※筆者は元アパレル販売員・元買取査定員で、いまは古物商としてブランド品の買取と販売を営んでいます。中古での評価については、査定側にいた経験にもとづいて書いています。拠点や社名は各ブランドの公式サイトで確認できたものだけを書き、確認できなかったものは「確認できなかった」と明記しています。
ドイツのブランドは「服」より「道具」に強い。眼鏡・スーツケース・筆記具に、世界基準の名前が並びます。
イタリアやフランスのように「服の国」として語られることは少ないのですが、一生使う前提のものを作らせると強いのがドイツです。10ブランドをカテゴリ別に整理して、それぞれ何で知られているのかを先に出します。
ドイツの有名ブランド10|まずカテゴリで整理する
「ドイツのブランド」で名前が挙がるものを、何を作っている会社なのかで並べ直しました。服だけを探していると、半分を見落とします。
| カテゴリ | ブランド | 知られていること |
|---|---|---|
| 眼鏡 | MYKITA/ic!berlin | ネジを使わないヒンジ。どちらもベルリン |
| スーツケース | RIMOWA | ジュラルミンとポリカーボネートの2系統 |
| 筆記具 | MONTBLANC | 万年筆。腕時計と革小物も作る |
| スーツ | HUGO BOSS | ビジネスウェアの定番 |
| モード | JIL SANDER/ESCADA | ミニマルの代名詞と、ミュンヘンの高級ブランド |
| テックウェア | ACRONYM | 機能に振り切った都市型アウター |
| コンセプト | BLESS | ベルリン発。既存の素材から価値を作る |
| クラフト | FRANK LEDER | 工程の大半が手作業 |
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こうして並べると傾向が見えます。ドイツのブランドは「壊れにくさ」と「仕組みの発明」で名前を作っているものが多い。ネジのないヒンジ、落としても中身が無事なケース、インクタンクを内蔵した万年筆——どれも、見た目より先に構造の話が出てきます。
ドイツの有名ブランド10選
ACRONYM (アクロニウム)
ACRONYMは、機能性に特化したテックウェアとして知られており、「究極の大人のためのトラベルウェア」をリリースし続けているブランドです。
特徴は、日常着としてもスタイリッシュに、シンプルに着こなせること。コンセプトは「コンパクトで使いやすいもの」で、30代以降の男性から高い人気があります。ポケットの位置やジッパーの引き方まで用途から逆算されており、着る道具に近い作りです。
BLESS (ブレス)
BLESSは、ドイツのベルリンから発祥したブランドで、現在はベルリンとパリを拠点としています。
コンセプチュアルな要素が強く、アイデアを出すことに多くの時間を費やすのが特徴です。最新のものを作り出すというより、入念なリサーチのもとで過去の素材を使い、価値を生み出していくという作り方をします。そのため一度着ると長く愛される商品が多く、リピーターが多いブランドです。
公式サイトに「BLESShome Berlin/Oderbergerstrasse 60/10435 Berlin」の記載があり、ベルリンに拠点があることを確認しました(BLESS 公式サイト・調査時点)。
ESCADA (エスカーダ)
ESCADAは、ドイツ・ミュンヘンに拠点を置く、ヨーロッパを代表する高級ファッションブランドです。
エスカーダ(ESCADA)とエスカーダ スポート(ESCADA SPORT)の2ラインを展開しています。どちらも美しい色使いと特徴的なディテール、フィット感を持ち味にしています。日本では中古市場で見かける機会のほうが多いブランドです。
HUGO BOSS (ヒューゴボス)
HUGO BOSSは、世界中のビジネスマンの憧れと言われるほど、大人の男性から高い人気を誇るブランドです。
とくに肩幅を抑えたシングルのブレザーが大ヒットしました。HUGO BOSSのスーツは「成功者の証」と言われ、ビジネスの場では定着しています。「ドイツのスーツ」を探しているなら、まずここから見て間違いありません。日本の百貨店でも扱いがあります。
JIL SANDER (ジルサンダー)
JIL SANDERは、洗練されたミニマルなデザインで知られる、ドイツ発祥の世界的ブランドです。
ファッション性と機能性を両立させ、上質な素材とディテールへのこだわりが魅力です。無駄をそぎ落としたデザインでありながら、さりげない遊び心がある——この匙加減が、幅広い年代から支持される理由です。ミニマルという言葉がファッションで使われるとき、たいていこのブランドが基準になります。
MONTBLANC (モンブラン)
万年筆といえばMONTBLANC、というイメージを定着させた、ドイツのハンブルクで誕生したブランドです。
インクタンクを内蔵したスタイリッシュな万年筆は画期的な発明とされ、モンブランの名を世界的なものにしました。現在は腕時計やバッグ、革小物も作っています。就職や昇進の贈り物として選ばれることが多く、名入れの依頼も多いブランドです。
MYKITA (マイキータ)
機能とデザインを両立させた、オールハンドメイドのアイウェアブランドです。
