※この記事の制度の数字は、厚生労働省と日本年金機構の公式ページを実際に開いて確認した内容だけを載せています。求人サイトやまとめ記事の説明は使っていません。筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、現在はファッションバイヤー兼古物商として仕入れと買取の仕事をしています。確認日は本文の出典に書きました。
「週3日」で決まるのは日数だけです。中身を決めるのは1日6時間40分という線です。
同じ週3日でも、1日6時間なら保険は付かず、1日8時間なら付く側に立ちます。境目は週の所定労働時間20時間。週3日ならこれが1日6時間40分にあたります。契約書のどこを見て、何を数えればいいかを順番に置いていきます。
先に「週20時間の線」を見る週3日は選べる。ただし「週3日」だけでは何も決まらない
アパレルの派遣で週3日という働き方は、契約として成り立ちます。労働者派遣の制度に「週◯日以上でなければならない」という決まりはないからです。実際に求人でも週3日の枠は出ています。
問題はその先です。週3日という条件だけを見て契約すると、雇用保険も社会保険も付かない側に落ちることがあります。日数ではなく、週に何時間働くかで決まるからです。

週20時間を3日で割ると、1日6時間40分です。売場で実働8時間のシフトに入るなら週24時間で線を超えます。逆に「1日6時間で週3日」という条件だと週18時間で、線に届きません。求人票では、どちらも「週3日」と書かれます。
週20時間の線を引いているのは、雇用保険
まず雇用保険です。失業したときの基本手当や、育児休業給付、教育訓練給付の入口になる保険で、要件は2つだけです。
出典:厚生労働省「【重要】雇用保険マルチジョブホルダー制度について」(mhlw.go.jp)に記載の現行の適用要件「主たる事業所での労働条件が1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等」。2026年9月4日に確認。
「31日以上の雇用見込み」は、契約期間が31日未満でも、更新する場合があると書かれていて31日未満での雇止めが明示されていなければ、原則として満たすものとして扱われます。派遣の契約はたいてい更新前提なので、実務でつまずくのはほぼ時間のほうです。
2時間足りません。この状態で契約が終わっても失業給付は受けられず、その期間は加入期間としても数えられません。次に正社員へ戻るときの土台が積み上がらない働き方です。
ただし、この線は動くことが決まっています。改正雇用保険法で、週の所定労働時間の下限が20時間から10時間に下がります。
つまり週18時間でも、施行後は雇用保険に入ります。ただしいまはまだ20時間の線が生きています。これから結ぶ契約の話をしているなら、20時間で判断してください。
社会保険の線は2本ある。週3日で関係するのは片方だけ
健康保険と厚生年金保険は、雇用保険より少しややこしくて、入口が2つあります。
- 4分の3基準
その職場の通常の労働者と比べて、週の所定労働時間と月の所定労働日数がどちらも4分の3以上なら、勤め先の規模に関係なく加入対象です。
- 短時間労働者としての加入
4分の3に届かない人でも、勤め先が一定規模以上で、週20時間などの要件をすべて満たせば加入対象になります。
週3日の人は、ほぼ確実に2番目の道です。理由は日数の計算にあります。通常の労働者が週5日なら、その4分の3は週3.75日。週3日はここに届きません。時間で見ても、週40時間の4分の3は週30時間で、週3日だと1日10時間が必要になり、1日8時間の枠には収まりません。
| 短時間労働者として加入する要件 | 内容 | 週3日での見え方 |
|---|---|---|
| 週の所定労働時間 | 20時間以上 | 1日6時間40分以上 |
| 所定内賃金 | 月額8.8万円以上 | 2026年10月に撤廃予定 |
| 学生でないこと | — | 該当しない人が多い |
| 雇用の見込み | 2か月を超えること | 更新前提なら満たす |
| 勤め先の規模 | 厚生年金の被保険者51人以上 | 会社に確認が必要 |
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出典:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」(nenkin.go.jp/更新日2026年4月17日)、厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト 社会保険加入の要件」(mhlw.go.jp)。2026年9月4日に確認。「51人以上」は特定適用事業所の基準で、法人の場合は同一法人格に属するすべての適用事業所の被保険者数の合計で数えます。
賃金の8.8万円という条件は、なくなる方向です。日本年金機構のページには「最低賃金以上で週20時間以上働く場合は、所定内賃金が月額8.8万円以上となるため、この要件は令和8年10月に撤廃予定です」と書かれています。週20時間さえ超えれば、賃金の額を気にする必要はなくなります。
勤め先の規模の条件も、段階的に下がります。
