※この記事に出てくる日数・金額・制度は、e-Gov法令検索の条文とハローワークインターネットサービス(厚生労働省)の公式ページを実際に開いて確認し、出典をそのつど示しています(閲覧日は記事末に記載)。筆者は新卒で入ったアパレル会社を8ヶ月で退職し、ブランド古着のECベンチャーを経て、いまは古物商として独立しています。社会保険労務士ではないので、制度については公的資料に書いてあることだけを書き、個別の判断は必ずハローワークで確認するようご案内しています。
転職スケジュールは「何月に動くか」より先に、日数で決まります。自己都合で辞めると、最初の入金まで公式の日数だけで85日空きます。
そして、その85日にたどり着く前に関門があります。雇用保険の被保険者期間が通算12か月ないと、失業手当はそもそも1円も出ません。1年目で辞めようとしている人は、ここで話が変わります。この記事では、公式に日数が書いてあるところだけを拾って、辞める日から逆算する順番を置いていきます。
まず12か月の関門から読む次のうち3つ以上あてはまるなら、この記事の対象です
- いまの会社を辞めたいが、次を決めずに辞めるか迷っている
- 「失業手当があるから少しは大丈夫」と、なんとなく思っている
- 雇用保険から実際にいくら・いつ入るのかを計算したことがない
- 入社してから、まだ2年経っていない
- 退職を何か月前に言えばいいのか分かっていない
→ 3つ以上なら、いま決めるべきは辞める月ではなく辞めても持ちこたえられる日数です。
関門は「12か月」。ここを越えていないと、失業手当は1円も出ません
辞めてから転職活動をする計画は、失業手当(雇用保険の基本手当)が入ることを前提にして組まれがちです。ところが受給要件の1つ目に、多くの第二新卒が引っかかります。
離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること
ここでいう「被保険者期間」は、在籍した月数をそのまま数えるわけではありません。公式には、離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上、または時間数が80時間以上ある月を1か月として数えると書かれています。
出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(2026年9月30日確認)
倒産や解雇で辞めた人(特定受給資格者)や、契約更新がされなかった人などの一部は、離職前1年間に6か月以上でも受給資格を得られます。ただし、自分の意思で辞める「自己都合」はこれにあたりません。
失業手当が出ないので、無収入の期間をまるごと貯金でしのぐことになります。この場合、選択肢は実質「在職のまま応募する」の一択です。
受給資格があることと、お金が振り込まれることは別です。ここから先が、この記事の本題になります。
いまの在籍が11か月なのか13か月なのかで、辞めていい日がまるごと変わります。1年目で辞めるかどうかを迷っている段階の人は、第二新卒は1年目で辞めていいのかも先に読んでおいてください。
辞めてから最初の入金まで、公式の日数を足すだけで85日空きます
受給資格があったとして、次は「いつ振り込まれるか」です。ここは制度側に日数がはっきり書いてあるので、数えられます。

- 会社が書類を出す(離職の翌日から10日以内)
雇用保険法施行規則第7条第1項で、事業主は「当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に」資格喪失届と離職証明書を提出しなければならないと決まっています。これはあくまで会社がハローワークに出す期限で、離職票が自分の手元に届くまでの日数は、公式には定められていません。
- ハローワークで求職の申込みをして、受給資格の決定を受ける
離職票(-1、2)、マイナンバー確認書類、身元確認書類、写真2枚、本人名義の通帳またはキャッシュカードを持っていきます。手続きの受付は平日の8時30分〜17時15分で、公式が「16時前までのご来所をお勧め」と書いています。時間がかかる手続きなので、午後いっぱい空けておく前提で予定を組んでください。
- 待期の7日間
「求職の申込み後の、失業の状態にある7日間は、基本手当は支給されません。これを『待期』といいます」と公式に明記されています。ここは離職理由を問わず全員にかかります。
- 給付制限の2か月(自己都合の場合)
公式の表現は「自己都合などで退職された場合、離職理由によっては、待期期間満了後2か月間(過去5年間に2回以上自己都合で離職している場合3か月間)は基本手当が支給されません」。転職が2回目・3回目で、直近5年に2回以上自己都合退職がある人は3か月になります。
- 失業の認定を受ける(原則4週間に1度)
認定を受けるには求職活動の実績が要ります。原則2回以上(最初の認定日の対象期間だけは1回)。給付制限が3か月の人は、その期間と直後の認定対象期間をあわせて原則3回以上です。求人情報を眺めるだけは実績に入らず、応募・職業相談・セミナー受講・国家試験の受験などが対象です。
- 認定日から通常5営業日で振り込まれる
公式の表現は「失業の認定を行った日から通常5営業日で、指定した金融機関の預金口座に基本手当が振り込まれます」。休祝日や年末年始を含むと遅れることがあります。
その間、いくら入るのか。上限額で計算しても月20万円台です
85日をしのいだあと、どれくらい入るのかも先に数えておきます。基本手当の1日あたりの額(基本手当日額)は、離職直前6か月の毎月きまって支払われた賃金(賞与などは除く)の合計を180で割った額の、およそ50〜80%です。賃金が低い人ほど率が高くなります。
そして日額には上限があります。
| 年齢 | 基本手当日額の上限 | 所定給付日数 (自己都合・被保険者期間1年以上5年未満) | 上限で満額受け取った場合 |
|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 | 90日 | 670,500円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,270円 | 90日 | 744,300円 |
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出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(日額の上限は令和8年8月1日現在の額)/同「基本手当の所定給付日数」(いずれも2026年9月30日確認)
