※この記事に出てくる1LDKの労働条件は、すべて1LDK公式サイトの採用ページを実際に開いて読み取った文言だけを使っています。求人まとめサイトや口コミサイトの数字は使っていません。筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、現在は古物商としてブランド古着の買取業を営んでいます。情報の時点は2026年9月です。
1LDKの販売スタッフは月給255,000円〜。ただしこの数字は基本給ではありません。固定残業手当と社販補助手当を含んだ額です。
公式の募集要項に書いてあるのは「合計いくらか」だけで、その中身は公表されていません。この記事では、公表されている条件だけを並べ直して、応募する前に自分で聞くべき3点まで持っていきます。
応募前に聞く3つを先に見る公式が出している条件を、そのまま並べます
まず、推測をひとつも混ぜずに事実だけを置きます。以下はすべて1LDKの公式サイトにある採用ページに、この記事を書いた時点で実際に載っている文言です。
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| 給与 | 月給255,000円〜 ※経験・能力などを考慮のうえ決定 ※固定残業手当、社販補助手当を含む |
| 雇用形態 | 正社員 ※試用期間あり |
| 就業時間 | 10時30分〜19時30分(実働8時間/休憩1時間) |
| 休日休暇 | 月9日(シフト制)、年次有給休暇、冬季休暇 |
| 勤務地 | 1LDK apartments.(中目黒) |
| 賞与 | 業績連動型(3月・9月) |
| 給与改定 | 年1回(8月) |
| 交通費 | 支給(月額上限25,000円) |
| その他 | 各種社会保険完備/社販補助制度/慶弔休暇/産前産後休暇/育児休業制度 |
| 応募書類 | 履歴書・職歴書・自己PR・全身スナップ写真 |
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出典:1LDK RECRUIT(公式) 販売スタッフ 募集要項より/情報の時点 2026年9月
会社名は株式会社アイディーランドカンパニーです。同じ採用ページの代表者あいさつに、2000年にI.D. Land Companyを立ち上げ、2008年に中目黒で1LDKをオープンしたと書かれています。求人サイトでは「1LDK」の名前でしか出ていないことがあるので、応募先の法人名はここで押さえておいてください。
255,000円は「基本給」ではありません
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。募集要項の給与欄には、こう書いてあります。
「含む」ということは、255,000円という数字は3つを足したあとの合計だということです。分解するとこうなります。

図の「?」は、わざと空けています。基本給がいくらで、固定残業手当がいくらで、社販補助手当がいくらなのかは、公式の採用ページに記載がありません。推測で埋めることもできますが、それをやると読んだ人が間違った前提で応募することになるので、この記事では書きません。
なぜここにこだわるのか。理由は3つあります。
- 固定残業手当は「働く前から引かれている残業代」
固定残業代とは、実際に残業したかどうかに関係なく、決まった時間分の残業代をあらかじめ払っておく仕組みです。つまり255,000円のうち一定額は、残業してはじめて釣り合う分です。残業ゼロで255,000円もらえるわけではなく、「一定時間の残業込みで255,000円」という意味になります。
- 社販補助手当は、服を買うことが前提の手当
社販とは、自社や取扱ブランドの服を社員価格で買う制度です。アパレルでは店頭に立つ服を自分で買うのが一般的で、その負担を軽くするための手当だと読めます。ただしこれは現金として自由に使える給料の一部でもあります。手当の名前が付いているだけで、服を買わなければ浮くのか、買うことが実質的に前提なのかは、条件次第で意味がまったく変わります。
- 基本給は、あとから効いてくる数字
賞与の計算、昇給の幅、残業代の単価、退職金がある会社ならその算定──これらはたいてい基本給を土台に決まります。合計額が同じでも、基本給が高い会社と低い会社では、3年後5年後の差が開きます。だから「月給いくら」より「基本給いくら」のほうが、長く働くつもりの人には重要です。
これは1LDKだけの話ではありません
誤解のないように書いておくと、固定残業代を含んだ月給の書き方は、アパレルに限らず日本の求人で広く使われています。1LDKが特別なわけではありません。そのうえで、国はこの書き方について明示してほしい内容を具体的に示しています。
