筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、現在はファッションバイヤーとブランド古着の買取業を営んでいます。この記事に出てくる制度の内容と数字は、すべて厚生労働省のページとリーフレット・告示の原本を実際に開いて確認したものです。まとめサイトや他人のブログからの引き写しは入れていません。記事の末尾で自社運営の診断ページを案内しています。
第二新卒が行ける説明会は3つ。そのうち「新卒枠」の会社説明会だけは、その場でひとこと言うと12項目の職場情報が出てきます。法律で決まっている仕組みです。
残りの2つ(中途のキャリア採用説明会と、民間の合同転職フェア)にはこの仕組みがありません。だから同じ「説明会」でも、持って帰れるものがまるで違います。まず自分が行こうとしているのがどれなのかを見分けてください。
3つの違いを見る第二新卒が行ける「説明会」は3つ。制度が効くのは1つだけ
検索して出てくる「転職 説明会」は、実は別々のものが同じ名前で呼ばれています。主催者が違い、対象者が違い、そして国の情報提供ルールが効くかどうかが違います。
| 説明会の種類 | 主催 | 第二新卒は対象か | 職場情報12項目を求める権利 |
|---|---|---|---|
| 新卒枠の会社説明会 | 企業(新卒採用) | 既卒を受け付けている会社なら対象 | あり |
| キャリア採用の説明会・カジュアル面談 | 企業(中途採用) | 対象 | なし |
| 合同転職フェア | 転職サイト運営会社など | 対象 | なし |
← 横にスクロールできます
「権利あり」と書いたのは、若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)にもとづく青少年雇用情報という仕組みのことです。新卒者等の募集をしている会社に対して、応募者などから求めがあったら、決められた項目の情報を出すことが義務づけられています。
この義務がかかるのは「新卒者等の募集」をしている会社だけです。中途採用の説明会や、民間企業がお金を取って開いている合同フェアには、同じ仕組みがありません。聞くこと自体は自由ですが、答えるかどうかは相手次第になります。
合同フェアは、会社の存在を知るには向いています。ただ、持ち帰れる情報は各社のパンフレットと、立ち話で聞けた分だけです。先に新卒枠の説明会が使えるかどうかを確かめたほうが、同じ半日で手に入る情報量が変わります。
「新卒枠の説明会」でだけ使える、ひとことの権利
厚生労働省は、青少年雇用情報を企業に求める方法を公開しています。原則はメールか書面で、氏名・連絡先・所属学校名と在学年または卒業年月・情報提供を希望する旨の4つを伝える、という手続きです。
ところが、同じページにこう書いてあります。
つまり説明会の場にいる人は、「職場情報の提供をお願いします」と言うだけでいいということです。書面も、事前の手続きも要りません。説明会に出席するという行為そのものが、いちばん手間のかからない請求方法になっています。
さらに国の指針(事業主向けの告示)には、情報提供を求めた人を不利に扱わないように、とはっきり書かれています。「聞いたら印象が悪くなるのでは」という心配のために、わざわざ一文が用意されているわけです。
同じ指針には、会社説明会での提供を含むやり方で、項目の全てについて情報提供することが望ましい、とも書かれています。説明会は、国が「ここで出してください」と名指ししている場なのです。
この3つが揃っている人は、その場で求められます
- 学校を卒業している(在学中の卒業見込みでも可)
- 行こうとしているのが、その会社の新卒採用の説明会である
- その新卒枠の募集要項に、自分が対象として含まれている
→ 3つ目が肝心です。新卒者等には卒業者も含まれますが、その募集の対象外になっている場合は求めることができません。募集要項の応募資格をまず読んでください。
就業経験のある第二新卒は、ここでつまずくことがあります。「卒業後3年以内・就業経験不問」と書いてある会社なら対象に入りますが、「就業経験のない既卒者」に限定している会社もあります。応募資格の一行を確認してから説明会を予約する、という順番にしてください。
出てくるのは12項目。どこを見ればいいか
求めたときに出てくる情報は、3つの類型に分かれた全12項目です。会社に義務があるのは「3類型それぞれから1つ以上」ですが、指針では全項目を出すことが望ましいとされています。1枚にまとめました。

出典:厚生労働省「職場情報の提供制度」(2026年10月1日に開いて確認)
12項目のうち、第二新卒が最初に見るべきものは決まっています。辞めた理由と同じ地雷を踏まないための3つです。
- 直近3事業年度の新卒採用者数・離職者数
採用した人数ではなく、辞めた人数のほうを見ます。採用20人・離職8人なら、入った人の4割が抜けている計算になります。パンフレットの「風通しのいい社風」という言葉より、この2つの数字のほうが早いです。
