※この記事の制度の条件と数字は、厚生労働省のリーフレット・解説資料・雇用動向調査の概況PDF、および転職サービスの公式ページを、筆者が実際に開いて読み取ったものです。転職サイトのまとめ記事や他人のブログは使っていません。筆者は新卒で入ったアパレル会社を8ヶ月で辞めた元販売員で、その後は買取査定員を経て、いまはブランド古着買取「オーラリアン」とG-SHOCK買取「ShockMania」を運営する古物商です。社会保険労務士ではないため、公式ページで確認できるところまでを書き、個別の判断が要る部分は「ハローワークや各社の募集要項で確認してください」と明記します。情報の時点は2026年9月です。
27歳で迷うのは年齢のせいではなく、制度の線が「卒業からの年数」で引かれているからです。
厚生労働省の指針が事業主に求めているのは「既卒者が卒業後少なくとも3年間は応募できるように努めること」。線は年齢ではなく卒業からの年数です。大学を出た27歳は卒業から5年目なので、この線の外側にいます。ただし外側にいることは不利ではありません。男性の転職入職率がいちばん高いのは25〜29歳で、27歳はその真ん中です。決めるべきなのは「第二新卒か否か」ではなく、どちらの枠で書類を出すかのほうです。
自分がどちらの枠で出すか見る「27歳は第二新卒か」は、年齢では答えが出ません
先に、いちばん大事なところだけ書きます。公式の資料には「第二新卒」という言葉が出てきません。
厚生労働省が事業主向けに配っているリーフレット「卒業後3年以内の既卒者は、『新卒枠』での応募受付を!」を開くと、若者雇用促進法にもとづく青少年雇用機会確保指針の内容が、こう整理されています。
使われているのは「既卒者」と「卒業後3年」だけです。年齢は出てきません。それどころか2つめの文は、年齢で切らないよう事業主に求めています。
つまり「27歳だから第二新卒ではない」という切り方は、公式の資料のどこにも書かれていない基準です。世の中で言われている「25歳前後まで」は、卒業後3年以内を大卒の標準的な年齢に置き換えた結果にすぎません。

同じ27歳でも、最終学歴で立ち位置が変わります。高校を出て働き始めた人は卒業から9年、大学を出た人は5年。大学院で修士を修めた人だけが、卒業から3年でぎりぎり内側に残ります。
この表が言いたいのは「修士が有利」ということではありません。年齢という同じ数字に、まったく違う意味が載っているということです。だから年齢で悩んでも答えが出ません。
指針は努力義務であって、義務ではありません。線の内側でも受け付けていない会社があり、外側でも受け付けている会社があります。判断材料は年齢ではなく、各社の募集要項です。
「卒業後の経過期間に上限はない」と答えた事業所が43%あります
では、線の外側にいる27歳に新卒枠の可能性はまったくないのか。ここは、同じリーフレットに載っている調査結果が答えを持っています。
厚生労働省の「労働経済動向調査」(2020年8月)で、前年度に新卒枠で正社員の募集を行った7,539事業所に、既卒者の応募を受け付けたかを聞いた結果です。
出典:厚生労働省「労働経済動向調査」(2020年8月)/厚生労働省リーフレット「卒業後3年以内の既卒者は、『新卒枠』での応募受付を!」掲載。いずれも7,539事業所・5,254事業所を100として集計した構成比
まず、既卒者が応募できなかったのは29。裏を返せば7割の事業所では、新卒枠に既卒者が応募できていたということになります。
そして、応募できた5,254事業所に「卒業後どれくらいまで応募できるか」を聞くと、いちばん多い答えが「上限はない」で43。次が「2年超〜3年以内」で29、「1年以内」が13、「3年超」が4でした。
「上限はない」が4割を超えているというのは、卒業から5年の27歳でも、門が閉じていない事業所が一定数あるということです。指針の3年という数字は、応募できる期限ではなく、事業主に「少なくともここまでは」と求めている下限のほうです。
年齢制限つきの求人が合法なのは、「職務経験不問」だからです
ここからが、27歳にとっていちばん実務的な話になります。
転職サイトを見ていると「35歳未満の方を募集」のような求人が出てきます。募集・採用で年齢制限を設けることは原則として禁止されているのに、なぜこれが出せるのか。厚生労働省が公開している例外事由の解説資料に、条件がはっきり書かれています。
該当するのは「3号のイ」と呼ばれる例外で、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合です。ただし、次の2つを満たす必要があると書かれています。
