筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、現在は古物商として買取・販売業を営んでいます。この記事の採用条件・給与・日数は、すべて各社の公式採用ページを2026年10月2日に実際に開いて確認したものです。転職サービスの紹介は記事内の転職シミュレーターに集約しています。
総合商社のキャリア採用に、「経験○年以上」と書いている会社は1社もありませんでした。公式の応募資格は「就労経験(実務経験)のあること」まで。
第二新卒が止まるのは「まだ3年たっていないから」という理由がほとんどです。けれど確認できた4社の募集要項に、経験年数の下限はどこにも書かれていませんでした。本当の関門はその先、募集部署ごとの要件のほうにあります。4社の公式を並べて、いま出せるのはどこかを確かめます。
確認できた4社の応募資格を、そのまま並べます
五大商社のうち、公式の採用ページを開けたのは三井物産・住友商事・丸紅・伊藤忠商事の4社でした。三菱商事は後述のとおり確認できていません。まず、公式が書いている応募資格をそのまま表にします。
| 会社 | 公式が書いている応募資格 | 経験年数の下限 | 初任給(公開値) |
|---|---|---|---|
| 三井物産 | 大学(学士)または大学院(修士・博士)を卒業/就労経験(実務経験)のあること | 記載なし | 340,000円 |
| 住友商事 | 四年制大学または大学院(修士・博士)を卒業/就労経験(実務経験)のあること | 記載なし | 335,000円 |
| 丸紅 | 募集要項に学歴・経験の記載なし。「募集部署ごとに応募条件が異なります」 | 記載なし | 非公開 |
| 伊藤忠商事 | 公開の募集要項なし。登録制で、適したポジションがある場合に個別オファー | 記載なし | 非公開 |
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出典:三井物産「キャリア採用情報」募集要項(2026年4月時点)/住友商事「キャリア採用」募集要項(2026年4月現在)/丸紅「キャリア採用情報」/伊藤忠商事「キャリア採用」 いずれも2026年10月2日に確認。初任給は三井物産がGlobalコース・学卒、住友商事が学卒の値です
三井物産と住友商事は、応募資格を2行しか書いていません。卒業していること、就労経験があること。この2つです。「3年以上」「5年以上」といった年数は、どちらにも出てきません。
公式が求めているのは「就労経験(実務経験)のあること」です。年数の下限がない以上、1年目でも2年目でも、この条件は満たします。年数を理由に出さないのは、書かれていないものを自分で足している状態です。
では、何が絞っているのか
応募資格が緩いなら全員通るのかというと、もちろんそうはなりません。絞り込みは、応募資格ではなくその先のポジション単位の要件で起きています。両社とも、そのことを公式に書いています。

住友商事は募集組織一覧のところに「募集組織は随時変更しております。また、案件毎に応募要件が異なります」と書いています。丸紅も「募集部署ごとに応募条件が異なります。また、募集対象となる部署は随時変更しています」です。
応募のしかたが、2つのタイプに分かれています
4社を並べると、入口の作りがはっきり2つに割れました。ここを取り違えると、待っていてもいつまでも何も起きません。
公開ポジションに自分から応募する
応募型- 募集部署の一覧が公式に出ている
- 希望部署を選んでエントリーする
- 締切と選考スケジュールが決まっている
- 見に行かないと募集に気づけない
先に登録して、声がかかるのを待つ
登録型- 公開の募集要項がない
- キャリア登録をして経歴を預ける
- 適したポジションがあれば個別にオファー
- 登録しない限り選考が始まらない
伊藤忠商事は公式にこう書いています。「当社にて登録内容を確認し、適したポジションがある場合に、個別にオファーをさせていただきます」。応募ボタンを探しても見つからないのは、そういう設計だからです。三井物産と住友商事も、公開ポジションとは別にキャリア登録の窓口を持っています。
給与は、公開している会社と、していない会社があります
キャリア採用の年収そのものは、どの会社も公開していません。各社とも「経験・能力を考慮のうえ、当社規定により決定」としか書いていないからです。ただし初任給の水準は、三井物産と住友商事が金額で出しています。
出典:三井物産「キャリア採用情報」募集要項(初任給は26年4月時点)/住友商事「キャリア採用」募集要項(2026年4月現在)。いずれも「キャリア採用者については経験・能力を考慮のうえ、当社規定により決定します」と併記されています
三井物産には勤務地のコースが2つあり、Global(全国各地および海外)とRegional(原則として採用地と同一地域)で初任給が1万円違います。応募のときに選ぶ項目なので、ここも先に決めておく必要があります。
働き方の数字も、公式に出ています
総合商社は激務だと言われます。残業時間を公式に出している会社が2社あったので、そのまま載せます。
出典:三井物産「キャリア採用情報」募集要項(所定労働時間ベース、嘱託社員は含まず)/丸紅「数字で知る丸紅」 2026年10月2日に確認。住友商事は時間外労働「有り」とのみ記載、伊藤忠商事は公開なし
商社は、キャリア採用をどれだけ採っているのか
第二新卒が気にするのは「中途は本当に採られているのか」です。ここも丸紅が数字を出していました。
出典:丸紅「数字で知る丸紅」(2025年3月時点)/丸紅「キャリア採用情報」/三井物産「キャリア採用 通年スケジュール」 2026年10月2日に確認