出典:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト 社会保険加入の要件」。従業員数36〜50人の企業は2027年10月から、21〜35人は2029年10月から、11〜20人は2032年10月から、10人以下は2035年10月から対象。2026年9月4日に確認。
有給は、週3日でも付く。半年で5日
ここは誤解されやすいところです。週3日でも年次有給休暇は付きます。日数が通常の労働者より少ないだけで、権利そのものは同じです。
週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下の人には、日数に応じて比例的に付与されます。週3日は年間の所定労働日数がおよそ156日なので、「121日〜168日」の帯に入ります。
| 勤続 | 週3日(年121〜168日) | 週4日(年169〜216日) | 通常の労働者 |
|---|---|---|---|
| 6か月 | 5日 | 7日 | 10日 |
| 1年6か月 | 6日 | 8日 | 11日 |
| 2年6か月 | 6日 | 9日 | 12日 |
| 3年6か月 | 8日 | 10日 | 14日 |
| 4年6か月 | 9日 | 12日 | 16日 |
| 5年6か月 | 10日 | 13日 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 11日 | 15日 | 20日 |
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出典:厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有休があると聞きましたが、本当ですか。」表1・表2(mhlw.go.jp)2026年9月4日に確認。付与には、雇入れの日から6か月経過していることと、その期間の全労働日の8割以上出勤したことの2つが必要です。
もうひとつ、見落としやすい条件があります。この比例付与の表が使われるのは週の所定労働時間が30時間未満のときです。週3日でも1日10時間で週30時間なら、週3日のまま通常の労働者と同じ表1(6か月で10日)が適用されます。
販売員だったころ、周りにいた週3日の人が「派遣だから有給はない」と言われて信じていました。実際には付いていたはずです。契約書に有給の記載がないのは、書いていないだけで、権利がないという意味ではありません。契約書ではなく、派遣会社の就業条件明示書と法律のほうを見てください。
週3日を選ぶ前に、もうひとつ知っておく期限がある
派遣という働き方そのものに、期限が付いています。日数や時間とは別の話です。
- 事業所単位で3年
派遣先の同じ事業所が派遣を受け入れられる期間は、原則3年が限度です。延長するには派遣先が過半数労働組合などから意見を聴く必要があります。
- 個人単位で3年
同じ派遣労働者を、派遣先の同じ組織単位(いわゆる「課」)に派遣できる期間も3年が限度です。事業所単位が延長されても、こちらは延びません。
- 対象外になる人もいる
派遣元で無期雇用されている派遣労働者や、60歳以上の派遣労働者は、この期間制限の対象外です。
出典:厚生労働省「派遣先の皆さまへ」(mhlw.go.jp)、愛知労働局「労働者派遣の受入れ期間制限ルールなどにご留意ください」(mhlw.go.jp)。平成27年9月30日以降に締結・更新された派遣契約が対象。2026年9月4日に確認。
30代でこれが効いてきます。同じ売場に3年いても、その先が自動的に続くわけではないということです。週3日で身体の負担を下げるという判断自体は合理的でも、3年後の置き場所は、いま決めておく話になります。
週3日が合う人
- ほかに収入の柱がある(副業・世帯収入)
- 体調や家庭の事情で日数を減らす必要がある
- 売場の感覚を切らさずに次を探したい
- 1日8時間で組めて、週20時間を超えられる
週3日をすすめない人
- これ1本で生活費をまかなう予定
- 1日6時間などで週20時間に届かない条件しかない
- 3年後も同じ職場にいるつもりでいる
- 厚生年金の期間を積み上げておきたい
契約前に数える。手順は4つだけ
就業条件明示書を出してもらって、この4つを確かめる
- 1日の所定労働時間(休憩を除いた実働)に3を掛けて、20時間を超えるか
- 契約期間と更新の有無。「更新する場合がある」と書かれているか
- 派遣会社(派遣元)の厚生年金の被保険者数が51人以上か
- 年次有給休暇の付与日数が、比例付与の表と合っているか
→ 1つ目が20時間を割るなら、日数を4日にするか、1日の時間を延ばせないか先に交渉してください。
週20時間を超えると、手取りはどのくらい減るのか
ここは金額を出しません。健康保険料は加入する健康保険組合や都道府県で率が変わるため、ひとつの数字を書くと誤解のもとになるからです。厚生労働省が公式の「手取りシミュレーター」と「公的年金シミュレーター」を用意していて、社会保険適用拡大特設サイトから使えます。自分の時給と時間を入れて確かめてください。保険料が引かれるぶん手取りは下がりますが、そのかわりに厚生年金の記録が積み上がり、傷病手当金なども対象になります。
アパレルの派遣で週3日は本当に選べますか?
週3日だと社会保険には入れませんか?
週3日でも有給休暇はもらえますか?
週18時間だと何が起きますか?
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