同じ資料には、認められない例も並んでいます。「40歳未満の方を募集(□□業務の経験のある方)」は職務経験を条件にしているので認められません。「20歳以上35歳未満の方を募集」も、下限年齢が付いているので認められません。契約期間6ヶ月の有期契約で年齢を切ることもできません。
ここから読み取れることが1つあります。年齢で区切られた若手向け求人は、構造上「経験を評価しない」求人だということです。経験を問わないから年齢で区切ってよい、という順序になっているので、逆にはできません。
そして②のほうも効きます。新卒以外の人を採るなら、新卒と同等の処遇であることが条件です。資料には「同等の処遇」の意味として、新卒と同様の訓練・育成体制、配置・処遇で育成しようとしている場合を指し、賃金等が完全に一致する必要はない、という注記が付いています。
27歳で社会人5年目なら、第二新卒枠に出すということは、5年分の経験を評価されない前提の入口を選ぶということになります。これは不利という意味ではなく、未経験の職種に移るときには必要な入口です。ただし、同じ職種で条件を上げたい人が選ぶ入口ではありません。
27歳は、男性がいちばん転職している年齢帯の中にいます
「27歳は出遅れているのか」という不安のほうにも、数字で答えておきます。
厚生労働省の雇用動向調査は、毎年の転職入職率を年齢階級別に出しています。令和6年(2024年)の男性の数字を並べると、こうなります。

19歳以下を除けば、いちばん高いのは25〜29歳の15.1%です。20〜24歳の13.4%より高く、30〜34歳の10.3%より高い。27歳は、男性の転職が最も多い帯のまっただ中にあります。
注意したいのは、この転職入職率が「その年齢の人が転職した確率」ではないことです。年初の常用労働者数に対して、その年に転職して入社した人がどれだけいたかという割合です。それでも、どの年齢帯で人が動いているかの形ははっきり出ます。
そして落ち方のほうが重要です。25〜29歳の15.1%から、30〜34歳では10.3%。率がおよそ3分の2になります。27歳に残っているのは「まだ若いから大丈夫」という猶予ではなく、この帯の内側にいるうちの時間だと考えたほうが正確です。
「20代・第二新卒向け」のサービスでも、登録者の77%は25歳以下です
制度の話と、実際にサービスを使うときの話は別です。ここも公式ページで確かめました。
株式会社マイナビが運営する「マイナビジョブ20’s」の公式サイトには、選ばれる理由としてこう書かれています。
同じサイトの「第二新卒とは?いつまで?」というページでは、第二新卒を「学校を卒業後1〜3年で、転職を志す若年の方々(25歳前後)」と説明したうえで、こう続けています。
運営している会社自身が「厳格な基準はありません」と書いています。同時に、登録者の77%以上が25歳以下という数字も出しています。この2つを並べると、27歳の立ち位置が見えてきます。門前払いはされないが、ボリュームゾーンの外側にいるということです。
もう1つ、株式会社学情が運営する「Re就活」も開いてみました。「20代・第二新卒・既卒のための転職サイト」と名乗っていますが、トップページに第二新卒の年齢定義は書かれていませんでした。こちらも年齢で線を引いてはいません。
ボリュームゾーンの外側にいるというのは、「同じ枠で若い人と並べられると比較で負けやすい」という意味です。だから27歳は、比較の土俵を変えたほうが勝ちやすくなります。それが次の話です。
27歳は、どちらの枠で出すかを先に決めます
ここまでの材料を整理すると、27歳の選択肢は2つに絞れます。年齢で悩むのをやめて、この2つのどちらを主軸にするかだけ決めてください。
第二新卒枠で出す(職務経験は問われない)
- 職種も業界も変えたい
- いまの仕事で語れる実績が薄い
- 研修から入り直したい
- 処遇が新卒と同等になっても構わない
若手中途枠で出す(経験が評価される)
- 同じ職種のまま条件を上げたい
- 通年の数字を持っている
- すぐ戦力として入りたい
- いまの年収を下げたくない
左を選ぶなら、年齢上限つきの求人にも出せます。ただし厚生労働省の資料が示すとおり、その求人は職務経験を問わない求人なので、処遇は新卒と同等の設計になっています。5年分の経験は、選考で評価される対象には入りません。
右を選ぶなら、年齢制限のない求人が土俵になります。比較されるのは年齢ではなく、持っている数字です。27歳で社会人5年目なら、通年の実績が4〜5回分そろっているはずで、ここは23歳の応募者には作れない資産です。
次のうち、当てはまるものがいくつありますか
- いまの仕事の実績を、通年の数字で1行にできない
- 次にやりたい仕事が、いまの職種と地続きではない
- 年収が下がってもいいから環境を変えたい
- 資格や専門スキルを、まだ何も持っていない
