【住宅ローン】「団体信用生命保険(団信)」の落とし穴|加入時の注意点を解説

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住宅ローンを組む際はつい金利ばかりに注目してしまいがちですが、数十年におよぶ返済期間中のアクシデントに備えることも非常に大切です。そんな時に頼りになるのが、団体信用生命保険。(略して団信)

一般的な団信は、ローン契約者の死亡や所定の高度障害などの不幸があった際に負債が全額免除となる保険です。通常、団信の保険料は金融機関が負担をするため無料で加入することになります。(フラット35を除く)

[chat face=”dansei.jpg” name=”男性” align=”right” border=”yellow” bg=”none”] 住宅ローンを借りるつもりなんだけど、団信の商品って銀行によって色々な種類があるんだね。 [/chat]

[chat face=”kitaguchi.jpg” name=”宅地建物取引士 北口裕樹” align=”left” border=”none” bg=”yellow”] 住宅ローンを借りる際は金利の安さはもちろんですが、自分に合った団信選びも重要ですよ。 [/chat]

[chat face=”dansei.jpg” name=”男性” align=”right” border=”yellow” bg=”none”] 団信を選ぶ時に気をつけた方がいいことってある? [/chat]

[chat face=”kitaguchi.jpg” name=”宅地建物取引士 北口裕樹” align=”left” border=”none” bg=”yellow”] 団信の注意点や団信選びの思わぬ落とし穴について解説するのでこれから住宅ローンを組む方はぜひ参考にしてください。 [/chat]

目次

団信加入時の注意点

まずはじめに、住宅ローンを借りる際の一般団信の注意点を知っておきましょう。

①病気や怪我になった際の保障は無い

一般団信は、万が一のアクシデントの際にご家族に住宅を残すことができる頼もしい保険ですが、そのほかの病気やケガになった場合の保障はついていません。

病気やケガで働けなくなり、収入が無くなったことで返済ができなくなるリスクには対応していないのです。

たとえ収入が無くなったとしても、毎月の返済は必ず訪れるので貯蓄や一般の医療保険などでカバーできるような備えが大切です。

また、死亡や高度障害以外の様々な疾病リスクに対応した商品もあるので、後ほど解説いたします。

②持病や手術歴によっては加入できない

持病や直近で大きな手術歴があると団信に加入できない場合があります。

団信に加入できるかどうかは銀行ではなく、保険会社が審査をしますがどの程度の病気や手術だと審査が通らないかというのはわかりません。

筆者の過去の事例では、「ポリープを取り除く手術」や「痔の手術」で審査が通らなかった方もいますし、「昔にがんの手術をしたけどその後長期にわたって経過良好」で通った方もいますので、この辺はケースバイケースだと思ってください。

直近で手術をして不安な方は、ワイド団信という商品もあります。
ワイド団信とは、通常よりも金利を少し上乗せする分、団信に加入する審査基準を緩和した商品です。(保障内容は一般団信と同じです。)

③団信に加入できないと住宅ローンは借りられない

銀行は住宅ローン契約者に団信への加入を義務付けているため、一般団信またはワイド団信に加入ができない健康状態の方は、住宅ローンを借りることができません。

残念ながら、団信の審査に落ちてしまった方は団信への加入・非加入を任意で選択できるフラット35の利用を検討しましょう。

特約付き団信(疾病団信)とは?

一般団信では、死亡または所定の高度障害と保障範囲が限定されています。

そのほかの病気に対する幅広いリスクに備えたい方は、以下の特約付き団信の利用を検討してください。

https://maison-okada.tokyo/2021/04/14/housing-loan-bonus-payment-demerit/

がん団信

上乗せ金利:0.1〜0.2%

取扱銀行:イオン銀行、楽天銀行など

         支払条件例
がん医師により罹患したと診断確定された場合。(原則上皮内がん、皮膚がんは対象外)

3大疾病保障団信

上乗せ金利:0.2〜0.3%

取扱銀行:三菱UFJ銀行、りそな銀行など

支払条件例
がん医師により罹患したと診断確定された場合。(原則上皮内がん、皮膚がんは対象外)
急性心筋梗塞・脳卒中以下の①、②いずれかの状態に該当した場合。
①医師の診断を受けた日から60日以上下記の状態が継続したと診断された場合。
 急性心筋梗塞:労働の制限を必要とする状態。
 脳卒中:言語障害、運動失調、まひ等の他覚的な神経学的後遺症が継続した状態。
②治療を直接の目的として所定の手術を受けたとき。

8大疾病保障団信

上乗せ金利:0.3〜0.4%

取扱銀行:三井住友銀行、イオン銀行など

支払条件例
がん医師により罹患したと診断確定された場合。(原則上皮内がん、皮膚がんは対象外)
急性心筋梗塞・脳卒中以下の①、②いずれかの状態に該当した場合
①医師の診断を受けた日から60日以上下記の状態が継続したと診断された場合。
 急性心筋梗塞:労働の制限を必要とする状態。
 脳卒中:言語障害、運動失調、まひ等の他覚的な神経学的後遺症が継続した状態。
②治療を直接の目的として所定の手術を受けたとき。
高血圧症・糖尿病・
慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎
① これらの疾病により就業不能状態が継続した場合、毎月の住宅ローン返済相当額の保険金が最長12ヶ月支払われる。
② これらの疾病により就業不能状態が12ヶ月を超えて継続した場合、住宅ローン残高相当の保険金が支払われる。

