアイコンとは何か、海外と日本人でそれぞれ誰を見ればいいのか、そして30代が現実的に取り入れられるのはどこまでか。買取査定で「値が残る服」を毎日見ている立場から、順に整理します。
ファッションアイコンとは?インフルエンサーとの違い
ファッションアイコンとは、服そのものの価値を動かしてしまう人のことです。着た服が売り切れるだけでなく、そのブランドの中古相場まで上がる。ここが、単に人気があるだけの人との分かれ目になります。

「インフルエンサーと何が違うのか」がいちばん混同されやすいので、真正面から並べます。
インフルエンサー
売れる
- 紹介した商品がその週に売れる
- 案件として着ていることが多い
- ブームが終わると相場も戻る
ファッションアイコン
相場が動く
- 着た型番の中古相場が上がったまま定着する
- 自分の金で買って着ている
- ブランド側が本人に寄せてくる
買取の現場にいると、この差はかなりはっきり出ます。案件で紹介された商品は2〜3か月で査定額が元に戻るのに対して、アイコンが私服で着ていた型は、半年後に持ち込まれても値が落ちていないことが多いです。
査定カウンターで「この人が着てたやつですよね」と言われる商品は、だいたい相場表を書き換える必要がありました。逆に、テレビで紹介された翌週だけ持ち込みが増える商品は、こちらの買取上限を変えずに済みます。動く相場と動かない相場は、現場だと持ち込まれ方で見分けがつきます。
海外のメンズファッションアイコン14人
海外は「音楽」「ストリートの店側」「NBA」の3つの流れでできています。まず一覧で全体を見てから、気になった人だけ読んでください。
| 人物 | 本業 | 系統(筆者の見立て) | 30代の再現度 |
|---|---|---|---|
| ニック・ウースター | ファッションディレクター | テーラード×スニーカー | 高い |
| ジェリー・ロレンゾ | デザイナー | ロング丈・アースカラー | 高い |
| ロニー・ファイグ | セレクトショップ経営 | きれいめストリート | 高い |
| エイサップ・ロッキー | ラッパー | モード×ストリート | 中くらい |
| ジャスティン・ビーバー | シンガー | オーバーサイズ | 中くらい |
| トラヴィス・スコット | ラッパー | ワーク・アウトドア寄り | 中くらい |
| タイラー・ザ・クリエイター | ラッパー | カラーブロック・プレッピー | 中くらい |
| ジェイデン・スミス | 俳優・音楽 | ジェンダーレス | 低い |
| ルカ・サバト | モデル | 細身モード | 低い |
| レオ・マンデラ | モデル | ハイブランド×スポーツ | 低い |
| PJ・タッカー | NBA選手 | スニーカー主役 | 中くらい |
| ラッセル・ウェストブルック | NBA選手 | 柄・シルエット実験 | 低い |
| ジェームズ・ハーデン | NBA選手 | 黒モード | 中くらい |
| カイル・クーズマ | NBA選手 | ビッグシルエット | 低い |
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1. ニック・ウースター

30代以上がいちばん参考にしやすい人です。ジャケットにショートパンツ、スーツにスニーカーといった年齢を言い訳にしない組み合わせを続けています。白髪とタトゥーを隠さないのも含めて、真似すべきは服ではなく「自分の見た目を前提にして組む」考え方のほうです。
詳しく書いた記事があります:ニック・ウースターのファッション
2. ジェリー・ロレンゾ

自身のブランドを持つデザイナーで、色を3色までに抑えたロング丈の重ね着が持ち味です。派手な柄に頼らないので、体型が変わりやすい30代でも取り入れやすい系統です。
3. ロニー・ファイグ

ニューヨークのセレクトショップを率いる立場の人で、店をやっている側のアイコンです。スニーカーを主役にしながら上は無地でまとめるので、服の点数を増やさずに真似できます。
4. エイサップ・ロッキー

ストリートとモードを行き来する着方で、ハイブランドを部屋着のように着るのが特徴です。全身を寄せると難易度が高いので、小物1点から入るのが現実的です。
5. ジャスティン・ビーバー

オーバーサイズのスウェットとサンダルというラフさを崩さない組み方を長く続けています。体型を拾わないシルエットなので、30代でも無理が出にくい系統です。
6. トラヴィス・スコット