→ 3つ以上あてはまるなら、第二新卒枠(職務経験不問の求人)を主軸にしたほうが通ります。1つ以下なら、年齢制限のない若手中途枠で、数字を前に出して出したほうが条件が上がります。
27歳が、若い応募者と比較されないための3つ
枠を決めたら、次は出し方です。27歳が不利になるのは年齢そのものではなく、23歳と同じ土俵に立ってしまったときだけです。土俵をずらす方法は3つあります。
- 「卒業後◯年」ではなく「社会人◯年目の実績」で書類を始める
職務経歴書の冒頭を卒業年で始めると、読み手は自動的に卒業からの年数を数えます。数えられて得をする立場ではありません。最初の1行を、担当した範囲と通年の数字にしてください。年齢の話は履歴書の生年月日だけで足ります。
- 年齢制限のない求人を優先して数を当たる
「35歳未満」と書かれた求人は、制度上「職務経験不問」の求人です。そこに5年分の経験を持ち込んでも、加点される設計になっていません。年齢の記載がない求人のほうが、あなたの経験を評価する枠です。第二新卒枠は、職種を変えるときの手段として取っておいてください。
- 3年の線をまたいだ理由を、1行で用意しておく
卒業後5年でまだ1社目なら、それは「続いた」という事実です。2社目なら、2社を通してできるようになったことが1行あれば足ります。聞かれてから考えると言い訳に聞こえるので、先に作って口に出して確かめておいてください。
新卒で入ったアパレルを8ヶ月で辞めたとき、自分では「早すぎる」と思っていました。実際に困ったのは早さではなく、自分の個人売上を数字で言えなかったことです。逆に27歳まで働いた人は、言える数字を必ず持っています。持っているのに卒業年から書き始めてしまうと、その数字が読まれる前に年齢で処理されます。もったいないのはそこです。
動く順番
27歳は、在職しながら進めたほうが確実に得です。転職入職率の帯の内側にいるうちに、順番どおりに進めてください。
- 通年の数字を、辞める前に控える
売上、件数、担当数、前年比。社内システムでしか見られない数字は、退職した日から二度と見られません。持ち出し禁止の情報に当たらない範囲で、自分の実績だけを手元に写しておきます。
- 自分の最終学歴で、卒業から何年かを数える
高校卒なら9年、大学卒なら5年、修士了なら3年です。3年以内に入っているなら新卒枠も選択肢に入るので、応募先の幅が変わります。
- 求人を、年齢の記載があるかどうかで2つに分ける
年齢の記載がある求人は職務経験不問の枠、記載がない求人は経験が評価される枠です。応募先リストをこの2つに分けるだけで、書類の書き分けができるようになります。
- 募集要項で「既卒者の応募可否」を1社ずつ確かめる
指針は努力義務なので、会社によって扱いが違います。卒業後の期間に上限を設けていない事業所も4割ありますが、確かめる方法は募集要項を読むことしかありません。
- 在職のまま応募する
27歳は男性の転職が最も多い帯の中にいます。裏を返せば、同じ帯の応募者が多いということでもあります。決まるまでの期間が読めないので、収入を止めずに進めてください。
まとめ
27歳が第二新卒かどうかで迷うのは、公式の資料に答えがないからです。厚生労働省の指針にあるのは「既卒者」と「卒業後少なくとも3年」という区切りだけで、年齢の線はありません。それどころか「できる限り上限年齢を設けないように努めること」と、年齢で切らないよう事業主に求めています。
大学を出た27歳は卒業から5年なので、3年の線の外側です。ただし外側にいることは不利ではありません。既卒者の応募を受け付けている事業所のうち4割以上は、卒業後の経過期間に上限を設けていません。そして男性の転職入職率は25〜29歳が最も高く、30〜34歳でおよそ3分の2に落ちます。
決めるべきなのはどちらの枠で出すかです。第二新卒枠は、制度上「職務経験を問わない」求人なので、職種を変えたいときの入口。同じ職種で条件を上げたいなら、年齢制限のない求人に数字を持って出したほうが早い。27歳で5年働いた人は、その数字をもう持っています。
27歳は第二新卒に含まれますか?
27歳でも新卒枠に応募できますか?
「35歳未満の方を募集」という求人は違法ではないのですか?
27歳の転職は遅いですか?
出典:厚生労働省リーフレット「卒業後3年以内の既卒者は、『新卒枠』での応募受付を!」(掲載の労働経済動向調査は2020年8月時点)/厚生労働省「例外事由に該当する具体例② 3号のイ」/厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」3 転職入職者の状況/マイナビジョブ20’s「第二新卒とは?いつまで?」/Re就活(情報時点 2026年9月)
