筆者は元アパレル販売員で、いまはブランド古着の買取業を営んでいます。統計の数字は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」で確認したものです。年齢・勤続年数以外の条件(学歴、企業規模、役職、地域など)はそろえていない平均どうしの比較です。
転職先は「業界を出るか」と「職種を変えるか」の2つの軸で4つに分かれます。金額が動くのは職種を変えたときだけです。
販売店員(男)の年収換算は459.3万円。同じ年齢・同じ勤続でも、その他の営業職業従事者(男)は689.0万円です。業界を移っても職種が販売のままなら、金額はあまり動きません。
4つの行き先を見る転職先は4つに分かれます
「アパレル 転職先」で調べると、職種名がずらっと並んだ記事が出てきます。並べても選べません。先に軸を2つ決めてください。
| 職種は販売のまま | 職種を変える | |
|---|---|---|
| アパレル業界に残る | ①別のブランドへ移る | ②本社・EC・バイヤーへ |
| 業界を出る | ③別業界の販売・接客へ | ④別業界の営業などへ |
金額が動くのは②と④、つまり職種を変えたときだけです。①と③は、環境は変わっても給料の構造は変わりません。
数字で見ると、どこが動くか
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」。職種は小分類別(男・一般労働者・企業規模計10人以上/産業計)、産業は中分類別(I57 織物・衣服・身の回り品小売業・男・一般労働者・企業規模計10人以上)。年収換算は月額×12+年間賞与その他特別給与額。
① 別のブランドへ移る
いちばん現実的で、いちばん金額が動きにくい選択です。職種が販売のままなので、上の統計でいえば459.3万円の枠の中での移動になります。
それでも移る価値があるのは、ブランドによって客単価が違うからです。高単価の店ほど1人あたりの売上が大きく、インセンティブの上限も変わります。環境を変えたい場合の選択肢だと考えてください。
② 本社・EC・バイヤーへ(業界に残って職種を変える)
アパレルが好きなまま金額を動かせる、いちばん筋のいいルートです。産業で切った639.6万円には、こうした職種が含まれています。
- EC・Web担当
売る場所が店からネットに変わります。求人票の「未経験OK」がEC未経験を指すのか、アパレル未経験まで指すのかは要確認です。
- バイヤー・MD
売る側から仕入れる側へ。数字を読めるかどうかが入口の条件になります。
- プレス・生産管理
店頭とは求められるものが変わります。社内異動で入るほうが現実的な場合もあります。
店頭にいたころ、本社の人が来ると「別の会社の人」に見えていました。実際には同じ会社で、やっていることが違うだけです。店で数字を出していた人が本社に上がると強いのは、現場で何が売れないかを体で知っているからでした。
③ 別業界の販売・接客へ
商材が変わるだけで、職種は販売のままです。携帯ショップ、家電量販、自動車ディーラー、ジュエリーなど。
販売経験がそのまま使えるので入りやすい反面、統計上の位置は変わりません。「アパレルは辞めたいが、接客は続けたい」場合の選択肢です。
④ 別業界の営業などへ(業界も職種も変える)
いちばん金額が動きます。販売店員459.3万円に対して、その他の営業職業従事者は689.0万円。年齢差0.4歳、勤続差1.4年で229.7万円の開きです。
それでも、同じ職種のまま年数を重ねてもこの差は縮まないことは言えます。動くなら、勤続年数が武器として通用するうちのほうが有利です。
どこから決めるか
先に決めるのは、行き先ではなく「軸」です
- 服そのものに関わっていたいか(残るか出るか)
- 接客そのものが好きか(職種を変えるか)
- いま金額を動かす必要があるか
- 勤続年数がまだ武器になるか
→ この4つが決まれば、行き先は①〜④のどれかに絞れます。職種名を並べて眺めるより早いです。
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