筆者は新卒で入ったアパレル企業を8ヶ月で退職し、その後アパレル販売・買取査定を経て、現在は古物商としてブランド買取業を営んでいます。この記事に出てくる求人倍率・求人件数は、すべて愛知労働局が公表している資料を実際に開いて確認したものです(情報の時点:令和8年7月分/公表 令和8年8月28日)。特定の転職サービスからの依頼で書いた記事ではありません。
愛知の求人が多いのは本当。ただしその半分は名古屋にある。豊田も岡崎も、倍率は1倍を切っています。
「愛知県の有効求人倍率1.18倍」は、県をまるごと平均した数字です。愛知労働局は同じ資料の中で県内を4つに割った数字も出していて、そちらを見ると名古屋1.51倍に対して、尾張0.96倍・西三河0.97倍・東三河0.93倍。第二新卒が最初に決めるべきなのは、業界でも会社でもなくどのエリアに出すかです。
4エリアの数字を見る出典:愛知労働局「最近の雇用情勢(令和8年7月分・確報)」(令和8年8月28日公表)表3 地域別の求人・求職状況
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愛知で転職先を探すとき、まず目に入るのは「愛知県の有効求人倍率」という1つの数字だと思います。令和8年7月なら、受理地別で1.23倍(季節調整値)。全国平均の1.18倍より高く、東海4県の中でも岐阜に次ぐ数字です。
ここで止まってしまうと、愛知のどこに住んでいても同じ状況に見えます。でも実際は違います。愛知労働局は同じ資料の中で、県内を4つのエリアに割った数字を毎月出しています。
| エリア | 有効求人倍率 | 新規求人倍率 | 月間有効求人数 | 月間有効求職者数 |
|---|---|---|---|---|
| 愛知県 計 | 1.18 | 2.45 | 121,605 | 102,906 |
| 名古屋 | 1.51 | 3.24 | 63,191 | 41,812 |
| 西三河 | 0.97 | 1.89 | 21,008 | 21,762 |
| 尾張 | 0.96 | 2.11 | 27,459 | 28,682 |
| 東三河 | 0.93 | 1.68 | 9,947 | 10,650 |
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出典:愛知労働局「最近の雇用情勢(令和8年7月分・確報)」表3。原数値・新規学卒を除きパートタイムを含む

1倍を超えているのは名古屋だけです。しかも1.51倍。県平均の1.18倍より大きく上にいます。残りの3エリアはそろって1倍を下回っていて、求人1件に対して求職者が1人以上いる状態です。
エリアの中身は、資料に書いてある
「名古屋」「尾張」といっても範囲が分からないと使えないので、同じ資料の注に書かれている定義を出します。これはハローワークの管轄で区切られています。
| エリア | 含まれるハローワーク | 主な市 |
|---|---|---|
| 名古屋 | 名古屋中・名古屋南・名古屋東 | 名古屋市 |
| 尾張 | 一宮・半田・瀬戸・津島・犬山・春日井 | 一宮市・春日井市・半田市・瀬戸市ほか |
| 西三河 | 岡崎・豊田・刈谷(碧南出張所含む)・西尾 | 豊田市・岡崎市・刈谷市・西尾市 |
| 東三河 | 豊橋・豊川(蒲郡出張所含む)・新城 | 豊橋市・豊川市・蒲郡市 |
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愛知の求人の半分は、名古屋の3つのハローワークにある
倍率だけだと「名古屋のほうがマシ」で終わってしまうので、件数で見ます。
愛知県の求人のちょうど半分が、名古屋市内の3つのハローワークに集まっています。新規求人倍率で見ると差はもっと開いて、名古屋3.24倍に対して東三河は1.68倍。ほぼ倍の違いです。
これは「三河には仕事がない」という話ではありません。西三河には21,008件、尾張には27,459件の有効求人があります。ただしそのぶん求職者もいるので、席の取り合いになっているというだけです。
求人が求職者より2万人分多い
1.51倍- 有効求人 63,191件/有効求職 41,812人
- 新規求人倍率も3.24倍で県内最高
- 通える範囲なら、まずここを含めて探す
求人より求職者のほうが多い
0.97倍- 有効求人 21,008件/有効求職 21,762人