11疾病保障団信

上乗せ金利:0.3〜0.4%

取扱銀行:auじぶん銀行、Pay Pay銀行など

支払条件例
がん医師により罹患したと診断確定された場合(原則上皮内がん、皮膚がんは対象外)
高血圧・糖尿病・腎疾患・
肝疾患・慢性膵炎・脳血管疾患・心疾患・
大動脈瘤解離・上皮新生物・皮膚がん
① これらの疾病により就業不能状態が継続した場合、毎月の住宅ローン返済相当額の保険金が最長12ヶ月支払われる。
② これらの疾病により180日以上入院した場合、住宅ローン残高相当の保険金が支払われる。
https://maison-okada.tokyo/2021/04/12/my-home-budget/

特約付き団信の思わぬ落とし穴

特約付き団信は、金利上乗せによるコスト増加はあるものの保障範囲を広げ、一般団信よりも多くの病気に備えることが可能です。

また、一部の銀行では無料(金利上乗せ無し)で全ての病気やケガによる就業不能状態に保険金が支払われる「全疾病保障」が附帯される場合もあります。

これらの特約は一見すると手厚い保障のように感じられますが、実は思わぬ落とし穴が潜んでいることも。

ほとんどの特約付き団信において「がん」は診断確定した時点で保険金が全額支払われますが、それ以外の病気・ケガは診断される以外にも条件があります。

例えば、8大疾病保障団信の内「高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎」となった場合の条件が

「これらの疾病により180日以上入院した場合、住宅ローン残高相当の保険金が支払われる。」となっている場合が多いです。

では、上記の条件はどれくらいのハードルの高さなのでしょうか?

病名平均在院日数65歳以上平均在院日数
高血圧性疾患33.7日39.5日
糖尿病33.3日45.4日
慢性腎臓病47.9日54.4日
参考:厚生労働省 患者調査 平成29年度

多くの方がローンを返済し終える頃の「65歳以上」ですら、180日以上の入院はかなり厳しい条件だということがわかると思います。(医療の発達による賜物とも言えますが)

また、無料で付いてくる「全疾病保障」の場合も180日以上の入院という条件がほとんどです。

[chat face=”dansei.jpg” name=”男性” align=”right” border=”yellow” bg=”none”] 180日以上の入院ってほとんど死亡する一歩手前みたいでかなり厳しい条件なんだね。金利上乗せしてまで「特約付き団信」にしてもあまり意味が無い気がしてきた。 [/chat]

[chat face=”kitaguchi.jpg” name=”宅地建物取引士 北口裕樹” align=”left” border=”none” bg=”yellow”] 対象の病気と診断されただけでは保険金が支払われない点には注意が必要ですね。ただ、全く意味が無いかと言うと実はそうでもありません。 [/chat]

特約付き団信は本当に意味がない?

特約付きによる「全額の保険金支払い」はハードルの高いものと言えそうですが、ほとんどの特約付き団信には「月次返済保障」が附帯されています。

例えば、8大疾病保障団信の支払い条件では、

「これらの疾病により就業不能状態が継続した場合、毎月の住宅ローン返済相当額の保険金が最長12ヶ月支払われる。」とある場合が多いです。

働けない期間の毎月の返済を最長12ヶ月までは免除してくれるのです。

全額免除では無いものの、収入が無い期間だけでもローンが免除されるのは非常に心強いですよね。

特約付き団信は、病気と診断されるだけでは保険金支払いのハードルが高いですが、入院・手術などの医療保険と捉えれば就業不能期間の支えとなりそうです。

団信注意点|まとめ

一般団信の注意点

  • 住宅ローンを借りる際は、団信への加入が必須(フラット35を除く)
  • 健康状態に不安のある方は、審査が緩和された「ワイド団信」や加入任意の「フラット35」の選択を
  • 一般団信の保障範囲は、ローン契約者の死亡または所定の高度障害状態のみ

特約付き団信の注意点

  • 金利上乗せによるコスト増はあるが、保障範囲を広げ様々な疾病・ケガにも対応可能
  • 「がん」を除き、病気と診断されるだけでは保険金支払いの条件とならないことが多く、ハードルが高い
  • 入院期間中の毎月の返済分は免除となることが多いため、入院保険という観点では頼もしい

住宅ローンはほとんどの方にとって人生で一番大きい借金です。

住宅ローン選びの際は、金利に注目することはもちろんですが、万が一の事態に備え団信の特徴についてもしっかりおさえておくことが大切だと言えるでしょう。

病気により不幸にも亡くなってしまった場合は団信により住宅ローンは完済されます。

ただし、生きて治療を続ける場合は当然住宅ローンの支払いは続いていきます。特約付き団信はこのようなニーズに対応したものということを理解しておきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。

この記事の監修

北口裕樹
<宅地建物取引士 管理業務主任者 2級ファイナンシャル・プランニング技能士>

大手不動産会社に新卒で入社。不動産営業を経験し、入社2年目から販売事務所長として近畿圏のマンション販売業務を担当する。現在は不動産仲介業・アドバイザーとして独立。
25歳でタワーマンションを購入し不動産投資家としても活動中。

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