所定給付日数の90日という数字も重要です。自己都合(公式の区分でいう「1及び3以外の離職者」)で被保険者期間が1年以上5年未満なら90日、5年以上10年未満で120日です。第二新卒の多くは1年以上5年未満に入るので、受け取れるのはおよそ3か月ぶんと考えてください。
出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」「基本手当の所定給付日数」「雇用保険の具体的な手続き」(2026年9月30日確認)
3つ目の「1年」も見落としがちです。公式には「基本手当を受けられる期間は、原則として離職の翌日から1年間」「これを過ぎると、所定給付日数の範囲内であっても基本手当が受けられません」と書かれています。空白を長く取りすぎると、受け取れるはずだった日数が使い切れないまま消えます。
在職中に動くか、辞めてから動くか。判断材料はこの2つです
ここまでの数字を、2つの選択肢に当てはめます。
在職のまま応募する
空白 0日- 収入が途切れない
- 雇用保険の85日を使わずに済む
- 被保険者期間が12か月未満でも動ける
- 面接の日程調整が難しい
辞めてから集中する
空白 85日〜- 平日の面接を自由に入れられる
- 最初の入金まで貯金でしのぐ
- 受け取れるのは原則90日ぶん
- 12か月未満なら1円も出ない
辞めてから動いていい人
- 被保険者期間が12か月を越えている
- 85日ぶんの生活費を貯金で用意できる
- 次にやりたいことが言葉になっている
- 平日の面接がどうしても組めない職場にいる
在職のまま動いたほうがいい人
- 入社から1年経っていない
- 貯金が生活費3か月ぶんに届かない
- 辞めたい理由はあるが、次の希望が固まっていない
- 直近5年に自己都合の退職が2回以上ある(給付制限が3か月になる)
筆者は新卒で入ったアパレル会社を8ヶ月で辞めました。当時は失業手当のことを何も知らず、辞めてから調べて「12か月に足りていない」と気づきました。貯金を取り崩しながらの求職になり、結果として条件を選ぶ余裕がなくなりました。辞める前に数えていれば、あと4か月だけ在籍して動くという選択ができたはずです。
どの月に応募を出すかという話は、この判断のあとに来ます。求人の数と競争の月別の差は第二新卒の転職時期は「2〜3月が狙い目」ではなかったで厚労省の月別データを数えてあるので、動く方針が決まってから合わせてください。
退職を申し出る日。法律は2週間前、実務は就業規則を見る
「辞めます」と言ってから実際に辞められるまでの日数も、逆算に入ります。法律上の原則はこうです。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
ただし実務では、就業規則に「退職は1か月前までに申し出ること」などの定めがあるのがふつうです。就業規則の内容は会社ごとに違い、公的に確認できる統計も見つかりませんでした。自分の会社の就業規則を実際に開いて、期限と手続きを確認してください。ここを推測で「たぶん1か月前」と置くと、逆算が丸ごとずれます。
あわせて、退職のときに忘れると詰まるものを3つ挙げます。
- 離職票がほしいと伝えておく
雇用保険法施行規則第7条第3項には、本人が離職票の交付を希望しないときは離職証明書を添えなくてよい、という定めがあります。つまり希望を伝えていないと離職票が出てこないことがあります。失業手当の手続きは離職票がないと始まりません。退職を申し出た時点で、必ず口に出しておいてください。
- 健康保険を任意継続するなら20日以内
健康保険法第37条第1項で、任意継続の申出は「被保険者の資格を喪失した日から二十日以内」と決まっています。国民健康保険に入るのと、いまの健康保険を任意で続けるのとでは保険料が変わります。この20日は待ってくれない期限なので、退職日が決まった時点でカレンダーに入れてください。
- 国民年金・国民健康保険の切替も要る
退職して次の会社に入るまでに空白があると、年金と健康保険を自分で切り替える必要があります。手続きの期限については、公式ページで日数を確認できなかったため、この記事では日数を書きません。お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
逆算の順番は、この5つだけです
- いまの在籍月数を数える
12か月に届いているか。届いていないなら、この先の計算はすべて使えません。在職のまま動く方針で固定します。
- 貯金を生活費で割る
何か月しのげるか。辞めてから動くなら、最低でも85日ぶん。余裕をみるなら4か月ぶんあると、入金が始まるまで届きます。
- 就業規則で退職の申出期限を調べる
2週間なのか1か月なのか2か月なのか。ここで退職日が決まります。
- 退職日から85日を足して、最初の入金日のめどを置く
カレンダーに印を付けます。この日までは収入ゼロという前提で組みます。
- そのうえで、応募を出す月を選ぶ
ここでようやく「何月が有利か」の話に入れます。順番を逆にすると、動けない月に応募を重ねることになります。
求職活動の実績として認められるもの(公式の一覧)
求人への応募/ハローワークが行う職業相談・職業紹介、各種講習・セミナーの受講/許可・届出のある民間職業紹介機関・労働者派遣機関が行う職業相談・職業紹介、求職活動方法等を指導するセミナーの受講/公的機関等(高齢・障害・求職者雇用支援機構、地方自治体、求人情報提供会社、新聞社など)が実施する職業相談、各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会への参加/再就職に資する各種国家試験・検定等の受験。
単にハローワーク・新聞・インターネットで求人情報を閲覧しただけ、知人に紹介を依頼しただけは実績に含まれません。(出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」2026年9月30日確認)
第二新卒でも失業手当はもらえますか?
辞めてから失業手当が振り込まれるまで、どれくらいかかりますか?
失業手当は何日ぶん受け取れますか?
退職は何か月前に伝えればいいですか?
この記事で参照した公式ページ(すべて2026年9月30日に閲覧):ハローワークインターネットサービス「基本手当について」/同「雇用保険の具体的な手続き」/同「基本手当の所定給付日数」/e-Gov法令検索 民法第627条・雇用保険法施行規則第7条・健康保険法第37条