- 754人分の席が足りていない
- 地元だけで探すと競争率が上がる
引っ越す必要はありません。求人サイトの勤務地フィルタを「豊田市」から「愛知県(名古屋市含む)」に広げるだけで、見える求人の数が2〜3倍になります。名鉄・JR・地下鉄で名古屋まで1時間圏なら、実際に通勤している人はいくらでもいます。
「愛知だから自動車」で絞ると、求人の97%を見ていない
もう1つ、愛知で第二新卒が間違えやすいところがあります。「愛知=トヨタ=製造業」というイメージです。
同じ資料に、産業別の新規求人数が載っています。令和8年7月の1ヶ月分です。
| 産業 | 新規求人数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 全産業 計 | 44,800 | +0.9% |
| 医療、福祉 | 10,844 | +0.4% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 5,950 | +0.7% |
| 製造業 計 | 5,277 | +8.8% |
| 卸売業、小売業 | 5,181 | ▲3.5% |
| 運輸業、郵便業 | 3,722 | ▲3.2% |
| 建設業 | 3,501 | ▲5.2% |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 3,287 | +12.3% |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 1,321 | ±0.0% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 1,202 | ▲10.9% |
| 情報通信業 | 1,181 | +6.8% |
| うち 輸送用機械器具製造業(自動車など) | 1,267 | ▲0.5% |
| 不動産業、物品賃貸業 | 833 | ▲15.9% |
| 金融業、保険業 | 369 | ▲2.6% |
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出典:愛知労働局「最近の雇用情勢(令和8年7月分・確報)」表4 新規求人の主要産業別状況(全数)。主要産業のみの掲載なので各産業の合計は全産業計と一致しません
いちばん多いのは医療、福祉の10,844件です。製造業の合計5,277件の2倍あります。そして自動車をつくっている輸送用機械器具製造業は1,267件。全産業44,800件に対して2.8%です。
愛知の求人の中で自動車は2.8%。しかも前年同月より減っています。製造業そのものは前年比+8.8%と伸びていますが、伸ばしているのは はん用機械・生産用機械・プラスチック・窯業といった、自動車以外の分野です。
製造業の中でも、増えている分野と減っている分野がある
製造業全体は前年同月比+8.8%です。中身を見ると、どこが動いているかがはっきり分かれます。
前年より増えている(令和8年7月・全数)
- 印刷・同関連業 +58.2%
- 情報通信機械器具製造業 +50.0%
- 窯業・土石製品製造業 +35.0%
- 生産用機械器具製造業 +33.9%
- はん用機械器具製造業 +22.7%
- プラスチック製品製造業 +17.0%
前年より減っている
- 金属製品製造業 ▲10.6%
- 輸送用機械器具製造業 ▲0.5%
- 不動産業、物品賃貸業 ▲15.9%
- 学術研究、専門・技術サービス業 ▲10.9%
- 建設業 ▲5.2%
出典:同上(愛知労働局 表4 新規求人の主要産業別状況)
製造業から製造業へ移りたい人にとっては、この差がそのまま入りやすさの差になります。製造業への転職そのものについては30代で製造業に転職するときに見るべき数字をまとめた記事と、製造業の志望動機の書き方に分けて書いています。
年齢で見ると、20代後半〜30代前半がいちばん有利
第二新卒として動く人がいちばん気にするのは、年齢だと思います。愛知労働局は年齢別の求人倍率も出しています。
| 年齢 | 有効求人倍率 | 新規求人倍率 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 1.39 | 2.93 |
| 25〜29歳 | 1.39 | 2.93 |
| 30〜34歳 | 1.38 | 2.91 |
