筆者は新卒で入ったアパレル企業を8ヶ月で退職し、その後アパレル販売・買取査定を経て、現在は古物商としてブランド買取業を営んでいます。この記事に出てくる求人数・求人倍率・窓口の情報は、すべて兵庫労働局の公表資料と公式ページを実際に開いて確認したものです(情報時点:令和8年7月分/公表 令和8年8月28日)。
神戸の有効求人倍率0.91倍は「求人が少ない」という意味ではありません。神戸は県内でいちばん求人が多い地域です。
兵庫県で1か月に出た新規求人27,932件のうち、9,618件が神戸地域に出ています。倍率が低いのは求人が少ないからではなく、探している人も同じだけ集まっているからです。数字の読み方を間違えると、わざわざ神戸を捨てることになります。
まず倍率の意味から見る出典:兵庫労働局「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」(令和8年8月28日公表)
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神戸で転職先を調べていると、どこかで「兵庫は求人倍率が低い」という話に行き当たると思います。実際、令和8年7月の神戸地域の有効求人倍率は0.91倍で、1倍を下回っています。
ただ、この数字は求人の件数ではありません。求人1件あたりに何人の求職者がいるかを示した、いわば混み具合です。計算式はこうなっています。
つまり倍率が低いことと、求人が少ないことは、別の話です。神戸はまさにその「別の話」が起きている地域でした。
県内7地域を並べると、神戸の求人数は突出しています
兵庫労働局は、県内を7つの地域に分けて毎月の数字を出しています。令和8年7月の新規求人数と有効求人倍率を並べたのが次の表です。
| 地域 | 新規求人数 | 新規求職者数 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|
| 神戸 | 9,618 | 5,015 | 0.91 |
| 阪神 | 6,064 | 4,153 | 0.73 |
| 西播磨 | 5,236 | 2,973 | 1.04 |
| 東播磨 | 4,246 | 2,710 | 0.81 |
| 但馬 | 1,169 | 502 | 1.15 |
| 丹波 | 801 | 354 | 1.10 |
| 淡路 | 798 | 257 | 1.75 |
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出典:兵庫労働局「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」第4表(原数値・新規学卒者を除きパートタイムを含む)

倍率がいちばん高いのは淡路の1.75倍です。でも淡路に出た新規求人は798件しかありません。神戸の12分の1です。倍率が高いのは、求人が多いからではなく、探している人が257人しかいないからでした。
一方の神戸は9,618件。県全体27,932件の34.4%が神戸地域に出ています。求職者も5,015人と県内でいちばん多いので、割り算をすると0.91倍に落ち着く、という構造です。
神戸で探すか、阪神・大阪まで広げるか
神戸に住んでいる人がまず迷うのが、「神戸で探すか、電車で30分の大阪まで出るか」だと思います。ここも数字で見ておきます。
注意したいのは、神戸のすぐ東にある阪神地域(尼崎・西宮あたり)が0.73倍で県内最低だということです。大阪に近いほうが有利、という感覚は、少なくとも倍率では裏切られます。大阪へ通いやすいので求職者が集まりやすく、そのぶん混むからです。
次のうち2つ以上に当てはまるなら、神戸を軸にしたままで大丈夫です
- 通勤時間を今より延ばしたくない
- 実家または持ち家が神戸市内にある
- 職種はまだ決めきれていない
- 在職中で、面接に使える時間が限られている
→ 当てはまるなら、探す範囲より先に「どの職種で出すか」を決めるほうが結果が変わります。
ハローワークに出ていない「神戸勤務」の求人が1万件あります
ここが、神戸で探す人がいちばん損をしやすいところです。
求人倍率には、公式に2つの数え方があります。兵庫県の令和8年7月の数字は、この2つで大きく違いました。
兵庫のハローワークが受け付けた求人
0.93倍- 有効求人数 76,517人
- 新規求人倍率 1.65倍
- 県内の窓口に出された求人だけを数えている
勤務地が兵庫県内の求人
1.07倍- 有効求人数 87,663人
- 新規求人倍率 1.87倍
- 全国の窓口で受け付けた分まで数えている
出典:兵庫労働局「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」第1表・第2表(季節調整値)
差は11,146件です。これは「勤務地は兵庫県内なのに、兵庫のハローワークには出ていない求人」がそれだけあるという意味になります。本社が大阪や東京にあって、募集の窓口も本社側にある会社の求人です。