ワークウェアとアウトドアを土台にした、くすんだ色でまとめる着方です。中古市場でも本人が関わった商品の値動きが大きく、買取側から見ても影響力が数字に出るタイプです。
7. タイラー・ザ・クリエイター

パステルとチェックを組み合わせたプレッピー寄りの着方で、ストリートに明るい色を持ち込んだ人です。色数を2つに絞れば、30代でも子どもっぽくなりません。
8. ジェイデン・スミス

男女の区分にこだわらない着方を早くから続けている人です。再現度は高くありませんが、「服に性別を持たせない」という発想そのものが参考になります。
詳しく書いた記事があります:ジェイデン・スミスのファッション
9. ルカ・サバト

細身のシルエットを軸にしたモード寄りの着方です。体型の条件が厳しいので、そのまま真似するのではなく色使いだけ借りるのが現実的です。
10. レオ・マンデラ

10代からストリートスナップで注目された人で、ハイブランドとスポーツの混ぜ方が特徴です。年齢差が出やすいので、30代は色を落として取り入れる必要があります。
11. PJ・タッカー

NBAでもっともスニーカーに詳しいと言われる選手です。服を無地にしてスニーカーだけ主役にする組み方は、手持ちの服を変えずに始められるので再現度が高いです。
詳しく書いた記事があります:PJ・タッカーのファッション
12. ラッセル・ウェストブルック

試合前の入場時の服装で毎回話題になる選手です。柄とシルエットで攻めるため難易度は高めですが、勝負服の考え方として見ると学べます。
詳しく書いた記事があります:ラッセル・ウェストブルックのファッション
13. ジェームズ・ハーデン

黒を基調にしたモード寄りの着方で、日本のブランドを取り入れることでも知られています。全身黒でも生地の違いで単調にしないのがポイントです。
詳しく書いた記事があります:ジェームズ・ハーデンのファッション
14. カイル・クーズマ
ビッグシルエットを振り切って着る選手です。本人の投稿をそのまま置いておきます。
日本人のメンズファッションアイコン13人
日本人は「俳優」「音楽・カルチャー」「スポーツ」に分かれます。海外より体型と身長が近いので、30代が実際に真似できるのはこちら側です。
| 人物 | 本業 | 系統(筆者の見立て) | 30代の再現度 |
|---|---|---|---|
| 松田翔太 | 俳優 | モード全般・きれいめ | 高い |
| 斎藤工 | 俳優 | 黒・ドレープ | 高い |
| 窪塚洋介 | 俳優 | ストリート・アロハ | 高い |
| 菅田将暉 | 俳優・音楽 | 古着ミックス | 中くらい |
| 野村周平 | 俳優 | ストリート・アウトドア | 高い |
| 藤原ヒロシ | 音楽・デザイン | 引き算のストリート | 高い |
| 岩田剛典 | パフォーマー・俳優 | ハイブランド×ストリート | 中くらい |
| 登坂広臣 | ボーカリスト | モードストリート | 中くらい |
| カワグチジン | モデル | モード・アヴァンギャルド | 低い |
| T-pablow | ラッパー | ドメスティックストリート | 中くらい |
| kemio | タレント | カラフル・ジェンダーレス | 低い |
| よしあき | モデル | ハイブランド | 低い |
| 八村塁 | NBA選手 | スニーカー主役 | 中くらい |
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1. 窪塚洋介

20年以上ストリートの文脈で語られ続けている俳優です。アロハシャツを一年中着る着方が定着しており、真似する側から見ても再現しやすい系統です。
2. 松田翔太

日本人の中でいちばん「そのまま真似して失敗しない」人だと考えています。形のきれいなものを1つだけ選ぶ着方で、点数を増やさずに成立します。
3. 菅田将暉

古着と新品を混ぜる着方で、値段の高さと見た目の良さを切り離しているのが特徴です。予算が限られている人の参考になります。
4. 斎藤工

黒を中心にした、体の線を拾わない着方です。1枚の面積を大きく見せるので、体型の変化が気になり始めた30代と相性がいい系統です。公式サイトが本人名義で運営されています。
5. 野村周平

ストリートとアウトドアを行き来する着方で、手に入りやすいブランドで組んでいるのが強みです。予算をかけずに雰囲気を寄せたい人向けです。
詳しく書いた記事があります:野村周平のファッション
6. 藤原ヒロシ