| 35〜39歳 | 1.35 | 2.83 |
| 40〜44歳 | 1.24 | 2.60 |
| 45〜49歳 | 1.09 | 2.27 |
| 50〜54歳 | 1.07 | 2.25 |
| 60〜64歳 | 0.73 | 1.56 |
| 65歳以上 | 0.51 | 1.07 |
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出典:愛知労働局「最近の雇用情勢(令和8年7月分・確報)」表9 職業別・年齢別職業紹介状況。原数値・就職機会積み上げ方式による
20代後半から30代前半が1.38〜1.39倍で、県平均の1.18倍を上回っています。40代後半で1.09倍まで下がり、60代で1倍を切ります。いま動くかどうかを迷っているなら、数字の上では待つほど条件は悪くなります。
正社員だけで見ても、倍率は1倍を超えている
パートを除いた正社員だけの有効求人倍率も1.08倍で、5年以上1倍を切っていません。第二新卒で「正社員の枠がない」ということは、少なくとも愛知の統計上は起きていません。
愛知で第二新卒が動くときの順番
- いま住んでいる場所が4エリアのどれかを確認する
豊田・岡崎・刈谷・西尾なら西三河、一宮・春日井・瀬戸・半田なら尾張、豊橋・豊川・蒲郡なら東三河です。ここが0.93〜0.97倍の世界だと分かっているかどうかで、次の判断が変わります。
- 勤務地の条件に名古屋を足す
引っ越さなくて構いません。求人サイトの勤務地を市単位から「愛知県」に広げるだけです。名古屋には県内の求人の52%があります。通勤時間の上限を先に決めておくと、広げすぎずに済みます。
- 「自動車以外」を1つ選んで並行して出す
愛知の新規求人44,800件のうち自動車は1,267件です。医療・福祉(10,844件)、卸売・小売(5,181件)、運輸・郵便(3,722件)、情報サービス(994件・前年比+12.8%)から、自分の経験が通じそうなものを1つ足してください。
- 前職の経験を、その産業の言葉に言い換える
販売の経験なら「顧客対応」と「在庫管理」に分けられます。前者は医療・福祉の窓口やサービス業、後者は卸売・小売や運輸に通じます。同じ経歴でも、書き方で通る求人が変わります。
- ハローワーク以外の求人も必ず併用する
この記事の数字はハローワークの統計です。転職サイトや人材紹介の求人は1件も入っていません。実際に応募できる求人は、表の数字よりずっと多くなります。
2つ以上あてはまる人は、探し方を先に変えたほうが早いです
- 勤務地を今住んでいる市だけに絞っている
- 「愛知は求人が多いから何とかなる」と思っている
- 応募先が自動車関連か、その下請けで埋まっている
- 自分の住んでいるエリアの求人倍率を見たことがない
- ハローワークか転職サイトの、どちらか片方しか使っていない
→ 2つ以上なら、求人を探す前に「どのエリアに、どの産業で出すか」を決める段階です。
自分は新卒で入ったアパレル会社を8ヶ月で辞めました。当時いちばん効いたのは、通える範囲を1段広げたことです。それまで地元の駅前しか見ていなくて、求人が少ないのを「時期が悪い」と思い込んでいました。実際は、電車で30分先に同じ条件の求人が何倍もありました。エリアを広げるのは、スキルを増やすより早く効きます。
通勤手当に上限がある会社だと、名古屋まで通う分が自己負担になることがあります。応募前ではなく、面接の条件確認のタイミングで聞けば失礼になりません。
住んでいる市のハローワークでしか求人を見られない、ということはありません。名古屋の求人は豊田のハローワークでも検索できます。
受理地別1.23倍と就業地別1.21倍という2つの数字があります。愛知の場合その差は0.02ポイントとほとんどありませんが、勤務地が本当に愛知かは求人票で確認してください。この2つの数え方の違いは、大阪の記事で詳しく書いています。
まとめ
1倍を超えているのは名古屋だけ。尾張0.96倍・西三河0.97倍・東三河0.93倍です。
121,605件のうち63,191件。引っ越さなくても、勤務地の条件を広げるだけで見える数が変わります。
新規求人44,800件のうち輸送用機械器具製造業は1,267件。最多は医療・福祉の10,844件です。
40代後半で1.09倍まで下がります。迷っている時間そのものが条件を下げます。
「愛知に正社員の枠がない」という状況は、統計の上では起きていません。