- 平均勤続年数
短いこと自体は悪ではありません。設立が新しい会社や、急拡大している会社も短く出ます。離職者数とセットで見て、「人が増えて短い」のか「人が抜けて短い」のかを切り分けてください。
- 前事業年度の月平均所定外労働時間の実績
求人票の「残業月20時間程度」は見込みですが、こちらは前年度の実績です。同じ会社について、見込みと実績の両方を手に入れられる場面はそう多くありません。
中途の説明会では、同じ12項目を「質問」に変える
キャリア採用の説明会やカジュアル面談には、この義務がありません。だからといって使えないわけではなく、12項目をそのまま質問リストとして流用できます。国が「会社が答えるべき内容」として定めた項目なので、聞いて非常識になる質問がひとつもありません。
- まず「新卒採用のほうでは出している情報ですよね」と前置きする
若者雇用促進法の仕組みを知っていることが伝わります。新卒採用もしている会社なら、答えが社内に既にあります。
- 数字が出る3項目にしぼって聞く
離職者数・平均勤続年数・前年度の月平均所定外労働時間。制度の有無(メンター制度など)は採用ページに書いてあることが多いので、その場で聞くのは数字だけにします。
- 答えが「出していません」でも、それを記録する
答えないこと自体は違法ではありません。ただし、新卒枠では出している会社が中途には出さないのであれば、それも判断材料のひとつです。
中途の説明会が向いている人
- いまの職種を続けたまま会社だけ変えたい
- 仕事内容を細かく詰めたい
- 新卒枠の応募資格から外れている
新卒枠の説明会を先に当たるべき人
- 卒業して3年以内で、未経験の職種に移りたい
- 社会人経験が1年前後で、職務経歴が書きにくい
- 会社の実態を数字で確かめたい
説明会に行く前に、行かなくても分かる分を潰しておく
12項目のうち、会社によっては説明会に行く前から公開されています。先に調べておけば、当日は公開されていない項目だけを聞けばよくなります。半日かけて移動した先で、ホームページに載っている話を聞いて終わる、という事故を防げます。
- 若者雇用促進総合サイトで社名を検索する
厚生労働省が運営する、職場情報を提供している企業のデータベースです。採用・定着状況、残業時間、有給休暇の取得状況、人材育成の情報が載っています。
- ハローワークの求人なら「青少年雇用情報欄」を見る
ハローワークは求人を受け付けるとき、求人申込書に青少年雇用情報欄を設けて記入を求めています。求人票の時点で数字が入っていることがあります。
- それでも空いている項目を、説明会で口頭で求める
ここまで来ると、聞くことが2〜3項目に絞られます。質問の精度が上がるので、相手の印象にも残ります。
出典:厚生労働省「若者雇用促進総合サイト」(掲載社数は2026年10月1日に表示されていた数)/厚生労働省「若者雇用促進法の概要」
離職者数を見るときの基準線は33.8%
説明会で離職者数を聞いても、多いのか少ないのか分からなければ意味がありません。基準になる全国の数字があります。厚生労働省が毎年公表している、新規学卒就職者の離職状況です。
大学卒・令和4年3月卒の、就職して3年以内に辞めた人の割合
出典:厚生労働省「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況」(大学卒・令和4年3月卒。就職449,012人のうち3年目までの離職151,911人。1年目12.1%・2年目11.9%・3年目9.9%)
大学を出て就職した人の3人に1人が3年以内に辞めています。1年目だけで12.1%です。第二新卒という言葉が求人の世界で定着しているのは、感覚の話ではなく、この規模で人が動いているからです。
説明会で聞いた数字は、この33.8%と比べてください。採用者数に対する離職者数が全国平均を大きく下回っているなら、少なくとも「入った人が残っている会社」です。逆に上回っているなら、その理由を聞く価値があります。
新卒枠に既卒が入れるかは、会社ごとに違う
国の指針は、学校等の卒業者が卒業後少なくとも3年間は新卒枠に応募できるようにすることを事業主に求めています。ただしこれは努力を求めるもので、全社に強制されているわけではありません。
実際に大手でも、新卒採用の入口を「卒業見込みの方」だけに限定している会社があります。当メディアで花王の採用ページを確認したときも、既卒者向けの枠は掲載されていませんでした。会社ごとに採用ページを開いて確かめるしかありません。
だから手順は、採用ページで応募資格を読む → 新卒枠に入れるなら新卒の説明会を予約する → 入れないならキャリア採用の説明会に行く、の順になります。この順番を踏むだけで、使える制度を取りこぼさずに済みます。
自分の経験が次にどこで使えるか、先に見ておく 8つの質問で、向いている転職サービスを最大3つ・理由つきで表示します