日本のストリートの流れを作った側の人で、いまも fragment design の名前で活動しています。着方はむしろ地味で、引き算だけで成立させているのが本質です。30代が学ぶべきはここだと考えています。
公式Instagramを見る fragment design 公式サイトを見る
7. 岩田剛典

ハイブランドをストリートの文脈で着る組み方です。ジャケットとスニーカーの落差で成立させているので、1点だけ良いものを入れる考え方が参考になります。
8. 登坂広臣

モードとストリートの中間で、黒とグレーの中で素材を変える着方です。色を増やさずに変化をつけたい人向けです。
9. カワグチジン

モデルとして活動しながら、服の形そのものが変わったものを選び続けています。再現度は低いですが、日本のモードの現在地を見るのに向いています。
詳しく書いた記事があります:カワグチジンのファッション/その2
10. T-pablow

国内ブランドを軸にしたストリートの着方です。海外ブランドに寄らずに成立しているので、国内で服をそろえたい人の参考になります。
詳しく書いた記事があります:T-pablowのファッション
11. kemio

色と柄を恐れない着方で、性別の枠を意識しない選び方をしています。30代がそのまま寄せるのは難しいので、色の合わせ方だけを持ち帰るのが現実的です。
12. よしあき

ハイブランドを軸にした着方です。全身の価格帯をそろえる組み方なので、予算をかけられる人向けの系統です。
13. 八村塁

NBAで戦う日本人選手で、スニーカーを主役にして服は無地で止める着方です。手持ちの服を変えずに始められるので、この記事の中では再現しやすい部類です。
詳しく書いた記事があります:八村塁のファッション
30代がアイコンを参考にするときの線引き
27人を並べて分かるのは、再現しやすさが系統ごとにはっきり分かれることです。どこから手を付けるかの目安にしてください。
そのうえで、失敗しない線引きは3つだけです。
- 全身ではなく1点だけ寄せる
アイコンの写真は、たいていカメラを前提に組まれています。同じ格好で通勤すると浮きます。靴か上着のどちらか1点だけを寄せるのが、30代でいちばん失敗しないやり方です。
- シルエットは真似しても、色数は真似しない
海外のアイコンは3色以上を平気で使いますが、日本の街だと2色が上限です。シルエットだけ借りて、色は落としてください。
- 年齢が10歳以上離れている人は系統だけ見る
10代からアイコンになった人の着方は、顔と体つきが前提になっています。アイテムではなく「何を引いているか」を見るほうが役に立ちます。
2つ以上あてはまる人は、まず1点から始めてください
- 気に入った着こなしを見つけても、結局買わずに終わる
- クローゼットに黒と紺しかない
- スニーカーを3年以上買い替えていない
- 服にかけられる予算が月2万円以下
→ 2つ以上なら、全身を組み替えるより「デニムか白スニーカーのどちらか1本」を入れ替えるほうが変化が出ます。
27人に共通していた「1点だけ高いものを履く」
系統がこれだけ違っても、27人のほぼ全員がデニムと白スニーカーを持っています。しかもそこだけは価格帯を落としていません。真似するなら、ここから入るのが最短です。
上着を増やしても写真の印象は変わりません。毎日履くものを1段上げるほうが、かけた金額に対する変化が大きく出ます。
買取査定員として見ていた立場から言うと、この2つは手放すときにも値が残りやすいという共通点があります。流行の型より、定番の型番のほうが数年後の査定額が安定します。
価格・レビュー件数は楽天市場の調査時点の値です(情報時点 2026年9月)。在庫と価格は変動します。
買う前に、着なくなった服の「売値」を見ておく
アイコンを参考にして服を買うと、たいてい着なくなる服が同じ数だけ出ます。先に売値を調べてから買うと、実際の出費はかなり下がります。
値が残りやすいもの
- 定番の型番(デニム・スニーカーの定番色)
- 国内ブランドの現行ライン
- 箱・タグ・保証書が残っているもの
値が残りにくいもの
- その年だけの流行の柄
- サイズがXSとXXLのもの
- 白物で黄ばみが出ているもの
腕時計は特に差が出ます。同じ型番でも世代で値段が何倍も変わるので、手放す前に相場を見ておく価値があります。
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