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークが出している案内には、こう書かれています。
①固定残業代を除いた基本給の額
②固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
③固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代制を採用する場合は、募集要項や求人票などに、次の①〜③の内容すべてを明示してください」(若者雇用促進法に基づく指針)
同じ資料には、記載例まで載っています。
- 基本給(××円)(②の手当を除く額)
まず、手当を抜いた基本給そのものを書く。ここが土台になります。
- □□手当(時間外労働の有無にかかわらず、○時間分の時間外手当として△△円を支給)
手当の名前・何時間分か・いくらかの3点セットで書く。「固定残業手当を含む」だけでは、この条件を満たしません。
- ○時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給
決められた時間を超えて働いた分は、別途払う。ここが書かれていないと、超過分がうやむやになります。
そして同じ資料には、こういう数字も載っています。ハローワークに寄せられる「求人票の記載内容と実際の労働条件が違う」という申出・苦情で、いちばん多いのが「賃金に関すること(固定残業代を含む)」です。民間の職業紹介を使った人の「求人条件と採用条件が異なっていた」という不満でも、同じく賃金に関することが1位でした。
時間で割ると、いくらになるか
公表されている条件だけで、ここまでは計算できます。実働8時間、休日は月9日(シフト制)。月の日数から休日を引くと、勤務日数は次のようになります。
| 月の日数 | 勤務日数 | 所定労働時間 | 255,000円を割ると |
|---|---|---|---|
| 28日 | 19日 | 152時間 | 約1,678円 |
| 30日 | 21日 | 168時間 | 約1,518円 |
| 31日 | 22日 | 176時間 | 約1,449円 |
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計算:公式記載の「実働8時間」「休日 月9日」から筆者が算出。月給255,000円を所定労働時間で割った値です
1時間あたりおよそ1,449円〜1,678円。ただしこの数字には、大きな前提が2つ付きます。
この計算が成り立つ条件
- 残業が1時間もない月であること
- 社販補助手当も現金として数えていること
- 月給が下限の255,000円であること
実際にはこうなる
- 固定残業分まで働けば、時間あたりは下がる
- 社販に使う前提なら、自由に使える額は減る
- 経験が評価されれば、下限より上になる
もうひとつ、休日の数も見ておいてください。月9日は、週休2日(月8〜9日)とほぼ同じ水準です。アパレルの店頭は年中無休の商業施設に入っていることが多く、休みが月6〜7日という求人も珍しくありません。ここは条件として悪くない部類です。
月給の外にあるものを、忘れない
年収で考えるなら、月給255,000円を12倍しても答えにはなりません。募集要項には、月給の外に置かれているものが3つ書かれています。
メーターは「公式にどこまで書かれているか」の目安です。金額の高さを評価したものではありません
メーターの意味を説明します。
- 賞与は「業績連動型」とだけ書かれている
年に2回(3月・9月)出る仕組みがあることは分かりますが、何か月分なのか、実績はどうだったのかは公表されていません。業績連動型は、良い年は大きく、悪い年はゼロに近づくこともある形です。年収を見積もるときに、ここを勝手に「2か月分」などと置くと、計算が丸ごとずれます。
- 給与改定は年1回・8月
昇給のタイミングが決まっていること自体は、条件として明確です。ただし「改定」は必ず上がるという意味ではありません。上がり幅がいくらかも公表されていないので、面接で実績を聞く価値があります。
- 交通費は月額上限25,000円
これははっきりした数字です。中目黒勤務で、都内・近郊から通うぶんにはおおむね収まる水準です。実費が上限を超える距離から通うなら、超えた分は自己負担になります。
この条件は、いい求人なのか
ここで結論を出したいところですが、正直に書きます。
基本給がいくらか分からないからです。合計255,000円が同じでも、基本給20万円の会社と基本給16万円の会社では、賞与も昇給も残業代の単価も変わります。比べる土台がない状態で「安い」「高い」を言うのは、単なる印象です。