とくにネジを使わないスクリューレスのヒンジにより、「美とテクノロジーの融合」という独自のアイデンティティを確立しました。美しいレンズシェイプにこだわった、ミニマルでありながら個性的なデザインは、ファッション業界からも注目されています。
公式サイトに「Handmade Designer Eyewear from Berlin」「Handmade at MYKITA HAUS in Berlin」と記載があり、ベルリンで製造していることを確認しました。日本では福岡にも店舗があります(MYKITA 公式サイト・調査時点)。
RIMOWA (リモワ)
RIMOWAは、創業から100年を超える老舗のドイツブランドで、スーツケースメーカーです。
伝統を重んじつつ常に革新を続けており、世界中に愛好者がいます。ジュラルミン製のスーツケースは高い耐久性で知られ、ポリカーボネート製は軽さと耐久性を両立しています。表面の溝(グルーブ)を見ただけで分かる形が、そのままブランドの記号になっています。
ic!berlin (アイシーベルリン)
ic!berlinは、数々の賞を獲得し、いまや世界中で愛されるようになったメガネブランドです。
0.5ミリの薄いステンレス板、いわゆるシートメタルを使った素材が特徴。非常に軽量で柔軟性に富み、掛け心地に優れます。ネジを一切使わないスクリューレスヒンジは、工具がなくても分解・組み立てができます。
公式サイトのImpressum(法定表示)に「ic! berlin GmbH/Wolfener Straße 32 F/12681 Berlin/Germany」の記載があり、ベルリンの会社であることを確認しました(ic!berlin 公式サイト・調査時点)。
FRANK LEDER (フランクリーダー)
ファッションの名門校「セントラル・セント・マーチンズ」で学び、スタイリストなどの経験を経て創業したドイツのブランドです。
「安定したデザインを提供し、いろいろな人に共感してもらうこと」をコンセプトにしています。特徴は、機械の使用を最小限にして、製造工程のほとんどをいまでも手作業で行っていること。シンプルなデザインなので20代で買っても40代以上で問題なく着られ、経年変化がヴィンテージらしい味わいを与えてくれます。
眼鏡がベルリンに集まっているのは偶然ではない
今回、公式サイトで所在地まで確認できたのは3ブランドでした。そして3つともベルリンです。
しかも眼鏡の2社は、どちらも「ネジを使わないヒンジ」という同じ発明を売りにしています。同じ都市で、同じ問題(ネジは緩む・壊れる・工具がいる)に別の答えを出した2社が並んでいる、ということです。
ドイツのブランドを「質実剛健」の一言で片づけると、この面白さが見えません。見た目の話ではなく、構造をどう解いたかで競っている——これがドイツのものづくりの分かりやすい例です。
日本で買いやすいのはこの3つ
10ブランドのうち、日本で正規・並行を含めて手に入れやすいのは次の3つです。いずれも「一生使う前提」で選ばれるもので、ドイツブランドらしい買い方ができます。
RIMOWA|溝の入ったスーツケース
出張でも旅行でも、持っている人が多いぶん空港で取り違えが起きやすいので、色かステッカーで自分の印を付けておくのが現実的です。
MONTBLANC|贈り物で選ばれる万年筆
就職・昇進・還暦の贈り物として定番です。名入れができる販売店かどうかで選び先が変わります。
HUGO BOSS|ドイツのスーツを探しているなら
ドイツのスーツを探しているなら、まずこのブランドです。既製でも肩まわりが窮屈になりにくいので、日本人の体型でも合わせやすい部類に入ります。
元査定員から見た、ドイツブランドの中古
ここは査定側にいた経験の話です。ドイツのブランドは、服より道具のほうが中古で強いという傾向があります。
- 形で分かるものは値が残りやすい
RIMOWAの溝、MONTBLANCの白い星のように、遠目でもブランドが判別できるものは中古でも買い手が付きます。査定でも迷いが少ない。
- 眼鏡は状態がすべて
MYKITAやic!berlinのようにフレームが売りのものは、レンズより枠の歪みと傷を見られます。ケースを残しているかどうかでも変わります。
- モード系の服は時期で振れる
JIL SANDERやACRONYMは、デザイナーの交代や再評価で相場が動きます。売り時が読みにくいぶん、値が付くうちに出すほうが確実です。
よくある質問
ドイツのファッションブランドといえばどこですか?
ドイツのスーツブランドはどこですか?
ドイツの眼鏡ブランドはなぜネジを使わないのですか?
ドイツブランドは中古で高く売れますか?
まとめ
ドイツのブランドは、シンプルなデザインで、機能と品質に振っているものが多い。色も黒や茶のオーソドックスな暗めが中心です。
そして今回あらためて並べてみて、はっきりしたことがあります。服だけを見ていると半分を取りこぼすということ。眼鏡・スーツケース・筆記具まで含めて見ると、ドイツが何を得意にしているのかが分かります。構造で問題を解いて、それを100年使える形にする——そこが強みです。
経年変化を楽しめるものが多いので、自分用にも、大切な人への贈り物にも向いています。