採用の約4割がキャリア採用で、本社の課長職の約2割がキャリア入社者。中途が例外扱いの職場ではない、というところまでは公式の数字で言えます。ただしこれは丸紅1社の数字で、商社全体の傾向ではありません。
第二新卒がいちばん損をするのは、ここです
この記事でもっとも伝えたいのが、三井物産の応募資格の3番目と4番目です。表には収まりきらなかったので、全文を出します。
- 2026年度採用選考にてWebテスト不通過となっていない方
Webテストに落ちると、その年度はもう応募できません。
- 2025年度採用選考、及び、2026年度採用選考にて、書類選考以降で不合格となっていない方
書類選考から先で落ちた場合、翌年度まで含めて応募資格から外れます。
出典:三井物産「キャリア採用情報」募集要項(2026年4月時点)の応募資格3・4をそのまま引用
準備せずに受けて落ちると、その会社に次に出せるのは年単位で先になります。応募資格に年数の下限がないことは、何回でも挑戦できることを意味しません。むしろ逆で、回数のほうに制限がかかっています。
同じ年度内で2回出せる道は残されています。三井物産は「①WEBテスト通過かつ、②エントリーシートの希望部門に記載していない部門に関しては、同一年度内2回までの応募が可能です」としています。Webテストを通ったうえで、別の部門に出す場合だけです。
応募してから入社するまでに、どれくらいかかるか
住友商事が選考ステップのところに日数の目安を書いていました。在職中に動く人は、この長さを前提に辞める時期を決めることになります。
- 応募する
募集組織一覧から、希望する組織の求人を選んで応募します。募集組織は随時変更されます。
- 応募から内定通知まで 1.5〜3か月
書類選考、適性検査、複数回の面接が入ります。公式が「1.5〜3か月程度の時間を要します」と書いている区間です。
- 内定通知から入社まで 平均2〜3か月
現職の引き継ぎと退職手続きの期間です。公式の表記は「内定通知後、入社までは平均2~3か月程度です」。
- 入社後、試用期間
住友商事は3か月、三井物産と丸紅は6か月です。
出典:住友商事「キャリア採用」選考ステップ(2026年4月現在)/試用期間は三井物産・住友商事・丸紅の各募集要項より 2026年10月2日に確認
応募から入社まで、公式の数字を足すだけで3.5か月から6か月かかります。三井物産の最終面接では、合格後に経歴確認と現職の方へのインタビューへの協力を求められることも明記されています。
4社を、第二新卒の目線で評価します
ここまでの公式情報だけで、「いま情報がどれだけ取れるか」を比べたものです。会社の優劣ではなく、応募前に自分で判断できる材料がどれだけ公開されているかの評価です。
いま動いたほうがいい人
- 大学または大学院を卒業している
- すでに就労経験が1年以上ある
- いまの仕事で何を担当したか、具体的に説明できる
- 入社まで半年かかっても生活が回る
先に準備したほうがいい人
- 職務経歴書に書ける担当業務がまだ固まっていない
- 希望する部署を1つも挙げられない
- Webテスト対策をまったくしていない
- 3か月以内に次を決めたい
どちらに当てはまったかで、次にやることが変わります。商社に限らず、いまの経験で出せる求人がどのあたりにあるかは、職種と年数を入れれば数十秒で見当がつきます。
転職シミュレーターで、いまの経験の相場を見るいま出せるかどうかを、ここで確かめてください
4つすべてに当てはまる人は、応募資格を満たしています
- 四年制大学または大学院を卒業している
- 卒業後、給与をもらって働いた経験がある(年数は問わない)
- 直近2年度の選考で、その会社の書類選考以降に落ちていない
- 希望する事業分野を、ひとつ名前で挙げられる
→ 4つとも当てはまるなら、年数を待つ理由はありません。募集部署一覧を見て、重なるものがあるかを確かめる段階です。1つでも欠けるなら、欠けている項目を埋めるほうが先です。
4つとも当てはまった人は、募集部署一覧を見るのが次の一手です。欠けた項目があった人は、何を足せば届くのかを先に知っておくと動きが速くなります。
足りない条件を転職シミュレーターで確かめる三菱商事については、確認できませんでした
五大商社のうち三菱商事だけは、この記事で条件を書いていません。公式サイトにアクセスしたところ、サーバー側のアクセス制限(HTTP 403)で開けなかったためです。採用情報用の別ドメインも探しましたが、到達できませんでした。
この4社に共通していた、もうひとつのこと
公開されている募集要項を読み比べて、はっきりしたことがもう1つあります。4社とも、募集内容が固定されていません。住友商事は「募集組織は随時変更」、丸紅は「募集対象となる部署は随時変更」、三井物産は「募集ポジションは各選考時期によって異なります」です。
つまり、半年前に見て「自分に合う募集がなかった」ことは、いまも同じであることを意味しません。逆に、いま合う募集があるなら、それは次のクールまで残っているとは限りません。見るタイミングと出すタイミングが、そのまま結果を左右します。
まとめ
- 応募資格に経験年数の下限を書いている会社は、確認できた4社に1社もなかった
書いてあるのは「卒業していること」と「就労経験(実務経験)のあること」の2つだけです。
- 絞り込みは、応募資格ではなく募集部署ごとの要件で起きている
住友商事も丸紅も「案件毎に/募集部署ごとに応募条件が異なります」と明記しています。
- 入口が2タイプある。応募型と登録型を取り違えると何も始まらない
伊藤忠商事は公開の募集要項を持たず、登録してオファーを待つ形です。
- 落ちると、同じ会社に出せるのは年単位で先になる
三井物産は直近2年度の選考で書類以降に不合格だと応募資格から外れます。記念受験の代償が大きい会社です。
- 応募から入社まで、公式の数字だけで3.5〜6か月かかる
辞める時期を先に決めると、たいてい足りなくなります。