兵庫は、この2つのうち就業地別のほうが高いという珍しい県です。全国には逆のパターンの県もあります。数え方の違いが、そのまま「どこを見れば求人が見つかるか」の違いになっている、ということです。
正社員だけで数え直すと0.75倍まで下がります
もう1つ、第二新卒が知っておいたほうがいい数字があります。正社員の有効求人倍率です。
兵庫県の令和8年7月は0.75倍でした(前年同月は0.76倍)。全体の0.93倍より低くなります。パートや契約社員を含めた全体の数字より、正社員だけで数え直したほうが厳しくなる、というのはどの都道府県でも起きます。
とはいえ0.75倍は「4人に3人分しか正社員の椅子がない」という状態です。求人票を眺めているだけでは埋まらない差なので、次に出てくる職種の話が効いてきます。
どの業界に出すかで、混み具合はここまで変わります
兵庫県の令和8年7月の新規求人を、業界別に並べたのが次の表です。一般(パートを除く常用など)の件数と、前年の同じ月からの増減を載せています。
| 業界 | 新規求人(一般) | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 医療、福祉 | 4,786 | +11.0% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 2,882 | +9.1% |
| 建設業 | 2,224 | +2.1% |
| 製造業 | 2,216 | +4.9% |
| 卸売業、小売業 | 1,439 | −2.0% |
| 運輸業、郵便業 | 1,026 | −11.6% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 473 | −23.7% |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 373 | −10.6% |
| 不動産業、物品賃貸業 | 345 | −8.0% |
| 情報通信業 | 243 | +47.3% |
| 金融業、保険業 | 175 | +10.1% |
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出典:兵庫労働局「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」第5表-1(産業別一般新規求人状況・新規学卒者を除く原数値)
読み方を2つに絞ります。
- 件数で選ぶなら医療・福祉
一般だけで4,786件。2位のサービス業の1.7倍です。未経験可の求人が多く出る領域でもあります。ここを最初から除外すると、選べる母数が一気に減ります。
- 伸び率で選ぶなら情報通信業
243件と件数は少ないものの、前年の同じ月から47.3%増えています。件数の少なさは「競争相手も少ない」という意味でもあるので、狙える技術があるなら効率がいい枠です。
逆に、学術研究・専門技術サービス業は前年同月比で23.7%減、運輸業も11.6%減でした。同じ神戸で探していても、どの業界の求人票を開くかで見える景色が変わります。
在職中のまま使える公式の窓口が、三宮にあります
第二新卒でいちばん多いつまずきが、「在職中なので平日の昼に動けない」です。神戸にはこれを前提にした公的窓口があります。
出典:兵庫労働局「ハローワークの所在地一覧・管轄」/兵庫労働局「若者の雇用・就職支援」
兵庫労働局の説明によると、ここは正社員を目指す若者を対象にした窓口で、担当者制の予約相談、就活クラブ、臨床心理士によるカウンセリング、正社員面接会といったメニューが用意されています。
平日18時30分まで、第2・4土曜も開いているので、仕事を続けたまま通えます。日本生命三宮駅前ビルの1階なので、仕事帰りに寄る動線としても無理がありません。
神戸で動きはじめる順番
ここまでの数字を、実際の手順に落とします。上から順にやると、無駄が出にくい順番です。
- 探す範囲を「兵庫県内」で固定する
市区町村まで絞ると、勤務地が神戸でも本社が大阪の求人を取りこぼします。まずは県単位で広げておきます。
- ハローワーク以外の入口を1つ持つ
勤務地が兵庫の求人と、兵庫の窓口に出た求人には11,146件の差があります。転職サイトかエージェントを1つ使って、この差の側を見ます。
- 業界を2つに絞って求人票を読む
件数の医療・福祉と、伸び率の情報通信業。あるいは今の仕事の延長にある業界。3つ以上並べると比較が止まります。
- 三宮わかものハローワークで職務経歴書を見てもらう
担当者制の予約相談があります。書類を自力で完成させてから相談に行くのではなく、途中の状態で持っていくほうが早く進みます。
- 面接の日程を土曜と夕方から埋める
在職中でも組めます。日程を理由に落とされることは、第二新卒ではほとんどありません。
求人の3分の1が集まっている地域を離れる理由は、数字の上にはありません。変えるべきは場所ではなく、探し方と業界の選び方です。