これは1LDKを批判しているのではありません。求人票から読み取れることには限界がある、という当たり前の話です。そして限界があるからこそ、応募する側がやることははっきりします。足りない数字を、自分で聞く。それだけです。
販売員だったころ、月給の額面しか見ずに入って、入社後に「基本給はこの中の一部です」と言われました。そこから昇給の話をしても、土台が低いので毎年の上がり幅も小さい。あのとき面接で基本給を聞いていれば、同じ給料でも別の会社を選んでいたと思います。聞きにくい質問ではありません。答えられない会社のほうが問題です。
応募する前に聞く3つ
聞く内容は、自分で考える必要はありません。厚生労働省が「求人票に書いてください」と示している①②③を、そのまま質問に変えるだけです。これなら失礼にもなりませんし、答えられない理由もありません。
- 「固定残業手当と社販補助手当を除いた基本給は、いくらになりますか」
これが①にあたります。賞与・昇給・残業代の単価がここから決まるので、いちばん先に聞く数字です。「経験・能力を考慮のうえ決定」とある以上、自分の場合いくらになるかを聞くのは自然な流れです。
- 「固定残業手当は、何時間分でいくらですか」
これが②です。たとえば同じ255,000円でも、20時間分なのか45時間分なのかで、働く時間の想定がまったく変わります。時間数と金額の両方を聞いてください。片方だけでは計算できません。
- 「その時間を超えて働いた分は、別途支給されますか」
これが③です。法律上は超えた分の割増賃金を払う必要がありますが、運用として実際にどうなっているかを口頭で確認しておく意味があります。この3つ目まで聞いて、はじめて月給の全体像が見えます。
面接前に、この4つをメモに書き出しておく
- 基本給(手当を除いた額)はいくらか
- 固定残業手当は何時間分・いくらか
- 超過分は別途支給されるか
- 賞与は直近何年、何か月分の実績があったか
→ この4つが埋まってはじめて、他社の求人と同じ土俵で比べられます。埋まらないうちに決めない。
この働き方が向く人・向かない人
金額の話とは別に、募集要項と代表者・スタッフの文章から読み取れる働き方の性格があります。ここは公式ページに書かれている内容の範囲で整理します。
向いている人
- 販売だけでなく、バイイングやプレスの仕事にも関わりたい
- SNSやECの運用まで手を広げたい
- 少人数の環境で、任される範囲を早く広げたい
- いずれ自分の店やブランドを持ちたい
向いていない人
- 担当業務がはっきり決まっているほうが働きやすい
- 収入の見通しを先に固めてから動きたい
- 土日祝に休みを取りたい
- 中目黒への通勤が現実的でない
公式の募集要項には、職務内容として「接客販売業務/顧客管理業務/SNS関連業務/EC関連業務/その他付随業務および店舗運営全般」と書かれています。販売員として採用されても、店頭以外の仕事が最初から含まれているという前提です。応募資格にも「積極的に幅広い業務を経験したい方」「自由な発想で自ら企画を立案し実現したい方」とあります。
これを面白いと思えるかどうかは、人によってはっきり分かれます。接客に集中したい人にとっては負担にもなります。給料の額だけでなく、この点を自分に当てはめてから決めてください。
1社だけで決めない
ここまで読んで「思っていたより悪くない」と感じた人も、「思ったより低い」と感じた人もいると思います。どちらの感想も、比べる相手がいないと意味を持ちません。
セレクトショップの募集は、そもそも公開されている数が多くありません。公式サイトに採用ページを常設している1LDKのような会社はむしろ親切なほうで、非公開でしか募集していない会社も多い。だから求人サイトを1つ見て終わりにすると、比較対象が2〜3社しか集まらないまま決めることになります。
アパレル業界の給料の全体像は、公的統計で確かめられます。この記事の数字が業界の中でどのあたりなのかを知りたい人は、こちらを先に読んでください。
よくある質問
1LDKの販売スタッフの給料はいくらですか?
月給255,000円は手取りですか?
固定残業手当は何時間分ですか?
休みはどれくらいありますか?
まとめ
- 1LDKの販売スタッフは月給255,000円〜
正社員・試用期間あり。実働8時間、休日は月9日のシフト制、勤務地は中目黒です。
- その255,000円は基本給ではない
固定残業手当と社販補助手当を含んだ合計額です。内訳は公表されていません。
- 足りない数字は、聞けば埋まる
基本給/固定残業の時間数と金額/超過分の扱い。この3つは厚生労働省が求人票に明示するよう示している項目そのものなので、遠慮せずに確認してください。
